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Dream HEART vol.363 ジャーナリストの堀潤さん 映画「わたしは分断を許さない」

2020年03月14日

今週ゲストにお迎えしたのは、ジャーナリストの堀潤さんです。

堀潤さんは、1977年生まれ、兵庫県のご出身です。

立教大学文学部ドイツ文学科卒業後、
アナウンサーとして、2001年NHKに入局。
岡山放送局での勤務を経て、「ニュースウォッチ9」リポーター、
「Bizスポ」キャスター等、報道番組を担当。

また、2012年に、市民ニュースサイト「8bitNews」を自ら立ち上げ、
2013年4月1日付でNHKを退局。

フリーに転身後は、ジャーナリスト、キャスターとして、
数多くのテレビ・ラジオ番組などに出演する一方、インターネットテレビ、SNS、
執筆活動などを通じて、精力的に発信を続けていらっしゃいます。


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──一人一人のストーリー

茂木:堀潤さんが、5年の歳月をかけて制作した映画「わたしは分断を許さない」。
渾身のドキュメンタリー映画と言っていいと思うんですけど、この映画を見て本当にいろんなところに行ってらっしゃいますよね。
香港のデモもそうですけど、ガザ、シリア、福島、沖縄、そして北朝鮮まで取材されて、いろんなところで「いま、世の中は分断されてしまっている」ということを取り上げているんですけど。
この分断は何なのでしょうか?

堀:分断にも、いろいろな種類があるのかなと思います。違いが分かっているからこそ、関わらないようにしようとしているものであったり、共存するために、あえて立ち入らないようにしようというものもあります。
でも、僕がここで言ってる「分断」というのは、個人の力では抗おうにも埋められない分断を強いられている現場、国家と国家の衝突であったり、長い歴史の中で定着してしまった、民族や文化の衝突であったり…。
もしくは、統治する側が仕掛けるような形で分けていってしまう、第一原発の事故も、その後被害に遭った方々の裁判など今回の映画の舞台として密着しています。訴訟の現場でも、被告、国側の弁護士さんなどが「質問」と言って、被災者の方に「いくらぐらい賠償をもらっているんでしたっけ?」と質問をするんですね。
そして、被災者の方が「◯◯◯くらいです」と言うと、「以上です」となるんです。
すると、それを聞いている他の原告団の仲間の住民の皆さんが、「あの人、結構もらってるね…」など、ザワザワザワと広がったり。

茂木:はい。

堀:賠償のある、なしとか…それによって連帯しようとしてる人たちが、協力できない状況になっていったりとか。「避難者」という言葉も、国が「ここは住めません、だから避難してください」と言っていた人と、「ここは住めます」と国の方で線引きをして、“でも、そこからは家族を連れて、私は自分の判断でここから避難したい”という方のことを「自主避難」と呼んでいました。
「避難者」と「自主避難者」って、何か違ったのでしょうか? 「自主避難者」に対しては、制度的にも、社会、世間の目としても冷たいものが注がれていって、支援が打ち切られたり、誹謗中傷の対象になったり。
そういうこともあって、では、誰がその分断を生んでいるのかなと、その正体も知りたかったですし。あとは両極ですよね、“右か左か、AなのかBなのか選べ”とかですね。
白か黒かを選択させられるような状況が生まれて、経済的な格差もそうですし、教育的な格差もそうだし。

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茂木:この脚本が良いんでしょうけど、頭が混乱しないで、すっと入っていけるんですよね。

堀:よく言われたのですが、ドキュメンタリー映画のセオリーとして、おそらく一つの現場で、例えば一人の方に焦点を当てて5年10年…というのも、あると思うんです。
「堀さん、どこの現場にしてもドキュメンタリーが一本撮れそうなテーマなのに、なぜ、他の国内外、海外を混ぜたの?」と聞かれることもあったんですけど。
「逆にお伺いしたいです。家を追われて辛い思いをしているとか、食べる物に困っているとか、声をあげても届かなくて孤立感を抱いている…そういう人間が抱く感情って違うんでしたっけ?」と。

茂木:そういう意味で言うと、同じだね。

堀:肌の色や、歴史や宗教。そういったものは違うかもしれないけど、普遍的に人として“これはつらい”とか、“これはやめてほしい”とか、“こうなりたい”とか、“こんな夢がある”とか、それは何か違うんでしたっけ?と。
背景の場面、時代は色々と変わるかもしれないけど、一人一人の小さな主語で語れる、一人一人のストーリーにカメラを向けてみると“一緒だな”と思うことの方が多くて。
こういう時代だからこそ、全く違う、でも全く違わない。その中で、私たちはなぜこのストーリーは知らなかったんだろうか?って、そんなことに思いが及ぶ時間になるといいなと、思いましたね。

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映画「わたしは分断を許さない」| 堀潤
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