2019年10月05日
今週ゲストにお迎えしたのは、元陸上選手で
現在、スポーツコメンテーターとしてご活躍中の為末大さんです。
1978年広島県生まれ。
幼少期より陸上競技で頭角を現し、法政大学卒業後、大阪ガスを経て、2003年にプロ転向。
2001年、世界陸上選手権エドモントン大会において、男子400mハードルで日本人初の銅メダルを獲得し
シドニー・アテネ・北京と3度のオリンピックに連続出場されます。
2019年7月時点で、男子400メートルハードルの日本記録保持者でいらっしゃいます。
そして、2012年に現役を引退され、現在は、
スポーツとテクノロジーを掛け合わせた課題解決プロジェクトを行う、
「株式会社Deportare Partners(デポルターレパートナーズ)」の代表を務める一方、
「どうすれば人は、自由に、しなやかに生きていけるのか」を等身大のことばで発信、ご活躍中でいらっしゃいます。
また、4歳のご長男と向き合う、お父さんでもいらっしゃいます。
──自分に勝つこと
茂木:為末さんは素質が素晴らしいことはもちろんなんですけど。陸上に対するアプローチが、考えて、感じて、模索して…だからこそ「走る哲学者」と言われてる理由なんですけども。
今回の著書「生き抜くチカラ〜ボクがキミに伝えたい50のことば〜」も、まさに走る哲学者、為末大の真骨頂ですね。
為末:陸上競技って全てタイムで出るので、やった事が上手くいったかどうかがすごく分かりやすいんです。
球技はみんなでやるので、自分がちょっと上手くいかなくても周りが頑張ってくれて勝ったり、ということもあると思うんですけど。陸上や将棋は、結果がはっきり出るので、余計考えやすいのではないかなと思います。
茂木:50の刺さる言葉が書かれているんですけど。この「オンリーワンには落とし穴がある」とか、すごいですね。
今、「オンリーワン」は褒められる言葉じゃないですか? ダメなこともあるんですね。
為末:“ダメなこともある”というよりも、物は言いようみたいなオンリーワンのやり方もあるじゃないですか? 何でもオンリーワンといえばオンリーワンなんだけれど、でも、やっぱり比較的似ている者同士はやっぱり競争して、ハードルだったらハードの中で競争するので。
オンリーワンという言葉だけにいきすぎても良くないよねっていう感じですかね。
茂木:「ナンバーワンにならなくてもいい、でも、他の誰かと比べる事もしないで、“自分はオンリーワンだ”と、言ってるのはカッコ悪いよ」と。
為末:そうですね、これは陸上の経験が大きいかもしれないです。
茂木:今の時代、“比べるのは良くないよ”とは言いますが、安易にオンリーワンと言うと、返って可能性が…。
為末:みんなが同じことを競争するような競技をやっていくと、最後の最後に個性が見えてきて、競争した結果“やっぱり、自分はこういうところがあるんだ”となってくると、オンリーワンのような気がしますけど。
早い段階に“オンリーワン”と言いすぎてしまうと、自分らしくない物も、その時たまたまそういう特徴があったから、“自分らしい”と言い切っちゃうと、削がれていってしまいますよね。
茂木:なるほど! 自分らしさというものは、そんな簡単には分からないし、むしろ競争する中で分かることもあると。
為末:そうですね。
茂木:深いな〜、あと「負け癖をつけない」っていうのも、僕はドキッとしましたね。
為末:これも、思い込みみたいなものがあったりするので。小さくていいので“自分に勝つ”ことを繰り返していかないと、癖がついてしまいます。
癖がついてしまうと、“そういうものか”と、人が思い込んでしまうようなところもあるので。
繰り返して、“こうやったらいいんだ”と、自分に暗示をかけていくみたいなことができると思うんですけど、そういう事に向けて書いている言葉ですね。
茂木:「勝つことを諦めて初めから勝負をしない。勝負はするけれども大事なところで実力を出せない。どちらも負け癖」と、これに陥っちゃってる人って多いですよね。
為末:多いと思います。日本だからかもしれないけど、負けるってすごく良くない事って思われがちですよね。
「負けるぐらいならやらない方がいい」と、ならないようにした方がいいなと思いますね。
茂木:為末さんは、こういうことを考えながらハードルをやっていたんですか?
為末:正確には自分の失敗談が多いですね。
“こういうことに早く気を付ければ良かったな”とか、または聞いてても、先生や先輩に言われていたんだと思うんですよね。
当時は耳に入らなかったことが、あるきっかけの時に“こういうことだったんだ”と分かったというのもあるんだと思います。
茂木:大人にも刺さるんですけど、当然、お子さんにも読んでいただきたいということで、為末さんは息子さんが4歳ですよね?
為末:そうですね。
茂木:息子さんに、こういうことを伝えたいっていうのもあるんですか?
為末:大きいですね。何気に、子供って本質的なことを聞かないですか? すごくドキッとしたのが、「メダルをとった」ということを周りが言うので、だんだん息子の中で話が膨らんできたんですけど。
ある時に「何で金メダルじゃなかったの?」って言われて(笑)。それは面白い質問だなと思っていて、確かに最初から金メダルを狙ってたら違ったかもしれないな、とか、色々そういうことを考えたりしたので。
子供だから分からないと言って隠すんじゃなくて、全部全力で出してみて、分からないかもしれないけど、なるべく分かる言葉で書くし、分からなかったらお父さんとお母さんと話してみて、みたいな風に書いたのが今回大きく思っていることです。
茂木:スプリント競技でメダルをとるということが、いかに大変なことだったかっていうのは、4歳だとまだ分からないですもんね。
為末:そうですね、それはぜひ茂木さんからうちの息子に(笑)。
●生き抜くチカラ ボクがキミに伝えたい50のことば / 為末大
(Amazon)
●為末大さん 公式ホームページ
●一般社団法人 アスリートソサエ
ティ
●日本図書センター
来週も引き続き、元陸上選手で、現在スポーツコメンテーターとしてご活躍中の
為末大さんをゲストにお迎えします。
現在、スポーツコメンテーターとしてご活躍中の為末大さんです。
1978年広島県生まれ。
幼少期より陸上競技で頭角を現し、法政大学卒業後、大阪ガスを経て、2003年にプロ転向。
2001年、世界陸上選手権エドモントン大会において、男子400mハードルで日本人初の銅メダルを獲得し
シドニー・アテネ・北京と3度のオリンピックに連続出場されます。
2019年7月時点で、男子400メートルハードルの日本記録保持者でいらっしゃいます。
そして、2012年に現役を引退され、現在は、
スポーツとテクノロジーを掛け合わせた課題解決プロジェクトを行う、
「株式会社Deportare Partners(デポルターレパートナーズ)」の代表を務める一方、
「どうすれば人は、自由に、しなやかに生きていけるのか」を等身大のことばで発信、ご活躍中でいらっしゃいます。
また、4歳のご長男と向き合う、お父さんでもいらっしゃいます。
──自分に勝つこと
茂木:為末さんは素質が素晴らしいことはもちろんなんですけど。陸上に対するアプローチが、考えて、感じて、模索して…だからこそ「走る哲学者」と言われてる理由なんですけども。
今回の著書「生き抜くチカラ〜ボクがキミに伝えたい50のことば〜」も、まさに走る哲学者、為末大の真骨頂ですね。
為末:陸上競技って全てタイムで出るので、やった事が上手くいったかどうかがすごく分かりやすいんです。
球技はみんなでやるので、自分がちょっと上手くいかなくても周りが頑張ってくれて勝ったり、ということもあると思うんですけど。陸上や将棋は、結果がはっきり出るので、余計考えやすいのではないかなと思います。
茂木:50の刺さる言葉が書かれているんですけど。この「オンリーワンには落とし穴がある」とか、すごいですね。
今、「オンリーワン」は褒められる言葉じゃないですか? ダメなこともあるんですね。
為末:“ダメなこともある”というよりも、物は言いようみたいなオンリーワンのやり方もあるじゃないですか? 何でもオンリーワンといえばオンリーワンなんだけれど、でも、やっぱり比較的似ている者同士はやっぱり競争して、ハードルだったらハードの中で競争するので。
オンリーワンという言葉だけにいきすぎても良くないよねっていう感じですかね。
茂木:「ナンバーワンにならなくてもいい、でも、他の誰かと比べる事もしないで、“自分はオンリーワンだ”と、言ってるのはカッコ悪いよ」と。
為末:そうですね、これは陸上の経験が大きいかもしれないです。
茂木:今の時代、“比べるのは良くないよ”とは言いますが、安易にオンリーワンと言うと、返って可能性が…。
為末:みんなが同じことを競争するような競技をやっていくと、最後の最後に個性が見えてきて、競争した結果“やっぱり、自分はこういうところがあるんだ”となってくると、オンリーワンのような気がしますけど。
早い段階に“オンリーワン”と言いすぎてしまうと、自分らしくない物も、その時たまたまそういう特徴があったから、“自分らしい”と言い切っちゃうと、削がれていってしまいますよね。
茂木:なるほど! 自分らしさというものは、そんな簡単には分からないし、むしろ競争する中で分かることもあると。
為末:そうですね。
茂木:深いな〜、あと「負け癖をつけない」っていうのも、僕はドキッとしましたね。
為末:これも、思い込みみたいなものがあったりするので。小さくていいので“自分に勝つ”ことを繰り返していかないと、癖がついてしまいます。
癖がついてしまうと、“そういうものか”と、人が思い込んでしまうようなところもあるので。
繰り返して、“こうやったらいいんだ”と、自分に暗示をかけていくみたいなことができると思うんですけど、そういう事に向けて書いている言葉ですね。
茂木:「勝つことを諦めて初めから勝負をしない。勝負はするけれども大事なところで実力を出せない。どちらも負け癖」と、これに陥っちゃってる人って多いですよね。
為末:多いと思います。日本だからかもしれないけど、負けるってすごく良くない事って思われがちですよね。
「負けるぐらいならやらない方がいい」と、ならないようにした方がいいなと思いますね。
茂木:為末さんは、こういうことを考えながらハードルをやっていたんですか?
為末:正確には自分の失敗談が多いですね。
“こういうことに早く気を付ければ良かったな”とか、または聞いてても、先生や先輩に言われていたんだと思うんですよね。
当時は耳に入らなかったことが、あるきっかけの時に“こういうことだったんだ”と分かったというのもあるんだと思います。
茂木:大人にも刺さるんですけど、当然、お子さんにも読んでいただきたいということで、為末さんは息子さんが4歳ですよね?
為末:そうですね。
茂木:息子さんに、こういうことを伝えたいっていうのもあるんですか?
為末:大きいですね。何気に、子供って本質的なことを聞かないですか? すごくドキッとしたのが、「メダルをとった」ということを周りが言うので、だんだん息子の中で話が膨らんできたんですけど。
ある時に「何で金メダルじゃなかったの?」って言われて(笑)。それは面白い質問だなと思っていて、確かに最初から金メダルを狙ってたら違ったかもしれないな、とか、色々そういうことを考えたりしたので。
子供だから分からないと言って隠すんじゃなくて、全部全力で出してみて、分からないかもしれないけど、なるべく分かる言葉で書くし、分からなかったらお父さんとお母さんと話してみて、みたいな風に書いたのが今回大きく思っていることです。
茂木:スプリント競技でメダルをとるということが、いかに大変なことだったかっていうのは、4歳だとまだ分からないですもんね。
為末:そうですね、それはぜひ茂木さんからうちの息子に(笑)。
●生き抜くチカラ ボクがキミに伝えたい50のことば / 為末大
(Amazon)
●為末大さん 公式ホームページ
●一般社団法人 アスリートソサエ
ティ
●日本図書センター
来週も引き続き、元陸上選手で、現在スポーツコメンテーターとしてご活躍中の
為末大さんをゲストにお迎えします。