2018年06月16日
今週ゲストにお迎えしたのは、先週に引き続き、ポプラ社から刊行されました「かがみの孤城」で
本年度の本屋大賞を受賞されました、作家の辻村深月さんです。
辻村さんは、1980年山梨県笛吹市生まれ。
そして、千葉大学教育学部を卒業後
2004年に「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞してデビューされました。
「ツナグ」では吉川英治文学新人賞を。
そして「鍵のない夢を見る」で第147回直木賞を受賞されました。
そのほか、「凍りのくじら」「ぼくのメジャースプーン」「スロウハイツの神様」「島はぼくらと」「ハケンアニメ!」など、多数のご著書があります。
今週も、お話を伺っていきたいと思います。
──黒辻村、白辻村
茂木:メフィスト賞は、編集者が直接選んで即デビューという、ここから出た方はたくさんいらっしゃるわけなんですけど
デビューしたときはどうでしたか?
辻村:一番の夢が“作家になりたい”とか、“自分の本が出版されたら死んでもいい”とずっと思っていたので(笑)。
茂木:じゃあ、嬉しかったですね。
辻村:とても嬉しくて、「受賞者の中でこんなに喜んでる人見たことない」と思われるくらい…実際に言われたんですけど(笑)、それくらい大喜びでした。
茂木:受賞のご連絡を受けて、講談社に行かれた時は「遂に…」と?
辻村:そうですね。私の好きな作家さんたちを担当してきた編集者の方が担当になってくださったので。
本の世界で、自分の好きだった作家さんたちとお仕事をしてきた人が、自分ともお仕事してくれるんだっていうのすごく嬉しかったです。
茂木:山梨出身で直木賞と言うと、林真理子さんを思いだしますね。
辻村:そうですね、「林真理子さん以来だ」って言って、地元で湧いていただいて(笑)。
ただ、受賞した時に林さんが選考委員をしてくださったので、そのことにもご縁を感じて嬉しかったです。
茂木:ファンの間では、辻村さんの中には黒辻村、白辻村がいるという風評があるようなのですが。
私、「鍵のない夢を見る」これ、もし「かがみの孤城」を読んで、次に「鍵のない夢を見る」を読むと、油断してるとやられますね。
辻村:かなり作風が違うので、驚かれる方もきっといるだろうなと思います。
茂木:「鍵のない夢を見る」って短編の連作で、繋がっているようで繋がっていないような、しかもそれぞれの人生が揺らぎ、壊れていく予感っていうか、すごいですよね。
辻村:地方都市に暮らしている女性たちがささやな夢を見るだけなんですけどね。「いいママになりたい」とか、「結婚したい」とか、ほんのちょっとしたことが事件に繋がってしまうっていう小説なんですね。
茂木:はい。
辻村:読んでいただいた方の中で、「自分の中で、黒い良くない気持ちっていうのは自分だけじゃなかったんだと思って救われました」という風に言ってくださった方がいたんですよ。
茂木:クロ辻村全開ですよね(笑)。
──破天荒ではない作家生活
茂木:ファンのあいだでは、辻村さんの作品をどれから読むかっていうのを熱く議論されてたりもしていて。
辻村:読者の方が順番をつけてくださったりするんですよね。
茂木:作家によっては一冊読むと“ああ、こういうことだな”と予想できて、次の作品も“また…”っていう方もいらっしゃいます、それはそれでいいんですけど。でも、辻村さんの場合は……。
辻村:そうですね。「かがみの孤城」が、今まで色々書いてきたものが、全部少しずつ溶け込んでる感じがするんですよね。
黒辻村と呼ばれるような部分も(笑)。
茂木:ちょっとありますよね(笑)。
辻村:人の無神経さとか、良かれと思ってやったことが人を傷つけてしまうとか、そういうことも溶け込んでいるので。
ここを入り口にしていただけるといいのかなと思います。
茂木:ここから、いろいろ別れていけばいいということですね。
辻村さんは賞には恵まれているというか、業界の方から「辻村さんという作家は、こういう人なんだよ」みたいな、噂話というか、これだけ評価されているということはみんな思っていることあると思うんですけど、どういう風に言われることが多いですか?
辻村:「普通ですね」って言われることが多くて。私は作家になった時に自分が破天荒じゃないことがコンプレックスだったんですね。
お酒が飲めなかったり、博打もやりませんし。
茂木:いわゆる、作家の生活のイメージと違うと。
辻村:そうなんです、すごい破天荒というのが作家のイメージだったので。
私は両親が公務員で、山梨のおじいちゃんが果樹農園をやってるようなところで牧歌的に育って、すごく普通だなと思って、そこがコンプレックスだったんですけど。
いつの頃からか普通なことが強みなんじゃないかとなったんですね。
茂木:お!すごい!
辻村:なので、「かがみの孤城」も特別な感情を書いてるとかじゃなくて。みんながまだ書いていないけど、みんなが思っていることとか、そういうことが結果描かれた話になったのかなと思っています。
茂木:設定自体はファンタジーなんですけど、描かれてる人間像、感情はリアルですよね。
辻村:そうですね。私は不二子作品が大好きなんでけど、日常と隣り合わせの場所に不思議があるっていうのが大好きな特徴のひとつなんですね。
タイムマシンの入り口はのび太の机の中ですし、畳の裏が宇宙と繋がってたり、日常の描写はドラえもんはいますけど、のび太の日常は小学生の日常なんですね。
茂木:はい。
辻村:そういう日常が描かれてるからこそ、不思議なことが出てきても違和感がないというのが、私が影響を受けたからこうなったのかなと思います。
■プレゼントのお知らせ
本年度の本屋大賞を受賞作「かがみの孤城」に、辻村深月さんの直筆サインを入れて、3名さまにプレゼントいたします。
ご希望の方は、必要事項を明記の上、番組ホームページのメッセージフォームより、ご応募ください。
番組へのご意見など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募お待ちしています。
●かがみの孤城 辻村深月 | ポプラ社
(Amazon)
来週は、カラテカの矢部太郎さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。
本年度の本屋大賞を受賞されました、作家の辻村深月さんです。
辻村さんは、1980年山梨県笛吹市生まれ。
そして、千葉大学教育学部を卒業後
2004年に「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞してデビューされました。
「ツナグ」では吉川英治文学新人賞を。
そして「鍵のない夢を見る」で第147回直木賞を受賞されました。
そのほか、「凍りのくじら」「ぼくのメジャースプーン」「スロウハイツの神様」「島はぼくらと」「ハケンアニメ!」など、多数のご著書があります。
今週も、お話を伺っていきたいと思います。
──黒辻村、白辻村
茂木:メフィスト賞は、編集者が直接選んで即デビューという、ここから出た方はたくさんいらっしゃるわけなんですけど
デビューしたときはどうでしたか?
辻村:一番の夢が“作家になりたい”とか、“自分の本が出版されたら死んでもいい”とずっと思っていたので(笑)。
茂木:じゃあ、嬉しかったですね。
辻村:とても嬉しくて、「受賞者の中でこんなに喜んでる人見たことない」と思われるくらい…実際に言われたんですけど(笑)、それくらい大喜びでした。
茂木:受賞のご連絡を受けて、講談社に行かれた時は「遂に…」と?
辻村:そうですね。私の好きな作家さんたちを担当してきた編集者の方が担当になってくださったので。
本の世界で、自分の好きだった作家さんたちとお仕事をしてきた人が、自分ともお仕事してくれるんだっていうのすごく嬉しかったです。
茂木:山梨出身で直木賞と言うと、林真理子さんを思いだしますね。
辻村:そうですね、「林真理子さん以来だ」って言って、地元で湧いていただいて(笑)。
ただ、受賞した時に林さんが選考委員をしてくださったので、そのことにもご縁を感じて嬉しかったです。
茂木:ファンの間では、辻村さんの中には黒辻村、白辻村がいるという風評があるようなのですが。
私、「鍵のない夢を見る」これ、もし「かがみの孤城」を読んで、次に「鍵のない夢を見る」を読むと、油断してるとやられますね。
辻村:かなり作風が違うので、驚かれる方もきっといるだろうなと思います。
茂木:「鍵のない夢を見る」って短編の連作で、繋がっているようで繋がっていないような、しかもそれぞれの人生が揺らぎ、壊れていく予感っていうか、すごいですよね。
辻村:地方都市に暮らしている女性たちがささやな夢を見るだけなんですけどね。「いいママになりたい」とか、「結婚したい」とか、ほんのちょっとしたことが事件に繋がってしまうっていう小説なんですね。
茂木:はい。
辻村:読んでいただいた方の中で、「自分の中で、黒い良くない気持ちっていうのは自分だけじゃなかったんだと思って救われました」という風に言ってくださった方がいたんですよ。
茂木:クロ辻村全開ですよね(笑)。
──破天荒ではない作家生活
茂木:ファンのあいだでは、辻村さんの作品をどれから読むかっていうのを熱く議論されてたりもしていて。
辻村:読者の方が順番をつけてくださったりするんですよね。
茂木:作家によっては一冊読むと“ああ、こういうことだな”と予想できて、次の作品も“また…”っていう方もいらっしゃいます、それはそれでいいんですけど。でも、辻村さんの場合は……。
辻村:そうですね。「かがみの孤城」が、今まで色々書いてきたものが、全部少しずつ溶け込んでる感じがするんですよね。
黒辻村と呼ばれるような部分も(笑)。
茂木:ちょっとありますよね(笑)。
辻村:人の無神経さとか、良かれと思ってやったことが人を傷つけてしまうとか、そういうことも溶け込んでいるので。
ここを入り口にしていただけるといいのかなと思います。
茂木:ここから、いろいろ別れていけばいいということですね。
辻村さんは賞には恵まれているというか、業界の方から「辻村さんという作家は、こういう人なんだよ」みたいな、噂話というか、これだけ評価されているということはみんな思っていることあると思うんですけど、どういう風に言われることが多いですか?
辻村:「普通ですね」って言われることが多くて。私は作家になった時に自分が破天荒じゃないことがコンプレックスだったんですね。
お酒が飲めなかったり、博打もやりませんし。
茂木:いわゆる、作家の生活のイメージと違うと。
辻村:そうなんです、すごい破天荒というのが作家のイメージだったので。
私は両親が公務員で、山梨のおじいちゃんが果樹農園をやってるようなところで牧歌的に育って、すごく普通だなと思って、そこがコンプレックスだったんですけど。
いつの頃からか普通なことが強みなんじゃないかとなったんですね。
茂木:お!すごい!
辻村:なので、「かがみの孤城」も特別な感情を書いてるとかじゃなくて。みんながまだ書いていないけど、みんなが思っていることとか、そういうことが結果描かれた話になったのかなと思っています。
茂木:設定自体はファンタジーなんですけど、描かれてる人間像、感情はリアルですよね。
辻村:そうですね。私は不二子作品が大好きなんでけど、日常と隣り合わせの場所に不思議があるっていうのが大好きな特徴のひとつなんですね。
タイムマシンの入り口はのび太の机の中ですし、畳の裏が宇宙と繋がってたり、日常の描写はドラえもんはいますけど、のび太の日常は小学生の日常なんですね。
茂木:はい。
辻村:そういう日常が描かれてるからこそ、不思議なことが出てきても違和感がないというのが、私が影響を受けたからこうなったのかなと思います。
■プレゼントのお知らせ
本年度の本屋大賞を受賞作「かがみの孤城」に、辻村深月さんの直筆サインを入れて、3名さまにプレゼントいたします。
ご希望の方は、必要事項を明記の上、番組ホームページのメッセージフォームより、ご応募ください。
番組へのご意見など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募お待ちしています。
●かがみの孤城 辻村深月 | ポプラ社
(Amazon)
来週は、カラテカの矢部太郎さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。