2018年05月19日
今週ゲストにお迎えしたのは、5月19日から、恵比寿ガーデンシネマを皮切りに、
全国で順次ロードショーされる映画「29歳問題」の監督、キーレン・パンさんです。
この映画「29歳問題」は、30歳を目前に控えた、クリスティとティンロという、
対照的な2人の女性を主人公に描いた、香港で動員20万人を超す、
大ヒットを記録した作品です。
キーレン・パンさんは、香港では知らない人はいないほど、有名な舞台女優であり、
舞台演出家としても、ご活躍されていらっしゃいます。
そして、映画「29歳問題」は、キーレン・パンさんが、
香港で13年間演じ続けた1人芝居の舞台劇を、ご自身で映画化された作品です。
今週は映画「29歳問題」の魅力をたっぷりお伝えしていきます。
──クリスティとティンロという2人の女性を通して
茂木:今回、長編映画を監督されたのは初めてなのでしょうか?とても素晴らしい作品で、本当に感動しました!
キーレン:ありがとうございます。初めて監督を務めました。
この作品は、舞台が再演する度にもう一度脚本を見つめて、見直して、ここがもう少し良くなればもっと良くなるんじゃないか、ということを重ねてきたわけです。
今回映画化する時にも、監督としてこの脚本をどういう風に扱ったらいいのか、じっくり考えていました。
茂木:この映画は女性の生き方、仕事、恋…様々なことで揺れ動いてるところが女性の共感を集めているんじゃないかと思うんですけど、その辺りいかがでしょう?
キーレン:私がこの物語を手がけた時にモデルにしたのは、自分の周りにいた同級生や友達たちでした。
みな30歳前後で、30歳になることに対する考え方、そういった部分を書いただけなんですけれど、この物語を書いた後に舞台となって、そこで初めて影響力が大きいということに気がついたんです。
普段舞台をやる人間にとって、作品を観た皆さんからは賛辞を聞きたかった訳なんですけど、この舞台の場合は「あなたは素晴らしい作品を作ってくれた」という言葉でした。
単なる共感だけではなく、ある種の重荷を降ろしたような、リラックスできたような、そういう気持ちを私は感じ取ることができました。
今までクリエイターと観客の間でのこういった関係は、今まで私はあまり認識したことがなかったので、クリエイターとしてやって良かったなと思っております。
茂木:まさに、作品の持つ力ということなんだと思います。
映画に出てくるクリスティとティンロは、大変個性的で、ある意味では対照的な女性二人だと思うんですけど、この2人の役柄はどのように思いついたんですか?
キーレン:片方は非常に真面目で綺麗な人、片方はいつもリラックスしていて、でも目立たない人。
役者としてはこの2つの極端な役柄を同時にやる事っていうのはとてもチャレンジですよね。それがすごく面白かったです。
茂木:クリスティを演じたクリッシー・チャウさんは、香港でとても人気があるですが、
そんなクリッシー・チャウさんが、この映画の中ではなかなか恋がうまくいかないんですよね。
キーレン:以前、彼女が出演した映画の中で彼女の役柄は美女で、セクシーで、みんなが嫉妬してしまうような役だったんですけど、
今回のクリスティは、本当に普通の女性で、あなたや私の周りにもいるような人なので、そこはちょっと抑えた演技をしてもらいたかったんです。
茂木:一方、とてもユニークで個性的なティンロ。ジョイス・チェンさんが演じていますけど、こちらの方が近くに素敵な男性がいるのも面白いですよね。
キーレン:そうなんです。私はこの役柄を通して、全ての人に伝えたいんですけれど、
決して「自分は愛されていない」そういう風に思わないでください。むしろそういう考えを持ってしまうと素敵な愛を見逃してしまうんですよ。
人間どなたも魅力があって、気になる所がある。今回は彼女の周りに素敵な男性をおくことによって、2人の生き方の違いが非常に見応えがあると思います。
茂木:今回「29歳問題」を観て、今の香港の女性の生き方と、日本・東京の女性の生き方がすごくシンクロしてるというか、共感できるところがあったように思うんですけども、
やはり日本と香港、場所を超えて今の女性達が向き合ってることは同じなのかなと思うんですけども…。
キーレン:おそらく、都会で暮らしてる人間はみんな大きなストレスを受けてるわけですよね。
我々の暮らしは非常にリズムが早くて、特にこういった30代の女性にとっては仕事が大事で、向上心もあって一生懸命頑張りたい、良い生活を手に入れたい、もう少し稼ぎたい…。
こういったことばかりに注目してしまいますと、自分の暮らしの中の大切なものを失ってしまう恐れがあると思うんですよね。
そうじゃなくて、もうちょっと見つめて何か発見することができるんじゃないかなと思うんです。
茂木:今回の映画は、編集が本当に素晴らしいと感じたんですね。現実と夢、時間とか空間を超えて、
主人公の心の揺れ動く様子を見事な編集で見せてくださってるんですけど、映画の編集技術っていうのは監督の生まれつきの才能なんでしょうか?
キーレン:私は舞台を長年やったことで、どうやって観客の皆さんに向かって物語を語るべきか、というテクニックを熟知している部分はあります。実は、舞台においても映画の編集と同じような手段がいっぱいあるんですね。
例えば、場面と場面の交代を演技を通してみせていく、というやり方もあるんですけれども、
映画の中でこのような編集の手法を持ち込むとなりますと、映画の編集をする方からすれば、ダメなんです。なかなか受け入れてもらえないんですね。
なので、私は時間をかけて編集のパートナーと一緒に話し合いました。最初は受け入れてもらえなかったんですけども、話し合う内にだんだんと理解されまして、お互いに信頼関係も築くことが出来ました。
茂木:この映画、大変素晴らしい評価を受けてると思うんですけど、今後作品を撮る予定などはあるんでしょうか?
キーレン:これからもずっと映画を撮りたいと思っています。
初めて監督をやったことで、この経験から今回の作品の中で”ここは良くやりました”、”ここはまだ足りない”ということがよく分かりました。
もちろん、今回の作品は100点満点ではないと思うんですけども、私としてはすごく良いスタートを切れたと思うので、これからもずっと良い映画を撮っていきたいと思います。
出来れば、いつか自分の映画製作のチームというものを築き上げたいという風に思っております。
やはりまだ新人ですので、とても孤独なんですね。今回、スタッフの方達とも信頼関係を築けたと思うので、また皆さんと一緒に良いチームを作っていきたいと思います。
茂木:最後に、監督の夢は何でしょうか?
キーレン:今回、初めて映画を撮ったのでその情熱、こだわり、初心を忘れずに。そして、また良い作品に取り組んでいくことです。
●映画『29歳問題』公式サイト
ご紹介した、映画「29歳問題」の劇場鑑賞券を
3組6名の方にプレゼントいたします。
ご希望の方は、必要事項を明記の上、ご応募ください。
メッセージフォームは<コチラ>
番組へのご意見など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
来週はジャズ・ピアニスト、大西順子さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。
全国で順次ロードショーされる映画「29歳問題」の監督、キーレン・パンさんです。
この映画「29歳問題」は、30歳を目前に控えた、クリスティとティンロという、
対照的な2人の女性を主人公に描いた、香港で動員20万人を超す、
大ヒットを記録した作品です。
キーレン・パンさんは、香港では知らない人はいないほど、有名な舞台女優であり、
舞台演出家としても、ご活躍されていらっしゃいます。
そして、映画「29歳問題」は、キーレン・パンさんが、
香港で13年間演じ続けた1人芝居の舞台劇を、ご自身で映画化された作品です。
今週は映画「29歳問題」の魅力をたっぷりお伝えしていきます。
──クリスティとティンロという2人の女性を通して
茂木:今回、長編映画を監督されたのは初めてなのでしょうか?とても素晴らしい作品で、本当に感動しました!
キーレン:ありがとうございます。初めて監督を務めました。
この作品は、舞台が再演する度にもう一度脚本を見つめて、見直して、ここがもう少し良くなればもっと良くなるんじゃないか、ということを重ねてきたわけです。
今回映画化する時にも、監督としてこの脚本をどういう風に扱ったらいいのか、じっくり考えていました。
茂木:この映画は女性の生き方、仕事、恋…様々なことで揺れ動いてるところが女性の共感を集めているんじゃないかと思うんですけど、その辺りいかがでしょう?
キーレン:私がこの物語を手がけた時にモデルにしたのは、自分の周りにいた同級生や友達たちでした。
みな30歳前後で、30歳になることに対する考え方、そういった部分を書いただけなんですけれど、この物語を書いた後に舞台となって、そこで初めて影響力が大きいということに気がついたんです。
普段舞台をやる人間にとって、作品を観た皆さんからは賛辞を聞きたかった訳なんですけど、この舞台の場合は「あなたは素晴らしい作品を作ってくれた」という言葉でした。
単なる共感だけではなく、ある種の重荷を降ろしたような、リラックスできたような、そういう気持ちを私は感じ取ることができました。
今までクリエイターと観客の間でのこういった関係は、今まで私はあまり認識したことがなかったので、クリエイターとしてやって良かったなと思っております。
茂木:まさに、作品の持つ力ということなんだと思います。
映画に出てくるクリスティとティンロは、大変個性的で、ある意味では対照的な女性二人だと思うんですけど、この2人の役柄はどのように思いついたんですか?
キーレン:片方は非常に真面目で綺麗な人、片方はいつもリラックスしていて、でも目立たない人。
役者としてはこの2つの極端な役柄を同時にやる事っていうのはとてもチャレンジですよね。それがすごく面白かったです。
茂木:クリスティを演じたクリッシー・チャウさんは、香港でとても人気があるですが、
そんなクリッシー・チャウさんが、この映画の中ではなかなか恋がうまくいかないんですよね。
キーレン:以前、彼女が出演した映画の中で彼女の役柄は美女で、セクシーで、みんなが嫉妬してしまうような役だったんですけど、
今回のクリスティは、本当に普通の女性で、あなたや私の周りにもいるような人なので、そこはちょっと抑えた演技をしてもらいたかったんです。
茂木:一方、とてもユニークで個性的なティンロ。ジョイス・チェンさんが演じていますけど、こちらの方が近くに素敵な男性がいるのも面白いですよね。
キーレン:そうなんです。私はこの役柄を通して、全ての人に伝えたいんですけれど、
決して「自分は愛されていない」そういう風に思わないでください。むしろそういう考えを持ってしまうと素敵な愛を見逃してしまうんですよ。
人間どなたも魅力があって、気になる所がある。今回は彼女の周りに素敵な男性をおくことによって、2人の生き方の違いが非常に見応えがあると思います。
茂木:今回「29歳問題」を観て、今の香港の女性の生き方と、日本・東京の女性の生き方がすごくシンクロしてるというか、共感できるところがあったように思うんですけども、
やはり日本と香港、場所を超えて今の女性達が向き合ってることは同じなのかなと思うんですけども…。
キーレン:おそらく、都会で暮らしてる人間はみんな大きなストレスを受けてるわけですよね。
我々の暮らしは非常にリズムが早くて、特にこういった30代の女性にとっては仕事が大事で、向上心もあって一生懸命頑張りたい、良い生活を手に入れたい、もう少し稼ぎたい…。
こういったことばかりに注目してしまいますと、自分の暮らしの中の大切なものを失ってしまう恐れがあると思うんですよね。
そうじゃなくて、もうちょっと見つめて何か発見することができるんじゃないかなと思うんです。
茂木:今回の映画は、編集が本当に素晴らしいと感じたんですね。現実と夢、時間とか空間を超えて、
主人公の心の揺れ動く様子を見事な編集で見せてくださってるんですけど、映画の編集技術っていうのは監督の生まれつきの才能なんでしょうか?
キーレン:私は舞台を長年やったことで、どうやって観客の皆さんに向かって物語を語るべきか、というテクニックを熟知している部分はあります。実は、舞台においても映画の編集と同じような手段がいっぱいあるんですね。
例えば、場面と場面の交代を演技を通してみせていく、というやり方もあるんですけれども、
映画の中でこのような編集の手法を持ち込むとなりますと、映画の編集をする方からすれば、ダメなんです。なかなか受け入れてもらえないんですね。
なので、私は時間をかけて編集のパートナーと一緒に話し合いました。最初は受け入れてもらえなかったんですけども、話し合う内にだんだんと理解されまして、お互いに信頼関係も築くことが出来ました。
茂木:この映画、大変素晴らしい評価を受けてると思うんですけど、今後作品を撮る予定などはあるんでしょうか?
キーレン:これからもずっと映画を撮りたいと思っています。
初めて監督をやったことで、この経験から今回の作品の中で”ここは良くやりました”、”ここはまだ足りない”ということがよく分かりました。
もちろん、今回の作品は100点満点ではないと思うんですけども、私としてはすごく良いスタートを切れたと思うので、これからもずっと良い映画を撮っていきたいと思います。
出来れば、いつか自分の映画製作のチームというものを築き上げたいという風に思っております。
やはりまだ新人ですので、とても孤独なんですね。今回、スタッフの方達とも信頼関係を築けたと思うので、また皆さんと一緒に良いチームを作っていきたいと思います。
茂木:最後に、監督の夢は何でしょうか?
キーレン:今回、初めて映画を撮ったのでその情熱、こだわり、初心を忘れずに。そして、また良い作品に取り組んでいくことです。
●映画『29歳問題』公式サイト
ご紹介した、映画「29歳問題」の劇場鑑賞券を
3組6名の方にプレゼントいたします。
ご希望の方は、必要事項を明記の上、ご応募ください。
メッセージフォームは<コチラ>
番組へのご意見など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
来週はジャズ・ピアニスト、大西順子さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。