2018年05月05日
今週ゲストにお迎えしたのは、イギリス人No.1グルメライターで、
トラベルジャーナリスト、そして、フードジャーナリストとして活動されていらっしゃいます、マイケル・ブースさんです。
1971年生まれ、イギリス・サセックスのご出身。
2010年に「ギルド・オブ・フードライター賞」を、
そして、2016年「ギルド・オブ・トラベルライター賞」を受賞。
パリの有名料理学校「ル・コルドン・ブルー」で1年間修業し、
レストラン「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」での経験をつづった
”Sacre Cordon Bleu(英国一家、フランスを食べる)”、は、BBCとTime Outで
絶賛され、ベストセラーにランクインするなど、高い評価を得ていらっしゃいます。
日本で発行されている著書には、日本の食文化を100日間取材した、
『英国一家、日本を食べる』や『英国一家、フランスを食べる』など多数あります。
現在、デンマークにご家族と一緒にお住まいでいらっしゃいます。
そして先日、KADOKAWAより、『英国一家、日本をおかわり』を刊行されました。
人気シリーズの続編となるのですが、今回はどんな内容となっているのか?
マイケル・ブースさんに詳しく伺いたいと思います。
──世界における日本食の理解度
茂木:マイケル・ブースさんの本は、ご家族が一緒に旅行に行かれるっていうのも非常に特徴なんですけども、今回の『英国一家、日本をおかわり』は、ますますパワーアップしてて。
マイケルさんは、日本人も行かないような田舎の奥の方まで入って行っちゃってますけど、どのようにして取材は可能になってるんですか?
マイケル:今回の本を書き始める時に、40個くらいのエピソードを入れたいと思っていたんです。
どの都道府県にも必ず面白いところや興味深い人達、興味深い食べものがあるということがわかっていたので、前回の本では行かなかったところに行きたいと思っていて。
それらの情報は編集者を通じて、色々な方や友達から情報を得て、行く場所を決めました。
茂木:マイケルさんが最初の本を書いてからこれまでの年月の中で、日本食の世界的な流行がますます加速してると思うんですけども、
イギリスとかアメリカでマイケルさんがお書きになったものってどのように読まれてるかっていう実感はありますか?
マイケル:この10年間で日本食は世界で爆発的に流行していて、ミシュランの星も日本のレストランはたくさん獲得しましたし、無形文化遺産にも選ばれたりしました。
でも、アメリカやイギリスでは、まだいまいち日本食は理解されていないと感じています。
アメリカ・イギリスの色んなところにある日本食レストランのレベルはまだとても低いです。
でも、自分の読者はグルメにすごく関心がある人ばっかりなので、もう少しよく分かっていると思っています。
1冊目は日本食について紹介するための本で、2冊目は1冊目を読んでくれた読者を自分と一緒に日本食の更に深い深いところを掘り下げて行って、一緒について来て欲しいと思って書いた本です。
茂木:1冊目の本の冒頭、トシさんが「フランス人は日本食を何も分かってない」と言ってますけれども、
やっぱり日本の料理をまだ理解してないような方がヨーロッパとかアメリカでは多数を占めてると思うんですけど、どうしたら日本食の良さをそういう方に届けられるでしょうか?
マイケル:アメリカ人とヨーロッパ人はまだ日本食についてまだ表面的にしか分かっていないと思います。
日本ですごく成功した日本食料理店をロンドンに出したとしても、同じものを作る事は出来ないんですね。
食材も違いますし、何より水が違うので、なかなか理解してもらうのは難しいと思っています。
例えば、ロンドンには「WAGAMAMA(ワガママ)」っていうチェーン店が色んなところにあって、すごく人気があるんですけど、そこで出しているのはすごく変な日本食で。
イギリス人の日本食に対する理解は、そこで始まってしまうので、なかなか難しいのかなと思います。
私の家の近くに「トウキョウ」という名前のレストランがあるんですけど、そこで出しているのは、中華料理とタイ料理なんです。そこを通るたびに何とも言いようのない気持ちに襲われます。
茂木:今の話からわかるように、マイケルさんはとてもユーモアがあって観察力が鋭いんです。ぜひ皆さん、『英国一家、日本をおかわり』読んでみてください。絶対に損しないです!
茂木:マイケルさんは、食べ物だけじゃなくて人間観察も非常に鋭くて深いんですけど、その観察力はどこで身につけられたんですか?
マイケル:食べ物に注目していると、食べ物に関連した人や文化・歴史についてだんだん見えてくるので、食べ物について興味を持つことによって色々なことを観察することができるようになりました。
茂木:例えば、マイケルさんが日本のバラエティ番組の収録現場に行った時の事なんて、本当に大爆笑で読んでいたんですけど、
食べ物以外の日本文化についても色々お書きになっていて面白いです。その辺りも興味があるところなんですか?
マイケル:食べ物以外にも色々なことに興味があります。例えば、以前出した北欧の本は、食べ物のことというより、人類学的なことを書きました。
今回の本は食べ物に関する本ですが、次の本は日本・中国・韓国・台湾の関係性について書く本なんです。
だいたい1冊の本を書くのに1年から2年かかるので、自分が本当にこれに興味があるのかということを自分に深く問いかけてから調査を始めています。
茂木:マイケルさんから見て、日本のここは大事に守って行った方がいいんじゃないか、という点と、ここは少し変えたり、発展させたりした方がいいんじゃないか、っていう点があったら教えてください。
マイケル:その問いはいつも私の中にありまして、日本に来るたびにそのことを考えるのですが、
本当のことを言うと、日本にはこのままでいて欲しいと思っています。
実際に変化は避けられないと言うことは分かっているのですが、私は本当にこの国が好きで、すごく敬意を持っているので、できればもう外国人に来てほしくないし、あまりその良さを知られたくないという気持ちもあります。
日本の人たちが自覚していないかもしれないんですけど、日本はすごく特別な国でずっとそのままでいてほしいと思っています。
茂木:そういう風にマイケルさんが言ってくださると、なんだか嬉しいですね。
「英国一家、日本をおかわり(マイケル・ブース)」
(Amazon)
●KADOKAWAオフィシャルサイト
●マイケル・ブース公式サイト
来週も引き続き、イギリスNO.1グルメライター、マイケル・ブースさんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。
トラベルジャーナリスト、そして、フードジャーナリストとして活動されていらっしゃいます、マイケル・ブースさんです。
1971年生まれ、イギリス・サセックスのご出身。
2010年に「ギルド・オブ・フードライター賞」を、
そして、2016年「ギルド・オブ・トラベルライター賞」を受賞。
パリの有名料理学校「ル・コルドン・ブルー」で1年間修業し、
レストラン「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」での経験をつづった
”Sacre Cordon Bleu(英国一家、フランスを食べる)”、は、BBCとTime Outで
絶賛され、ベストセラーにランクインするなど、高い評価を得ていらっしゃいます。
日本で発行されている著書には、日本の食文化を100日間取材した、
『英国一家、日本を食べる』や『英国一家、フランスを食べる』など多数あります。
現在、デンマークにご家族と一緒にお住まいでいらっしゃいます。
そして先日、KADOKAWAより、『英国一家、日本をおかわり』を刊行されました。
人気シリーズの続編となるのですが、今回はどんな内容となっているのか?
マイケル・ブースさんに詳しく伺いたいと思います。
──世界における日本食の理解度
茂木:マイケル・ブースさんの本は、ご家族が一緒に旅行に行かれるっていうのも非常に特徴なんですけども、今回の『英国一家、日本をおかわり』は、ますますパワーアップしてて。
マイケルさんは、日本人も行かないような田舎の奥の方まで入って行っちゃってますけど、どのようにして取材は可能になってるんですか?
マイケル:今回の本を書き始める時に、40個くらいのエピソードを入れたいと思っていたんです。
どの都道府県にも必ず面白いところや興味深い人達、興味深い食べものがあるということがわかっていたので、前回の本では行かなかったところに行きたいと思っていて。
それらの情報は編集者を通じて、色々な方や友達から情報を得て、行く場所を決めました。
茂木:マイケルさんが最初の本を書いてからこれまでの年月の中で、日本食の世界的な流行がますます加速してると思うんですけども、
イギリスとかアメリカでマイケルさんがお書きになったものってどのように読まれてるかっていう実感はありますか?
マイケル:この10年間で日本食は世界で爆発的に流行していて、ミシュランの星も日本のレストランはたくさん獲得しましたし、無形文化遺産にも選ばれたりしました。
でも、アメリカやイギリスでは、まだいまいち日本食は理解されていないと感じています。
アメリカ・イギリスの色んなところにある日本食レストランのレベルはまだとても低いです。
でも、自分の読者はグルメにすごく関心がある人ばっかりなので、もう少しよく分かっていると思っています。
1冊目は日本食について紹介するための本で、2冊目は1冊目を読んでくれた読者を自分と一緒に日本食の更に深い深いところを掘り下げて行って、一緒について来て欲しいと思って書いた本です。
茂木:1冊目の本の冒頭、トシさんが「フランス人は日本食を何も分かってない」と言ってますけれども、
やっぱり日本の料理をまだ理解してないような方がヨーロッパとかアメリカでは多数を占めてると思うんですけど、どうしたら日本食の良さをそういう方に届けられるでしょうか?
マイケル:アメリカ人とヨーロッパ人はまだ日本食についてまだ表面的にしか分かっていないと思います。
日本ですごく成功した日本食料理店をロンドンに出したとしても、同じものを作る事は出来ないんですね。
食材も違いますし、何より水が違うので、なかなか理解してもらうのは難しいと思っています。
例えば、ロンドンには「WAGAMAMA(ワガママ)」っていうチェーン店が色んなところにあって、すごく人気があるんですけど、そこで出しているのはすごく変な日本食で。
イギリス人の日本食に対する理解は、そこで始まってしまうので、なかなか難しいのかなと思います。
私の家の近くに「トウキョウ」という名前のレストランがあるんですけど、そこで出しているのは、中華料理とタイ料理なんです。そこを通るたびに何とも言いようのない気持ちに襲われます。
茂木:今の話からわかるように、マイケルさんはとてもユーモアがあって観察力が鋭いんです。ぜひ皆さん、『英国一家、日本をおかわり』読んでみてください。絶対に損しないです!
茂木:マイケルさんは、食べ物だけじゃなくて人間観察も非常に鋭くて深いんですけど、その観察力はどこで身につけられたんですか?
マイケル:食べ物に注目していると、食べ物に関連した人や文化・歴史についてだんだん見えてくるので、食べ物について興味を持つことによって色々なことを観察することができるようになりました。
茂木:例えば、マイケルさんが日本のバラエティ番組の収録現場に行った時の事なんて、本当に大爆笑で読んでいたんですけど、
食べ物以外の日本文化についても色々お書きになっていて面白いです。その辺りも興味があるところなんですか?
マイケル:食べ物以外にも色々なことに興味があります。例えば、以前出した北欧の本は、食べ物のことというより、人類学的なことを書きました。
今回の本は食べ物に関する本ですが、次の本は日本・中国・韓国・台湾の関係性について書く本なんです。
だいたい1冊の本を書くのに1年から2年かかるので、自分が本当にこれに興味があるのかということを自分に深く問いかけてから調査を始めています。
茂木:マイケルさんから見て、日本のここは大事に守って行った方がいいんじゃないか、という点と、ここは少し変えたり、発展させたりした方がいいんじゃないか、っていう点があったら教えてください。
マイケル:その問いはいつも私の中にありまして、日本に来るたびにそのことを考えるのですが、
本当のことを言うと、日本にはこのままでいて欲しいと思っています。
実際に変化は避けられないと言うことは分かっているのですが、私は本当にこの国が好きで、すごく敬意を持っているので、できればもう外国人に来てほしくないし、あまりその良さを知られたくないという気持ちもあります。
日本の人たちが自覚していないかもしれないんですけど、日本はすごく特別な国でずっとそのままでいてほしいと思っています。
茂木:そういう風にマイケルさんが言ってくださると、なんだか嬉しいですね。
「英国一家、日本をおかわり(マイケル・ブース)」
(Amazon)
●KADOKAWAオフィシャルサイト
●マイケル・ブース公式サイト
来週も引き続き、イギリスNO.1グルメライター、マイケル・ブースさんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。