Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.257 米林宏昌監督

2018年03月03日

今週ゲストにお迎えしたのは、先週に引き続き、映画『メアリと魔女の花』の監督、米林宏昌さんです。

米林監督は、石川県生まれ。
1996年に、スタジオジブリに入社。
2010年公開の『借りぐらしのアリエッティ』で、歴代最年少監督に就任。

そして、2014年に制作した『思い出のマーニー』が、その年の邦画1位を獲得。
また、第88回アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされました。
スタジオジブリ退社後、2015年に設立された「スタジオポノック」で、2017年、『メアリと魔女の花』の監督を務められました。

【メアリと魔女の花】
田舎町の赤い館村に引っ越してきた11歳の少女メアリは、7年に1度しか咲かない不思議な花「夜間飛行」を森の中で発見します。
しかしそれは、かつて魔女の国から盗み出された禁断の花だったのです。
一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、魔法世界の最高学府、エンドア大学への入学を許されるが、メアリがついた「ある嘘」が、大きな事件を引き起こしてしまうのだった・・・・。


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──驚きと感動を

茂木:今回の「メアリと魔女の花」は、手描きアニメの可能性を広げてくださったと思うんですけど。
観てて、ジブリの質感と違う質感があるなと感じたんですけど、そのあたりは監督としてどうですか?

米林:何を受け継いで、自分たちがやってきたものを描いて、そこから何を新しいものを描いていくかと……これはスタジオジブリの様々な作品もそうだったんですけど、ここは何か新しいことに挑戦しようとか、ここはずっとやってきたものをやっていこうとかと。

茂木:はい。

米林:そういう意味では、今回の作品も僕たちがやってきたものは残しつつ、何を新しいものを取り入れていけるかっていうのを、そういうことはこれまでも考えてきましたし今回の「メアリと魔女の花」でも考えましたね。

茂木:原作がイギリスの女性作家、メアリー・スチュアートの1971の児童文学「The little broomstick」ということですが、この作品とはどうやって出会われたんですか?

米林:スタートが、前回の「思い出のマーニー」とは真逆の動く作品を作りたいなという思いがあったので。
主人公がよく動くファンタジー作品ということで、いろんな原作を探していたんですけど、僕と西村プロデューサーで図書館でいろんな作品を探していって、西村プロデューサーが探してきたのが「The little broomstick」だったんです。

茂木:僕、作品の中に出てくるエンドア大学の造形がすごいなと思ったんですけど、あれはどのへんから?

米林:原作の挿絵があるにしても文字なので、そこからどうやってイメージを飛躍して作っていくかと…面白いんですけど大変なものでした。

茂木:なるほど。

米林:今回、実写で活躍されてきた今井さんという美術の方にも手伝っていただいたりして。
どうしたら、思いもよらない造形が作れるかっていうのを、何人かのスタッフで作っていきました。

茂木:奇想天外というか、すごかったんですけど。
マダム・マンブルチュークさんが登場する噴水のシーンなんかも”うわ〜!”と思ったんですけど、あそこを描くのは大変だったんじゃないですか?

米林:最初に校長先生が出てくるシーンなので、何かひとつ驚かす装置を作っておかないといけないと思って。
それで、噴水の中から水の姿で現れたらどうかなと思って。思い付いたはいいけど、描こうと思うと大変で、あのシーンだけで動画の人がワンカット、数秒で何ヶ月も(笑)。

茂木:え!何ヶ月も!?でも、すごく印象に残っているんですよね。

米林:印象に残るようなシーンが何個かないといけないだろうなと思いながらも、大変な作品でしたね。

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──ひとつのテーマ

茂木:ジブリは永遠の名作をたくさん作っていますし、宮崎監督も素晴らしい方なんですけど。
そろそろ「メアリと魔女の花」あたりから、米林監督の作品と受け止め始めてるんですよ、そのあたりはどうですか?

米林:そういう風に思ってもらえると嬉しいなと思っています。
どうしても、スタジオジブリの作品であったり、宮崎監督と比べられることがずっと続いていましたので。3本も作れば、何か出てくるんじゃないかという思いで作っています(笑)。

茂木:キャラクターもユニークというか、米林さんの感じが出てるのかなと感じましたけど。

米林:三作品とも、主人公が問題は大小ありますけど、それに向き合ってちょっと一歩進んでいくような物語を描いてて……観てくれたお客さんにとって、ちょっと背中を押すような、そんな作品が作れたらいいなと思いながら作っています。

茂木:今回の「メアリと魔女の花」の、非常に大きなテーマが、魔法を使いすぎることの危険性とか、人間性が問われる場面も出てきますけど。
アニメって、いつも素晴らしい作品は刺さる気がするんですよね。

米林:今回もひとつテーマとして描くんだったら、変身。原作でもあったんですけど、変身する動物が出てきたりする。これはひとつ映画としてテーマになるだろうと思っていて。少女として、ちょっとした成長の変身だったり、マダム・マンブルチュークや、ドクター・デイといった対立する人たち、彼らは大人なんですけど、他の人を変えようとする実験を行っているんですね。

茂木:はい。

米林:他人を変化させて、変身させようとすることなんていうのは、いろんな現場で往々にしてあるようなことだろうと思うし。それは教育の現場であったり、怖い問題だろうなって。
メアリたちは自分が変わろうとしている、そういうものと対立して、何か物語を描けたらなという思いはありましたけど。僕自身も、スタジオジブリっていう大きな魔法を得た中で作品を作ってきましたけど、そういった大きな魔法の力がなくても、自分の力で立ち向かって歩き出せる。
そういう主人公を描くことができれば、これは僕たち自身の物語でもあるし、多くの人たちにとって見てもその大きな魔法というのが何なのか?
それがなくても、自分の足で立ち向かっていくことができるかどうか。それはいろんな世代の人たちが、自分にとっての魔法というものはどういうものなのか?
それぞれがテーマに描きながら、この映画を観てもらえたらいいなと思いますね。

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『メアリと魔女の花』ブルーレイ/DVD 3月20日(火)リリース
【発 売 元】  ウォルト・ディズニー・ジャパン
【コピーライト】🄫2017「メアリと魔女の花」製作委員会
【価  格】 ブルーレイ:5,800円+税
DVD:4,700円+税
コレクターズ・エディション 12、000円+税
【公式HP】http://www.maryflower.jp/




『メアリと魔女の花』公式サイト

●3/20発売「メアリと魔女の花 [DVD]」



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来週は、作家・エッセイストの小澤征良さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。