2018年02月24日
今週ゲストにお迎えしたのは、映画『メアリと魔女の花』の監督、米林宏昌さんです。
米林監督は、石川県生まれ。
1996年に、スタジオジブリに入社。
2010年公開の『借りぐらしのアリエッティ』で、歴代最年少監督に就任。
そして、2014年に制作した『思い出のマーニー』が、その年の邦画1位を獲得。
また、第88回アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされました。
スタジオジブリ退社後、2015年に設立された「スタジオポノック」で、2017年、『メアリと魔女の花』の監督を務められました。
──深夜0時、1日の始まり
茂木:米林監督はスタジオジブリを退社されたのちに、スタジオポノックを設立されて、2017年『メアリと魔女の花』これは満を持してというんですかね?
米林:スタジオジブリは「思い出のマーニー」という作品を作ってる最中に、制作部門を解散するっていうことが決まっていて。
それでも、僕たちは作りたいなと思っていたので。
茂木:スタジオジブリと言えば世界的な大スタジオじゃないですか?それが制作部門を解散というのは、我々にとっても大きなニュースだったんですけど。中にいらしてどうでしたか?
米林:僕らは入社した時から言われていたんですよ、「いつまでもスタジオジブリはあると思うなよ」と。
いつ会社がなくなったとしても、力をつけておかないといけないということは言われていたので、話を聞いた時は”いよいよその時が来たのか”という風に思いました。それで、新しいスタジオを作りました。
茂木:スタジオポノックというのは、どういう意味なんですか?
米林:これは、プロデューサーであり、社長の西村義明が考えたスタジオ名なんですけど。
クロアチア語で深夜0時という意味らしいんですけど、僕たちがこれからスタートしていくにあたって、1日の始まりである深夜0時、新しいスタジオの名前にふさわしいんじゃないだろうかという思いを込めて決めたみたいですね。
──アニメーションの魅力
茂木:スタジオジブリで2つの長編アニメを担当されたというのは素晴らしいことですよね。誰でもできるわけじゃないですからね。
米林:そうですね、ありがたいことに作らせていただきましたし、今回の「メアリと魔女の花」で3本目ですし
3本も映画を作った人は、なかなかいないですね。
茂木:3本目はスタジオポノックということで、西村義明プロデューサーとともに色々されているんですけど。
スタジオジブリにいらした、才能も熱意もあるアニメーターの方々が行き場所がなかなか大変で……その方々もスタジオポノックに参加されていると思うんですけど、やっぱりジブリの時の仲間は引き続き一緒にやっているんですか?
米林:また集まってくれて、すごく助けられました。
ジブリで活躍されていた方たちは優秀な人ばかりなので、方々散らばった後に、また集まってもらうとなると大変なんですよ。他のプロダクションなんかでも、抜けられないっていう人たちがたくさんいる中で制作しなくちゃいけなくて。
初めの頃は全然人が集まってなくて苦労しましたね。
茂木:世界のアニメファンが気にしてるポイントだと思うんですけど、今、CGの技術が上がってきてる中で
スタジオポノックは、スタジオジブリも大切にしてきた手描きということを中心に据えてらっしゃるじゃないですか?そのあたりはどうなんですか?
米林:一番の理由は僕が手描きのアニメーター出身だから、手描きで描いたものが人に伝わるということを知っているから。
どういうような表現をするかということは問題じゃなくて、どういう風にお客さんに伝えることができるか、ということだと思うんですね。
茂木:なるほど。
米林:絵っていうのは不思議なもので、描いてる人の気持ちとか、伝えようとする意思というのは絵の中に出るんですよね。
そういうものはお客さんに伝わっているということを確信してるし、今回も、基本的には手描きで迫力を出していこうという思いで「メアリと魔女の花」を作りました。
茂木:「メアリと魔女の花」でも、ロケハンとか、普通の映画みたいに行ったりもするんですか?
米林:今回もファンタジーの世界を描くので、逆にファンタジーじゃないシーン、メアリはイギリスの田舎町の舞台で、そこからほうきにまたがって別の世界に行ってしまうという話なんですけど。
ファンタジー世界でも、現実世界をきちんと描かなければ絵空事になってしまうので。出来上がっばかりで貧乏な会社だったんですけど(笑)、これはみんなでロケに行くしかないだろうと、スタッフたちでイギリスに行きましたね。
茂木:アニメの方が行くと、やっぱり自分の目で見ることが大事ですか?
米林:そうなんですよね。もちろん写真を撮って記憶を取り戻すんですけど。自分で見て体感したものっていうのは残っているんですね。
「思い出のマーニー」という作品をやった時も、杏奈が湿地を舞台にしたところで、心を取り戻していくんですけど。
主人公の杏奈にとってみたら、自然自体も心の回復に役に立っているんじゃないかと…これは体験しなくてはいけないだろうなと思って、僕も湿地に行って中に入っていってみて”あ、この感覚か!”って(笑)。
茂木:湿地を歩くシーンが異様にリアルですけど、体感されているんですね。
米林:体感して、それをそのまま絵に写すんじゃなくて、自分の中で醸造させて絵にしていく。これは実写ではできないだろうなって、アニメーションだと伝えたいものを抽出して描くことができるんですね。これもアニメーションの魅力のひとつだと思います。
『メアリと魔女の花』ブルーレイ/DVD 3月20日(火)リリース
【発 売 元】 ウォルト・ディズニー・ジャパン
【コピーライト】🄫2017「メアリと魔女の花」製作委員会
【価 格】 ブルーレイ:5,800円+税
DVD:4,700円+税
コレクターズ・エディション 12、000円+税
【公式HP】http://www.maryflower.jp/
●『メアリと魔女の花』公式サイト
●3/20発売「メアリと魔女の花 [DVD]」
(Amazon)
来週も引き続き、米林宏昌監督をお迎えします。
どうぞお楽しみに。
米林監督は、石川県生まれ。
1996年に、スタジオジブリに入社。
2010年公開の『借りぐらしのアリエッティ』で、歴代最年少監督に就任。
そして、2014年に制作した『思い出のマーニー』が、その年の邦画1位を獲得。
また、第88回アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされました。
スタジオジブリ退社後、2015年に設立された「スタジオポノック」で、2017年、『メアリと魔女の花』の監督を務められました。
──深夜0時、1日の始まり
茂木:米林監督はスタジオジブリを退社されたのちに、スタジオポノックを設立されて、2017年『メアリと魔女の花』これは満を持してというんですかね?
米林:スタジオジブリは「思い出のマーニー」という作品を作ってる最中に、制作部門を解散するっていうことが決まっていて。
それでも、僕たちは作りたいなと思っていたので。
茂木:スタジオジブリと言えば世界的な大スタジオじゃないですか?それが制作部門を解散というのは、我々にとっても大きなニュースだったんですけど。中にいらしてどうでしたか?
米林:僕らは入社した時から言われていたんですよ、「いつまでもスタジオジブリはあると思うなよ」と。
いつ会社がなくなったとしても、力をつけておかないといけないということは言われていたので、話を聞いた時は”いよいよその時が来たのか”という風に思いました。それで、新しいスタジオを作りました。
茂木:スタジオポノックというのは、どういう意味なんですか?
米林:これは、プロデューサーであり、社長の西村義明が考えたスタジオ名なんですけど。
クロアチア語で深夜0時という意味らしいんですけど、僕たちがこれからスタートしていくにあたって、1日の始まりである深夜0時、新しいスタジオの名前にふさわしいんじゃないだろうかという思いを込めて決めたみたいですね。
──アニメーションの魅力
茂木:スタジオジブリで2つの長編アニメを担当されたというのは素晴らしいことですよね。誰でもできるわけじゃないですからね。
米林:そうですね、ありがたいことに作らせていただきましたし、今回の「メアリと魔女の花」で3本目ですし
3本も映画を作った人は、なかなかいないですね。
茂木:3本目はスタジオポノックということで、西村義明プロデューサーとともに色々されているんですけど。
スタジオジブリにいらした、才能も熱意もあるアニメーターの方々が行き場所がなかなか大変で……その方々もスタジオポノックに参加されていると思うんですけど、やっぱりジブリの時の仲間は引き続き一緒にやっているんですか?
米林:また集まってくれて、すごく助けられました。
ジブリで活躍されていた方たちは優秀な人ばかりなので、方々散らばった後に、また集まってもらうとなると大変なんですよ。他のプロダクションなんかでも、抜けられないっていう人たちがたくさんいる中で制作しなくちゃいけなくて。
初めの頃は全然人が集まってなくて苦労しましたね。
茂木:世界のアニメファンが気にしてるポイントだと思うんですけど、今、CGの技術が上がってきてる中で
スタジオポノックは、スタジオジブリも大切にしてきた手描きということを中心に据えてらっしゃるじゃないですか?そのあたりはどうなんですか?
米林:一番の理由は僕が手描きのアニメーター出身だから、手描きで描いたものが人に伝わるということを知っているから。
どういうような表現をするかということは問題じゃなくて、どういう風にお客さんに伝えることができるか、ということだと思うんですね。
茂木:なるほど。
米林:絵っていうのは不思議なもので、描いてる人の気持ちとか、伝えようとする意思というのは絵の中に出るんですよね。
そういうものはお客さんに伝わっているということを確信してるし、今回も、基本的には手描きで迫力を出していこうという思いで「メアリと魔女の花」を作りました。
茂木:「メアリと魔女の花」でも、ロケハンとか、普通の映画みたいに行ったりもするんですか?
米林:今回もファンタジーの世界を描くので、逆にファンタジーじゃないシーン、メアリはイギリスの田舎町の舞台で、そこからほうきにまたがって別の世界に行ってしまうという話なんですけど。
ファンタジー世界でも、現実世界をきちんと描かなければ絵空事になってしまうので。出来上がっばかりで貧乏な会社だったんですけど(笑)、これはみんなでロケに行くしかないだろうと、スタッフたちでイギリスに行きましたね。
茂木:アニメの方が行くと、やっぱり自分の目で見ることが大事ですか?
米林:そうなんですよね。もちろん写真を撮って記憶を取り戻すんですけど。自分で見て体感したものっていうのは残っているんですね。
「思い出のマーニー」という作品をやった時も、杏奈が湿地を舞台にしたところで、心を取り戻していくんですけど。
主人公の杏奈にとってみたら、自然自体も心の回復に役に立っているんじゃないかと…これは体験しなくてはいけないだろうなと思って、僕も湿地に行って中に入っていってみて”あ、この感覚か!”って(笑)。
茂木:湿地を歩くシーンが異様にリアルですけど、体感されているんですね。
米林:体感して、それをそのまま絵に写すんじゃなくて、自分の中で醸造させて絵にしていく。これは実写ではできないだろうなって、アニメーションだと伝えたいものを抽出して描くことができるんですね。これもアニメーションの魅力のひとつだと思います。
『メアリと魔女の花』ブルーレイ/DVD 3月20日(火)リリース
【発 売 元】 ウォルト・ディズニー・ジャパン
【コピーライト】🄫2017「メアリと魔女の花」製作委員会
【価 格】 ブルーレイ:5,800円+税
DVD:4,700円+税
コレクターズ・エディション 12、000円+税
【公式HP】http://www.maryflower.jp/
●『メアリと魔女の花』公式サイト
●3/20発売「メアリと魔女の花 [DVD]」
(Amazon)
来週も引き続き、米林宏昌監督をお迎えします。
どうぞお楽しみに。