Dream Heart(ドリームハート)

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Dream HEART vol.248 2017年の振り返り

2017年12月30日

今週は、Dream HEART 2017年の振り返りをお送りしました。



──ピアニスト・反田恭平さん

茂木:反田さんはいろんな意味で例外的すぎちゃって、反田さんにとって学校っているのかなって思ってしまうくらいなんですよ。

反田:僕自身も、一時は”学校なんていらない”と思ったんですよ。ただ、逆に「学校を作りたい側」にもなったんです。やっぱりピアニストっていうのは作曲家ではないので残せるものが限られているとは思うんです。
だから、音源や功績よりも、後輩指導だったり、後世に残るようなものを作りたいと思っています。僕なんかは80歳の方からロシア音楽の伝統を教わりましたし、「生涯、ロシア音楽を伝承し続けて欲しい」と先生がおっしゃってくださったんです。
この世界、まだピアノを見たことない子供たちがいるかもしれない。そこに行って弾いてあげたいな、と思いましたし、その延長線でつながって行った事として、ゆくゆくは日本に音楽院を建てたいんです。

茂木:日本にはいわゆる音楽院は現状無いってことですか?

反田:素晴らしい先生と素晴らしい環境下の元、日本の音楽大学があって、僕もすごくお世話になったし、素敵だと思うんですけど、逆の価値観で見てみると、日本発信で世界に行く子たちはいるけれど、海外から日本に来る音楽家っていないんですよ。
確かにヨーロッパで始まった音楽なので仕方ないとはいえ、日本からも素敵な作曲家も出ていますし、今もいます。こんなにも綺麗な国なのにもかかわらず、なぜいないのか?
そこには違う問題があるのではないかと思ったので、逆に日本から世界に音楽を発信したいと思ったんです。

茂木:では、将来は音楽院の設立も視野に入れているんですね。

反田:そうですね。

茂木:反田さん、本当に22歳ですよね?(笑)

反田:(笑)。でも、いま20代だからこそ、考えなければいけないと思うんですよ。
”誰のために弾いているか”って、時々思うことがあって、留学し始めた当初なんかは誰のために弾いているのか分からないこともあったんです。
ただ、先生から言われたのが、「君に才能があったとしよう。その才能は自分自身に使うものなのか。それとも、人のために使うのか」って言われた時に、それまでは自分のために弾いていたところが伺えていたので、人のために使ってみようって思ったんです。

茂木:なるほど!

反田:なので、誰かがやるのではなく、”俺がやる”っていう気持ちでなければ無理だと思うんですよね。



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──MITメディア・ラボ所長、伊藤穰一さん

茂木:伊藤さんは、大学を二回やめたじゃないですか?日本国内では、伊藤さんがメディアラボの所長になったとき、「大学も二回やめちゃったし、学位もない、そういう人を所長にするんだ」と、驚きを持って受け止められたんですけど、どういうプロセスだったんですか?

伊藤:日本もそうだと思うんだけど、人を探すときにきちっとしたプロセスがあって、何百人の候補がいたのね。
ニコラス・ネグロポンテという創業者から「どお?」って聞かれて、彼も僕の経歴を見て「難しいかな〜」と言われて。

茂木:そうなんですね。

伊藤:でも、彼は半年くらいインタビューし続けて、誰も残らなかったの。『一度来てみたら』と言われて行ったの。
2日間学生とか先生とかスタッフと会ったら、あまりにもぴったりでお互いびっくりしちゃったのよ(笑)。
何が一番重要だったかというと、メディアラボってものすごい色んなことをやってるし、ひとりひとりの先生が全然違う分野…音楽もあれば、ロボットもあるし、教育もある。
学位がある人っていうと、自分の好きなものと興味がないものって必然的にありますよね、専門分野があるから。

茂木:そうですね。

伊藤:僕はすべてに興味があるし、今までそれが弱点だったわけなんですよ。全部に興味があると何も集中できていないから。
メディアラボっていうのは、みんなの話に興味が持てて、ある程度理解できる人じゃないと所長になれないんですよ。
したがって、学位持っている人たちは、みんな多少偏っちゃっていたところもあるんじゃないかと思います。

茂木:その仕事に合ってたってことですよね。インタビューして決めるっていうのはアメリカでは一般的なんでしょうかね?

伊藤:一般的だけど、メディアラボもすごく特殊なんだよね。

茂木:今回の著書「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」の中の、能力より多様性というのを思い出したんですけど。
いま日本の大学とかだと点数つけちゃって、この人は論文何個書いてるから、何点だからっていう風に人事しちゃいがちなんですけど、それとは違う思想ですね。

伊藤:科学的な裏付けがあるんだけど、偏差値が高いけど同じようなバックグラウンドの人を集めるよりも、ちょっと偏差値が低くて、みんなそれぞれ違う人の方が、問題を解くときのクリエイティビティが高くて、問題を解く確率が高くなるので。
色んな角度からものを見る必要があるので、そういう意味でも、我々は一次元で測れる人じゃない方がいいんですよね。

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来週は、モテクリエイター ゆうこす、という愛称で親しまれている菅本ゆうこさんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。