2017年12月23日
今週お迎えしたのは、本日、12月23日から、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開されました、
映画「ダンシング・ベートーヴェン」の監督、アランチャ・アギーレさんです。
アギーレさんは、マドリード生まれ。
10代の時にベジャール・バレエ団の公演を見て感銘を受け、
当時、ブリュッセルにあった、ベジャール・バレエ団のスクールで学んだ経験をお持ちの監督です。
助監督として、映画監督のもとで経験を積み、2008年に、ベジャール・バレエ団にドキュメンタリーの制作を持ちかけ、
代表作となった、『ベジャール、そしてバレエはつづく』を発表され、大きな反響を呼びます。
映画「ダンシング・ベートーヴェン」は、2007年に逝去された、フランスの天才バレエ振付家、
モーリス・ベジャールの代表作「第九交響曲」を、ベジャール・バレエ団と東京バレエ団、
世界的指揮者ズービン・メータ率いる、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が、奇跡の共演を果たした東京公演の舞台裏に密着したドキュメンタリー映画です。
アランチャ・アギーレさんに、「ダンシング・ベートーヴェン」の魅力を伺いました。
── ベートーヴェンへのオマージュ
茂木:映画「ダンシング・ベートーヴェン」は、モーリス・ベジャールが振り付けした中で、「21世紀のバレエ史上最高傑作」と呼ばれている演目「第九交響曲」のステージが出来上がるまで、ベジャール・バレエ団と東京バレエ団、そして世界的指揮者ズービン・メータ率いる、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が奇跡の共演を果たした東京公演に密着されたわけなんですけど。
この映画で、「第九交響曲」の芸術としての素晴らしさが、見事に捉えられていたと思うんですけど。
「第九交響曲」という作品をまだ知らない方に、どこが一番作品の魅力だと、監督の言葉で伝えていただくとどういうことになるでしょうか?
アランチャ・アギーレ:いま、名前を挙げてくださったベジャール・バレエ団と東京バレエ団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の他に、私はもうひとつクレジットとして申し上げておきたいのは、栗友会合唱団の方々ですね。
素晴らしい合唱を聴かせてくれたということで、それを忘れずに申し上げておきたいと思います。
茂木:合唱指揮者の栗山文昭さんが音楽監督を務めてらっしゃる、栗友会の皆さんが素晴らしい合唱を聴かせてくださっていますね。
アランチャ・アギーレ:このような偉大な作品を知らずして、人生を過ごすことは損失だと思います。
作品は存在してるわけですから、あとは知るしかない、知らないと罪になると思います。
(C)Fondation Maurice Bejart, 2015 (C) Fondation Bejart Ballet Lausanne, 2015
茂木:監督が偉大な映画監督だけではなくて、非常に優れたコピーライターだと知りました(笑)。
アランチャ・アギーレ:コピーライトとしてどうかはわかりませんが(笑)。私が申し上げたいのは、人間というのは体に栄養を与えるのが必要であると同時に、精神に栄養を与えるのも必要だと思います。
その栄養になるのは、こういった古典作品なわけなんですけど、時の試練に耐えてきただけあって、素晴らしい作品は存在している。
あとは皆さんが発見するだけなんです。
茂木:ベートーヴェンは、「第九交響曲」を作曲した頃には、ほとんど耳が聴こえていなかったので、頭の中で音は響かせられたんでしょうけど、実際に演奏を聴くことはなかったわけですが。
この映画の中で印象的なシーンがあって、ベートーヴェンが「第九交響曲」のバレエを見たら、”これが私のシンフォニーを踊りにしたものなんだ”と、感銘を受けたんじゃないかというセリフがあったと思うんですけど、そのあたりはどうですか?
アランチャ・アギーレ:そうなんです。私もこの作品を、ある意味ベートーヴェンへのオマージュとして作っているわけなんですけど。
というのも、アーティストたちが、ベートーヴェンの美を後世にこのような形で伝えているということが重要なわけです。
彼自身が、自分の作曲した素晴らしいものを楽しむ可能性はなかったわけなんですね。つまり、すべての努力とか、辛い仕事というのは、彼は他の人のためにやった。
それを知った時に私は感動しましたし、今回の映画というのも、時を超えたベートーヴェンへのオマージュとして、例え耳が聴こえない人でも「第九交響曲」という作品にアクセスできる形にしました。
茂木:この映画をこれから観る方に、どういう気持ちで、どういうところに注目して観ていただきたいという監督からのメッセージがありましたら、お願いします。
アランチャ・アギーレ:この映画は、希望についての、希望を語った映画だと思うんですね。
希望というのは、みんなが必要としてるものだと思います。日本の皆さんがすごいと思うのは、島で、時には厳しい自然と対峙して暮らしています、それは勇気のいることだと思います。
希望を持って前進するということは、日本の方にも必要だと思いますので、そういった意味でもこの映画をぜひ観ていただきたいです。
茂木:ありがとうございます。この番組はタイトルが表してるように、夢を追い求めている番組なんですけど。今後、アギーレ監督の夢、挑戦していきたいことがありましたら教えてください。
アランチャ・アギーレ:毎回、映画を撮るごとに進歩していきたいというのが、いつも夢見ているんですけど。
いま、具体的な夢としては日本で作品を撮りたいと思っているんです。
その作品は、スペインと日本の関係を、フラメンコを通じて語るという映画を撮りたいと思っているんです。日本に来て驚いたのは、日本でフラメンコを愛してる人がこんなにたくさんいるんです。フラメンコは、私の国スペインの音楽なんですけど。
なぜ、日本でこんなに人気なのかを知りたい、それを考察するようなドキュメンタリー映画を撮ってみたいですね。
茂木:それはとても楽しみですし、ぜひ観たいと思いますので早く撮ってほしいですね(笑)。
アランチャ・アギーレ:ありがとうございます(笑)。
●『ダンシング・ベートヴェン』 12月23日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国公開
映画「ダンシング・ベートーヴェン」オフィシャルサイト
■配給:シンカ
■スタッフ・キャスト
振付:モーリス・ベジャール
監督:アランチャ・アギーレ
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲『交響曲第9番 ニ短調 作品125』
出演:マリヤ・ロマン/モーリス・ベジャール・バレエ団:エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー、カテリーナ・シャルキナ、那須野圭右、オスカー・シャコン、大貫真幹
/東京バレエ団:上野水香、柄本弾、吉岡美佳
/クリスティン・ルイス、藤村実穂子、福井敬、アレクサンダー・ヴィノグラードフ、栗友会合唱団
ジル・ロマン(モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督)、ズービン・メータ(イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督)
配給:シンカ/宣伝:ブリッジヘッド 協力:東京バレエ団/後援:スイス大使館
2016年/原題:BEETHOVEN PAR BEJART/83分/スイス、スペイン/
フランス語、英語、日本語、スペイン語、ロシア語/カラー/1:1.78/ドルビー・デジタル5.1ch/字幕:村上伸子、字幕監修:岡見さえ
http://www.synca.jp/db/
来週は、2017年を振り返っていきます。
どうぞお楽しみに。
映画「ダンシング・ベートーヴェン」の監督、アランチャ・アギーレさんです。
アギーレさんは、マドリード生まれ。
10代の時にベジャール・バレエ団の公演を見て感銘を受け、
当時、ブリュッセルにあった、ベジャール・バレエ団のスクールで学んだ経験をお持ちの監督です。
助監督として、映画監督のもとで経験を積み、2008年に、ベジャール・バレエ団にドキュメンタリーの制作を持ちかけ、
代表作となった、『ベジャール、そしてバレエはつづく』を発表され、大きな反響を呼びます。
映画「ダンシング・ベートーヴェン」は、2007年に逝去された、フランスの天才バレエ振付家、
モーリス・ベジャールの代表作「第九交響曲」を、ベジャール・バレエ団と東京バレエ団、
世界的指揮者ズービン・メータ率いる、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が、奇跡の共演を果たした東京公演の舞台裏に密着したドキュメンタリー映画です。
アランチャ・アギーレさんに、「ダンシング・ベートーヴェン」の魅力を伺いました。
── ベートーヴェンへのオマージュ
茂木:映画「ダンシング・ベートーヴェン」は、モーリス・ベジャールが振り付けした中で、「21世紀のバレエ史上最高傑作」と呼ばれている演目「第九交響曲」のステージが出来上がるまで、ベジャール・バレエ団と東京バレエ団、そして世界的指揮者ズービン・メータ率いる、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が奇跡の共演を果たした東京公演に密着されたわけなんですけど。
この映画で、「第九交響曲」の芸術としての素晴らしさが、見事に捉えられていたと思うんですけど。
「第九交響曲」という作品をまだ知らない方に、どこが一番作品の魅力だと、監督の言葉で伝えていただくとどういうことになるでしょうか?
アランチャ・アギーレ:いま、名前を挙げてくださったベジャール・バレエ団と東京バレエ団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の他に、私はもうひとつクレジットとして申し上げておきたいのは、栗友会合唱団の方々ですね。
素晴らしい合唱を聴かせてくれたということで、それを忘れずに申し上げておきたいと思います。
茂木:合唱指揮者の栗山文昭さんが音楽監督を務めてらっしゃる、栗友会の皆さんが素晴らしい合唱を聴かせてくださっていますね。
アランチャ・アギーレ:このような偉大な作品を知らずして、人生を過ごすことは損失だと思います。
作品は存在してるわけですから、あとは知るしかない、知らないと罪になると思います。
(C)Fondation Maurice Bejart, 2015 (C) Fondation Bejart Ballet Lausanne, 2015
茂木:監督が偉大な映画監督だけではなくて、非常に優れたコピーライターだと知りました(笑)。
アランチャ・アギーレ:コピーライトとしてどうかはわかりませんが(笑)。私が申し上げたいのは、人間というのは体に栄養を与えるのが必要であると同時に、精神に栄養を与えるのも必要だと思います。
その栄養になるのは、こういった古典作品なわけなんですけど、時の試練に耐えてきただけあって、素晴らしい作品は存在している。
あとは皆さんが発見するだけなんです。
茂木:ベートーヴェンは、「第九交響曲」を作曲した頃には、ほとんど耳が聴こえていなかったので、頭の中で音は響かせられたんでしょうけど、実際に演奏を聴くことはなかったわけですが。
この映画の中で印象的なシーンがあって、ベートーヴェンが「第九交響曲」のバレエを見たら、”これが私のシンフォニーを踊りにしたものなんだ”と、感銘を受けたんじゃないかというセリフがあったと思うんですけど、そのあたりはどうですか?
アランチャ・アギーレ:そうなんです。私もこの作品を、ある意味ベートーヴェンへのオマージュとして作っているわけなんですけど。
というのも、アーティストたちが、ベートーヴェンの美を後世にこのような形で伝えているということが重要なわけです。
彼自身が、自分の作曲した素晴らしいものを楽しむ可能性はなかったわけなんですね。つまり、すべての努力とか、辛い仕事というのは、彼は他の人のためにやった。
それを知った時に私は感動しましたし、今回の映画というのも、時を超えたベートーヴェンへのオマージュとして、例え耳が聴こえない人でも「第九交響曲」という作品にアクセスできる形にしました。
茂木:この映画をこれから観る方に、どういう気持ちで、どういうところに注目して観ていただきたいという監督からのメッセージがありましたら、お願いします。
アランチャ・アギーレ:この映画は、希望についての、希望を語った映画だと思うんですね。
希望というのは、みんなが必要としてるものだと思います。日本の皆さんがすごいと思うのは、島で、時には厳しい自然と対峙して暮らしています、それは勇気のいることだと思います。
希望を持って前進するということは、日本の方にも必要だと思いますので、そういった意味でもこの映画をぜひ観ていただきたいです。
茂木:ありがとうございます。この番組はタイトルが表してるように、夢を追い求めている番組なんですけど。今後、アギーレ監督の夢、挑戦していきたいことがありましたら教えてください。
アランチャ・アギーレ:毎回、映画を撮るごとに進歩していきたいというのが、いつも夢見ているんですけど。
いま、具体的な夢としては日本で作品を撮りたいと思っているんです。
その作品は、スペインと日本の関係を、フラメンコを通じて語るという映画を撮りたいと思っているんです。日本に来て驚いたのは、日本でフラメンコを愛してる人がこんなにたくさんいるんです。フラメンコは、私の国スペインの音楽なんですけど。
なぜ、日本でこんなに人気なのかを知りたい、それを考察するようなドキュメンタリー映画を撮ってみたいですね。
茂木:それはとても楽しみですし、ぜひ観たいと思いますので早く撮ってほしいですね(笑)。
アランチャ・アギーレ:ありがとうございます(笑)。
●『ダンシング・ベートヴェン』 12月23日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国公開
映画「ダンシング・ベートーヴェン」オフィシャルサイト
■配給:シンカ
■スタッフ・キャスト
振付:モーリス・ベジャール
監督:アランチャ・アギーレ
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲『交響曲第9番 ニ短調 作品125』
出演:マリヤ・ロマン/モーリス・ベジャール・バレエ団:エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー、カテリーナ・シャルキナ、那須野圭右、オスカー・シャコン、大貫真幹
/東京バレエ団:上野水香、柄本弾、吉岡美佳
/クリスティン・ルイス、藤村実穂子、福井敬、アレクサンダー・ヴィノグラードフ、栗友会合唱団
ジル・ロマン(モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督)、ズービン・メータ(イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督)
配給:シンカ/宣伝:ブリッジヘッド 協力:東京バレエ団/後援:スイス大使館
2016年/原題:BEETHOVEN PAR BEJART/83分/スイス、スペイン/
フランス語、英語、日本語、スペイン語、ロシア語/カラー/1:1.78/ドルビー・デジタル5.1ch/字幕:村上伸子、字幕監修:岡見さえ
http://www.synca.jp/db/
来週は、2017年を振り返っていきます。
どうぞお楽しみに。