2017年12月16日
今週お迎えしたのは、文藝春秋から初の小説「ふたご」を発売された SEKAI NO OWARIのSaoriさんこと、 藤崎彩織さんです。
彩織さんはSEKAI NO OWARIでピアノ演奏とライブ演出を担当。
研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏は、デビュー以来、絶大な支持を得ています。そんな彩織さんが小説「ふたご」を出版されました。
「ふたご」あらすじ
いつも1人ぼっちでピアノだけが友達だった中学生の夏子と不良っぽく見えるけれど、人一倍感受性の強い高校生の月島。
月島は、いつも滅茶苦茶な行動で夏子を困惑させるが、それでも月島に惹かれる夏子は、誘われるままにバンドに入り、彼の仲間と共同生活を行うことになるのだが……。
初小説でもある「ふたご」について、たっぷりとお話を伺いました。
──14歳の気持ちを過去の日記から探る
茂木:今日は小説家としてお迎えしているんですけど、「ふたご」という作品、素晴らしいですね!
彩織:ありがとうございます。初小説を書かせていただきました。
茂木:出版までとても苦労されたと伺いましたが…。
彩織:そうですね。すごく時間がかかって、最初の原稿を書いた日が5年前なんです。そこからずっと5年間、色々と悩んでようやく今年出版できたっていう感じです。
茂木:この作品、SEKAI NO OWARIのファンにとっては、バンドの内幕がちょっと関係した小説なのかな、って期待して読む方もいると思うんですけど、その辺り、いかがでしょう?
彩織:もちろん、私の実体験もたくさん入っていて、実体験を軸にしながらも、全てが実体験ではないので、フィクションも混ぜ込みながら書きました。
だから、ファンの方が”あ、このエピソード知ってる!”っていうエピソードももちろん入っています。
茂木:だけど、全部が事実ではないと。
彩織:そうですね。セリフとかも全部私が書いているので、例えば、「これってあのメンバーのことじゃないかな?」と思っても、一言一句彼らが言った言葉ではないですし、キャラクターもちょっと作って書いてるところはあるので、そのバランスはそのエピソードによっても違いますね。
茂木:今回の作品、冒頭の10〜20ページくらいまでの読み味が村上春樹さんとすごく通じているな、と思ったんです。そのあと、彩織さん独自の世界にスゥッと入っていって、不思議な感じでした!
普段バンド活動をされている中で、曲を作られたりしているわけですけど、ものを書くっていうことは昔からやってらっしゃるんですよね?
彩織:こうやって人前に見せるような文章っていうのは、今年出した「ふたご」とエッセイが初めてで。それまでは中学生の時からずっと日記をつけているんです。
茂木:膨大な数のノートがあるんですよね?どなたかに見せたりはしたんですか?
彩織:絶対に見せられないですね(笑)。
茂木:でも、今回の「ふたご」のアイディアの種になっているようなものも、日記の中にあるんですか?
彩織:もちろんあります。歌詞を書くときもそうなんですけど、日記にその時の自分の素直な気持ちをずっと書いてきたんです。
「ふたご」は14歳の少女の話から始まるんですけど、14歳の気持ちってなかなか思い出せないじゃないですか。自分が14歳の時ってどんなことに悩んでいたんだろう、何を考えていたんだろうっていうのは、日記をもう一回読み返したりして、自分の日記からアイディアを持ってきて書きましたね。
茂木:この作品、ものすごく心の”あや”がリアルに描かれていて、すごく困った月島という存在に憧れつつ、中々うまくいかないもどかしさが素晴らしいな、と思います!
その辺りは苦労されました?
彩織:そうですね。苦しい場面を書く時って冷静に書くことができなくて、そのキャラクターの感情に自分が感情移入していかないとなかなか書けなかったんです。
例えば、登場人物がワーッと叫んでるようなシーンは実際に叫んでみたりとか。
茂木:そうなんだ!
彩織:すごく苦しくて眠れないシーンを書いてると、本当に何日も眠れなくなっちゃったりとか。そこの場面に自分が行かないとなかなか文章が書けなかったんです。
「ふたご」は苦しいシーンが多いので、書いてる時は苦しい時間が長かったですね(笑)。
──新しい作品を生み出していく
茂木:この作品を執筆している時も、SEKAI NO OWARIのバンド活動をやりながらですから、何かと大変だったと思いますが…その辺りはいかがでした?
彩織:そうなんです。5年前はちょうど2〜3000人キャパくらいのホールツアーを回っていた頃で、私たちがちょうどメジャーデビューする時期でもあり、目まぐるしく毎日がどんどん前に進んでいって、本当に忙しい時期だったんです。
でも、この小説を書いてみたら?って言ってくれたのはFukaseなんですよ。だけど、同時に「Saoriちゃん、あの曲のピアノソロいつ上がるの?」とか、「作詞まだ終わってないの?」とかプレッシャーを常にかけてくるのもFukaseで。そんなにたくさん私はいないんだよ!と思ってました(笑)。
茂木:Fukaseさんはバンドにも誘ったり、小説も書いてみたら、って言うし、意外と巻き込み型ですね(笑)。でも、それだけFukaseさんご自身も才能のある方ですからね。
彩織:そうですね。ちょっとプロデューサー気質みたいなところがあって、例えばギターのNakajinに「こんなアレンジやってみてよ」とか、「ドラムやってみなよ」とか。普通、ミュージシャンがやらないような、ライブの演出や小説を私に勧めてみたり…。
どんどん人に振っていく才能というか、プロデュースする才能はありますね。
なんなんだよ〜!と思いながらもこうやって「ふたご」が発売できたので、今はありがとう、って思ってますけど、5年間はこのヤロウと思ってましたね(笑)。
茂木:「ふたご」はバンドメンバーには読ませたんですか?
彩織:本になるまでは読んでなかったので、私がすごい頑張ってるっていう事はメンバーも知っていたんですけど、出来上がった作品を読んだ時に
「こんなに頑張ってたんだね!いつも大変だ、大変だ、って言ってずっとパソコンに向かってる姿とか見てきたけど、こんなの書いてたらそれは大変だったよね」って言ってくれて、みんな褒めてくれました!
茂木:小説を書くことを勧めてくれたFukaseさんは何かおっしゃっていましたか?
彩織:途中の段階で何度か読んでいたんですけど、最終的に本になった状態で渡したら、「これを読んじゃったら、楽しみが減るから読みたくない」って最初は言われたんです。
でも、その次の日に「素晴らしかったです」っていうメールをくれて(笑)。全部読んでくれたみたいです。
茂木:なんかカッコ良すぎるな〜(笑)。いやぁ、いい話ですね。こうなると、我々どうしても次回作を期待しちゃうんですけど、構想はすでにありますか?
彩織:まだ、具体的な構想はないんですけど、今回自分の実体験をベースに作ってきたので、次は全然関係のないところでの話を書いてみたいっていうのはありますね。
茂木:期待しております!最後に、この番組では、ゲストの皆様に「夢」や「挑戦したいこと」について伺っているのですが…。
彩織:ミュージシャンとして色んなことに挑戦させていただいて、今年は小説も書かせていただいたんですけど、やっぱり何よりも続けていくことが難しいな、と思っているので、
このままSEKAI NO OWARIとしても、小説家の藤崎 彩織としても、この先たくさん作品を生み出していきたいです。
●SEKAI NO OWARI オフィシャルサイト
●ふたご | 藤崎 彩織(SEKAI NO OWARI)
(Amazon)
来週は、12月23日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国で公開される映画「ダンシング・ベートーヴェン」の監督・アランチャ・アギーレさんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。
彩織さんはSEKAI NO OWARIでピアノ演奏とライブ演出を担当。
研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏は、デビュー以来、絶大な支持を得ています。そんな彩織さんが小説「ふたご」を出版されました。
「ふたご」あらすじ
いつも1人ぼっちでピアノだけが友達だった中学生の夏子と不良っぽく見えるけれど、人一倍感受性の強い高校生の月島。
月島は、いつも滅茶苦茶な行動で夏子を困惑させるが、それでも月島に惹かれる夏子は、誘われるままにバンドに入り、彼の仲間と共同生活を行うことになるのだが……。
初小説でもある「ふたご」について、たっぷりとお話を伺いました。
──14歳の気持ちを過去の日記から探る
茂木:今日は小説家としてお迎えしているんですけど、「ふたご」という作品、素晴らしいですね!
彩織:ありがとうございます。初小説を書かせていただきました。
茂木:出版までとても苦労されたと伺いましたが…。
彩織:そうですね。すごく時間がかかって、最初の原稿を書いた日が5年前なんです。そこからずっと5年間、色々と悩んでようやく今年出版できたっていう感じです。
茂木:この作品、SEKAI NO OWARIのファンにとっては、バンドの内幕がちょっと関係した小説なのかな、って期待して読む方もいると思うんですけど、その辺り、いかがでしょう?
彩織:もちろん、私の実体験もたくさん入っていて、実体験を軸にしながらも、全てが実体験ではないので、フィクションも混ぜ込みながら書きました。
だから、ファンの方が”あ、このエピソード知ってる!”っていうエピソードももちろん入っています。
茂木:だけど、全部が事実ではないと。
彩織:そうですね。セリフとかも全部私が書いているので、例えば、「これってあのメンバーのことじゃないかな?」と思っても、一言一句彼らが言った言葉ではないですし、キャラクターもちょっと作って書いてるところはあるので、そのバランスはそのエピソードによっても違いますね。
茂木:今回の作品、冒頭の10〜20ページくらいまでの読み味が村上春樹さんとすごく通じているな、と思ったんです。そのあと、彩織さん独自の世界にスゥッと入っていって、不思議な感じでした!
普段バンド活動をされている中で、曲を作られたりしているわけですけど、ものを書くっていうことは昔からやってらっしゃるんですよね?
彩織:こうやって人前に見せるような文章っていうのは、今年出した「ふたご」とエッセイが初めてで。それまでは中学生の時からずっと日記をつけているんです。
茂木:膨大な数のノートがあるんですよね?どなたかに見せたりはしたんですか?
彩織:絶対に見せられないですね(笑)。
茂木:でも、今回の「ふたご」のアイディアの種になっているようなものも、日記の中にあるんですか?
彩織:もちろんあります。歌詞を書くときもそうなんですけど、日記にその時の自分の素直な気持ちをずっと書いてきたんです。
「ふたご」は14歳の少女の話から始まるんですけど、14歳の気持ちってなかなか思い出せないじゃないですか。自分が14歳の時ってどんなことに悩んでいたんだろう、何を考えていたんだろうっていうのは、日記をもう一回読み返したりして、自分の日記からアイディアを持ってきて書きましたね。
茂木:この作品、ものすごく心の”あや”がリアルに描かれていて、すごく困った月島という存在に憧れつつ、中々うまくいかないもどかしさが素晴らしいな、と思います!
その辺りは苦労されました?
彩織:そうですね。苦しい場面を書く時って冷静に書くことができなくて、そのキャラクターの感情に自分が感情移入していかないとなかなか書けなかったんです。
例えば、登場人物がワーッと叫んでるようなシーンは実際に叫んでみたりとか。
茂木:そうなんだ!
彩織:すごく苦しくて眠れないシーンを書いてると、本当に何日も眠れなくなっちゃったりとか。そこの場面に自分が行かないとなかなか文章が書けなかったんです。
「ふたご」は苦しいシーンが多いので、書いてる時は苦しい時間が長かったですね(笑)。
──新しい作品を生み出していく
茂木:この作品を執筆している時も、SEKAI NO OWARIのバンド活動をやりながらですから、何かと大変だったと思いますが…その辺りはいかがでした?
彩織:そうなんです。5年前はちょうど2〜3000人キャパくらいのホールツアーを回っていた頃で、私たちがちょうどメジャーデビューする時期でもあり、目まぐるしく毎日がどんどん前に進んでいって、本当に忙しい時期だったんです。
でも、この小説を書いてみたら?って言ってくれたのはFukaseなんですよ。だけど、同時に「Saoriちゃん、あの曲のピアノソロいつ上がるの?」とか、「作詞まだ終わってないの?」とかプレッシャーを常にかけてくるのもFukaseで。そんなにたくさん私はいないんだよ!と思ってました(笑)。
茂木:Fukaseさんはバンドにも誘ったり、小説も書いてみたら、って言うし、意外と巻き込み型ですね(笑)。でも、それだけFukaseさんご自身も才能のある方ですからね。
彩織:そうですね。ちょっとプロデューサー気質みたいなところがあって、例えばギターのNakajinに「こんなアレンジやってみてよ」とか、「ドラムやってみなよ」とか。普通、ミュージシャンがやらないような、ライブの演出や小説を私に勧めてみたり…。
どんどん人に振っていく才能というか、プロデュースする才能はありますね。
なんなんだよ〜!と思いながらもこうやって「ふたご」が発売できたので、今はありがとう、って思ってますけど、5年間はこのヤロウと思ってましたね(笑)。
茂木:「ふたご」はバンドメンバーには読ませたんですか?
彩織:本になるまでは読んでなかったので、私がすごい頑張ってるっていう事はメンバーも知っていたんですけど、出来上がった作品を読んだ時に
「こんなに頑張ってたんだね!いつも大変だ、大変だ、って言ってずっとパソコンに向かってる姿とか見てきたけど、こんなの書いてたらそれは大変だったよね」って言ってくれて、みんな褒めてくれました!
茂木:小説を書くことを勧めてくれたFukaseさんは何かおっしゃっていましたか?
彩織:途中の段階で何度か読んでいたんですけど、最終的に本になった状態で渡したら、「これを読んじゃったら、楽しみが減るから読みたくない」って最初は言われたんです。
でも、その次の日に「素晴らしかったです」っていうメールをくれて(笑)。全部読んでくれたみたいです。
茂木:なんかカッコ良すぎるな〜(笑)。いやぁ、いい話ですね。こうなると、我々どうしても次回作を期待しちゃうんですけど、構想はすでにありますか?
彩織:まだ、具体的な構想はないんですけど、今回自分の実体験をベースに作ってきたので、次は全然関係のないところでの話を書いてみたいっていうのはありますね。
茂木:期待しております!最後に、この番組では、ゲストの皆様に「夢」や「挑戦したいこと」について伺っているのですが…。
彩織:ミュージシャンとして色んなことに挑戦させていただいて、今年は小説も書かせていただいたんですけど、やっぱり何よりも続けていくことが難しいな、と思っているので、
このままSEKAI NO OWARIとしても、小説家の藤崎 彩織としても、この先たくさん作品を生み出していきたいです。
●SEKAI NO OWARI オフィシャルサイト
●ふたご | 藤崎 彩織(SEKAI NO OWARI)
(Amazon)
来週は、12月23日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国で公開される映画「ダンシング・ベートーヴェン」の監督・アランチャ・アギーレさんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。