2017年11月18日
今週お迎えしたのは、ポストデジタルアーティストで
NPO法人Jomonism(ジョウモニズム)の代表・小林武人さんです。
小林さんは、山梨県のご出身。
慶應義塾大学 環境情報学部をご卒業後、
東京工科大学クリエイティブ・ラボのアニメーションスタジオ、株式会社ゴンゾを経てフリーランスに。
3DCGモデリング、デザインのスペシャリストとして、目に見えないモノ、感情、エネルギー、意識の次の次元などを、
カタチにすることをミッションに掲げ、現在、世界中で活動をされていらっしゃいます。
また、縄文時代の価値観をアートを通じて発信するNPO法人、「ジョウモニズム」の代表としても、ご活躍中であります。
そんな小林武人さんに、お話を伺いました。
──ポストデジタルアーティストとは?
茂木:肩書きの「ポストデジタルアーティスト」というのは、どういうことなんですか?
小林:最近ポストデジタルという単語が出てきたんですけど、定義はいろいろあると思うんですけど。
僕の中ではデジタルテクノロジー、3Dプリンティングとか、プロジェクションマッピングとか、そういうものを伝統的なアートの手法、例えば、筆とかそういうのと同じように使いこなしているアーティストですね。
茂木:デジタルを特別なものとしてというよりは、手法の一部として使いこなしていると。
一方で、小林さんといえば縄文ですもんね。縄文と言ったら、大昔のイメージじゃないですか?
小林:だいたい、1万5000年前に始まって、3000年くらい前まで続いたんですけど。祖先の一番長く続いた文化ですよね。
茂木:それと、ポストデジタルがどう結びつくのかっていうことですもんね。
縄文時代の価値観をアートを通じて発信するNPO法人、「ジョウモニズム」の代表としても活動されていますね。
3Dプリンタをお使いになられているじゃないですか?
あれって、自分で仏像とか形にする設計をされているんですよね?
小林:それが僕の専門的なところで、もともとは『ゴンゾ』というアニメの会社で3Dグラフィックを使って、アニメの中に出てくるロボットとか戦艦とか、そういうものを作っていたんですね。
茂木:はい。
小林:アーティストになってからは、コンピューターグラフィックが映像だけじゃなくて、アートとしての可能性も秘めていると思います。
茂木:独学なんですか?
小林:独学です。
茂木:子供の頃からアートに興味はあったんですか?
小林:アートというと大げさに聞こえるけど、根っこにあるのはウルトラマンとか仮面ライダー(笑)。
オリジナルの怪獣とかを小さい頃によく描いてたんですけど、それを今はコンピューターグラフィックでやっているという。
茂木:3Dプリンタの場合って、1つの物をプリントするのにどれくらいかかるんですか?
小林:例えば、僕が作っている60センチくらいの仏像があるんですけど、それで20時間くらいですね。
茂木:え!?20時間!?
20時間、ずっと機械が動いてプリントするんですか?
小林:そうです、一個の層が何ミクロンという厚さなので。
茂木:プリンタといっても、我々の普通に考える二次元のプリンタとは違いますね。
小林:そうですね、僕が使ってるのは工業クラスの3Dプリンタで、そこを企業さんにスポンサードしてもらって僕の作品を作ってもらっています。
茂木:3DのCGとして楽しむのも一つのやり方のような気がするんですけど、それを実際にプリントすることで何が変わるとお考えですか?
小林:普段、僕は自分の仏像をヴァーチャルの中で見てるんですけど、それがプリントされて物になった時って、そこに何かエネルギーが宿る感じがするんですね。日本人って、仏像とか人の形をしてたら、そこに魂だったりエネルギーが宿るって思うじゃないですか?
茂木:そうですね。
小林:それと同じで、あとは具体的に3Dプリンタを作る時に使った電気のエネルギーとか、材質の持っているエネルギーとか。
あと、もっと目に見えないエネルギーで、僕が作品を作るのに支えてくれている家族の愛のエネルギーとか、友達のエネルギーとかが作品に集約して、僕は作品はエネルギーの結節点だと思っているんです。
その作品が物体として現世にできる、その作品を見た人が影響を受けて、新しい影響を周りに広げいていく。エネルギーが一回集約してまた拡散していく流れですね。
それが物になるのと、ヴァーチャルになる違いですね。
──アーティストとしての目標
茂木:小林さんにとって縄文というのは何ですか?
小林:考古学者が見る縄文、僕が見る縄文、いろいろな縄文があるんですよね。
1万5000年前くらいに始まったんですけど、物的な証拠はあるけど本当のところは誰もわからない。だから、それぞれにとってのファンタジーでいいと思っていて。
茂木:なるほど。
小林:僕にとっての縄文は、平和な時代へのメッセージ。
縄文時代って1万年以上続いてたんですけど、そこから戦争の跡が見つかってないんですね。
茂木:これはどういうことなんですかね。
小林:僕の個人的な意見なんですけど、山梨の土器と新潟の土器ってスタイルが違うんですけど、たまにスタイルを真似してあるような土器が見つかっていて。
茂木:じゃあ、土器を作っていたんだ!
小林:スタイルは違うのに、お互いすごいから、お互いを認め合っていた。
多様性があって、お互いの文化を尊重するっていう文化があったから戦争が起こりにくくて、だから1万年以上続いたんじゃないかと、それが僕の考え方ですね。
茂木:多様性で、お互いに相手が作った物をリスペクトしてたんじゃないかと?
小林:そうです。それが僕の縄文に対するファンタジーで、それを現代のテクノロジーと掛け合わせて発信することがポストモダンなメッセージ。
次の、どういう文化を僕らが作っていったらいいかっていうところの種になるんじゃないかと思っています。
茂木:ということは、これは世界平和のことですね!
小林:世界平和ですね(笑)。それが僕のアーティストとしての一番の目標なんです。
(写真上)『Quantum Reality -量子現実-』
2017 ナイロン樹脂、塗装
3Dプリント supported by:株式会社アイジェット
(写真下)『ASURA(阿修羅)』
2017 ナイロン樹脂、漆仕上げ
漆仕上げ by 伊良原満美
3Dプリント supported by:株式会社アイジェット
●「小林武人 オフィシャルInstagram」
●「Jomonism 公式サイト」
来週も引き続き、ポストデジタルアーティストで、NPO法人Jomonism(ジョウモニズム)の代表・小林武人さんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。
NPO法人Jomonism(ジョウモニズム)の代表・小林武人さんです。
小林さんは、山梨県のご出身。
慶應義塾大学 環境情報学部をご卒業後、
東京工科大学クリエイティブ・ラボのアニメーションスタジオ、株式会社ゴンゾを経てフリーランスに。
3DCGモデリング、デザインのスペシャリストとして、目に見えないモノ、感情、エネルギー、意識の次の次元などを、
カタチにすることをミッションに掲げ、現在、世界中で活動をされていらっしゃいます。
また、縄文時代の価値観をアートを通じて発信するNPO法人、「ジョウモニズム」の代表としても、ご活躍中であります。
そんな小林武人さんに、お話を伺いました。
──ポストデジタルアーティストとは?
茂木:肩書きの「ポストデジタルアーティスト」というのは、どういうことなんですか?
小林:最近ポストデジタルという単語が出てきたんですけど、定義はいろいろあると思うんですけど。
僕の中ではデジタルテクノロジー、3Dプリンティングとか、プロジェクションマッピングとか、そういうものを伝統的なアートの手法、例えば、筆とかそういうのと同じように使いこなしているアーティストですね。
茂木:デジタルを特別なものとしてというよりは、手法の一部として使いこなしていると。
一方で、小林さんといえば縄文ですもんね。縄文と言ったら、大昔のイメージじゃないですか?
小林:だいたい、1万5000年前に始まって、3000年くらい前まで続いたんですけど。祖先の一番長く続いた文化ですよね。
茂木:それと、ポストデジタルがどう結びつくのかっていうことですもんね。
縄文時代の価値観をアートを通じて発信するNPO法人、「ジョウモニズム」の代表としても活動されていますね。
3Dプリンタをお使いになられているじゃないですか?
あれって、自分で仏像とか形にする設計をされているんですよね?
小林:それが僕の専門的なところで、もともとは『ゴンゾ』というアニメの会社で3Dグラフィックを使って、アニメの中に出てくるロボットとか戦艦とか、そういうものを作っていたんですね。
茂木:はい。
小林:アーティストになってからは、コンピューターグラフィックが映像だけじゃなくて、アートとしての可能性も秘めていると思います。
茂木:独学なんですか?
小林:独学です。
茂木:子供の頃からアートに興味はあったんですか?
小林:アートというと大げさに聞こえるけど、根っこにあるのはウルトラマンとか仮面ライダー(笑)。
オリジナルの怪獣とかを小さい頃によく描いてたんですけど、それを今はコンピューターグラフィックでやっているという。
茂木:3Dプリンタの場合って、1つの物をプリントするのにどれくらいかかるんですか?
小林:例えば、僕が作っている60センチくらいの仏像があるんですけど、それで20時間くらいですね。
茂木:え!?20時間!?
20時間、ずっと機械が動いてプリントするんですか?
小林:そうです、一個の層が何ミクロンという厚さなので。
茂木:プリンタといっても、我々の普通に考える二次元のプリンタとは違いますね。
小林:そうですね、僕が使ってるのは工業クラスの3Dプリンタで、そこを企業さんにスポンサードしてもらって僕の作品を作ってもらっています。
茂木:3DのCGとして楽しむのも一つのやり方のような気がするんですけど、それを実際にプリントすることで何が変わるとお考えですか?
小林:普段、僕は自分の仏像をヴァーチャルの中で見てるんですけど、それがプリントされて物になった時って、そこに何かエネルギーが宿る感じがするんですね。日本人って、仏像とか人の形をしてたら、そこに魂だったりエネルギーが宿るって思うじゃないですか?
茂木:そうですね。
小林:それと同じで、あとは具体的に3Dプリンタを作る時に使った電気のエネルギーとか、材質の持っているエネルギーとか。
あと、もっと目に見えないエネルギーで、僕が作品を作るのに支えてくれている家族の愛のエネルギーとか、友達のエネルギーとかが作品に集約して、僕は作品はエネルギーの結節点だと思っているんです。
その作品が物体として現世にできる、その作品を見た人が影響を受けて、新しい影響を周りに広げいていく。エネルギーが一回集約してまた拡散していく流れですね。
それが物になるのと、ヴァーチャルになる違いですね。
──アーティストとしての目標
茂木:小林さんにとって縄文というのは何ですか?
小林:考古学者が見る縄文、僕が見る縄文、いろいろな縄文があるんですよね。
1万5000年前くらいに始まったんですけど、物的な証拠はあるけど本当のところは誰もわからない。だから、それぞれにとってのファンタジーでいいと思っていて。
茂木:なるほど。
小林:僕にとっての縄文は、平和な時代へのメッセージ。
縄文時代って1万年以上続いてたんですけど、そこから戦争の跡が見つかってないんですね。
茂木:これはどういうことなんですかね。
小林:僕の個人的な意見なんですけど、山梨の土器と新潟の土器ってスタイルが違うんですけど、たまにスタイルを真似してあるような土器が見つかっていて。
茂木:じゃあ、土器を作っていたんだ!
小林:スタイルは違うのに、お互いすごいから、お互いを認め合っていた。
多様性があって、お互いの文化を尊重するっていう文化があったから戦争が起こりにくくて、だから1万年以上続いたんじゃないかと、それが僕の考え方ですね。
茂木:多様性で、お互いに相手が作った物をリスペクトしてたんじゃないかと?
小林:そうです。それが僕の縄文に対するファンタジーで、それを現代のテクノロジーと掛け合わせて発信することがポストモダンなメッセージ。
次の、どういう文化を僕らが作っていったらいいかっていうところの種になるんじゃないかと思っています。
茂木:ということは、これは世界平和のことですね!
小林:世界平和ですね(笑)。それが僕のアーティストとしての一番の目標なんです。
(写真上)『Quantum Reality -量子現実-』
2017 ナイロン樹脂、塗装
3Dプリント supported by:株式会社アイジェット
(写真下)『ASURA(阿修羅)』
2017 ナイロン樹脂、漆仕上げ
漆仕上げ by 伊良原満美
3Dプリント supported by:株式会社アイジェット
●「小林武人 オフィシャルInstagram」
●「Jomonism 公式サイト」
来週も引き続き、ポストデジタルアーティストで、NPO法人Jomonism(ジョウモニズム)の代表・小林武人さんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。