2017年06月03日
今週お迎えするのは、今、話題のピアニスト・反田恭平さんです。
反田さんは、1994年生まれで、22歳。
2012年、高校在学中に、第81回日本音楽コンクール第1位入賞されました。
これは史上最年少の記録です。併せて、聴衆賞を受賞されています。
その後、桐朋学園大学音楽学部に入学するも、
ロシアのピアニスト、ミハイル・ヴォスクレセンスキー氏の推薦によりロシアへ留学し、
チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に首席で入学しました。
2015年に、日本コロムビアより、アルバム「リスト」でCDデビューされ、
現在は、国内外にて演奏活動を意欲的に行っていらっしゃいます。
今週は、反田さんと音楽の出会いのきっかけについて、お話を伺いました。
──骨折を機に
茂木:反田さんがピアノを始めたきっかけは、お母さまの影響と伺いました。お母様はピアノがお好きなんですよね?お父様は音楽がお好きだったんですか?
反田:母は、ただクラシックを聴くのが好きっていう感じで、父に関しては音楽は皆無でしたね。
なぜピアノを弾いているのか分からないっていつも言われてましたし、今でも忘れられないのがショパンのスケルツォの1番を弾いていた時に「こんなにひどい曲はない」って言われてテレビの音を最大にされたりしましたね(笑)。
茂木:でも、モスクワ音楽院がどういうところかはご存知だったんですよね?
反田:いや、全く知らないと思いますよ。
茂木:本当ですか!?
反田:もともと、11歳までずっとサッカーをやっていて、左利きなので枠もあり、ずっと試合に出ていたんですけど、事故にあってしまい、左手首を骨折してしまったんです。
その当時、日韓ワールドカップで宮本選手が鼻を骨折してギプスをされていたんですけど、腕よりは鼻の方が痛いだろう、と悟りまして。
痛くない職業がいいなぁってことでピアノを始めたんです。骨折を機になので12歳からピアノを始めましたね。
茂木:反田さん、面白い方ですね(笑)。ちなみに、日韓ワールドカップの時に小学生だったという話から、本当に若いんだなぁってことがわかりました。だけど、どうしてサッカーからピアノになったのですか?
反田:初めてピアノに触ったのが4歳の時なんですけど、母が電子ピアノを買ってくれて「ミッキーマウスマーチ」を弾いてくれたんです。それを見て、耳で覚えて普通に弾けたんですよ。
その時にピアノって簡単なんだなぁって思って、ある種自分の中でクリアした感覚になってしまって、ピアノには興味が無かったんです。
茂木:その当時、すでに絶対音感があって、覚えちゃったってことなんですか?
反田:そうだと思います。母は4歳の子供がいきなりピアノを弾いたので、ピアニストになってみないかな、とは思っていたらしいです。
茂木:ビックリしますよね。ピアノ教室とかには通っていたんですか?
反田:4歳から11歳まで同じピアノ教室に通わせていただいてたんですけど、そこではピアノのレッスンがほとんど無くて、絶対音感を鍛えるっていうメソッドだったんです。
ちびっ子から大人まで、何千人も生徒がいる教室で、その時に初めてテレビ出演のチャンスを得たんですよ。
というのも、絶対音感の特集でその教室から2名だけゲストとして呼ばれたんですけど、当時、10音くらいは同時に聴き取れてたんです。
茂木:10音を同時に弾いて、それがどの音か分かるってすごいですね!
反田:母が電子ピアノで適当に弾いて、その下に僕が座って音を当てるっていうトレーニングをしていたんですけど、分からない人の気持ちが分からなかったですね(笑)。
茂木:日本でクラシックっていうと、どうしても最初から本格的に練習してキャリアを積み上げていくっていうイメージがある中、それとは違うルートを辿って来られたんですよね。
反田:そうですね。よくあるご家庭だと、料理とかスポーツとかは指に危ないからやっちゃダメって言われたりするんですけど、僕は両手両指骨折している人間なので、そういう方から見られるとだいぶアウトローだと思います(笑)。
──過去・未来・現在を意識する
茂木:反田さんの演奏は超絶技巧がすごいという事と、叙情性、ロマンティシズムが感じられて、まさにロシアの音楽という感じがするんですが、両方併せ持っているのは稀だと評価されていますよね。
演奏へのパッションや勢いも非常に高く評価されている点だと思うんですけど、そのあたりはご自身ではどう思いますか?
反田:楽譜をオーケストラ譜に見立てるっていう点に関しては自分でも自信がありますね。
例えば、今度のソロリサイタルでも弾かせていただくシューベルトの即興曲、作品90 D.899という曲はすごく難しくて、シューベルトの晩年の作品なんですけど、この即興曲の第1番なんかはオーケストレーションで成り立っている作品なんです。
なので、スコアを見抜く力っていうのはピアノでも共通してくると思うので、全体的な構成が必要になってくるんです。
僕がピアノを弾いている時に意識していることは、過去と未来と現在が同時に並行しているということなんです。
リサイタルの最中に本番ならではの即興性が出てしまった場合、過去にはこう弾いていたけれど、じゃあなぜ、今こう弾いているのか。次はどう弾くべきか。ということを常に考えていないといけないと思うんです。
1曲5分の作品にしろ、どこを最高潮に持っていくのか。大まかにみた構成が大事だ思っているので、僕は弾くよりもそっちの方を勉強しますね。
茂木:圧倒的に同時並列な音の世界を理解する耳の良さと脳のイメージのすごさっていうのが最初にあって、それが演奏に落とし込まれていくんですね。
●「反田恭平 公式サイト」
●月の光〜リサイタル・ピース第1集 / 反田恭平
2017.06.21 Release
(Amazon)
来週も引き続き、ピアニストの反田恭平さんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。
反田さんは、1994年生まれで、22歳。
2012年、高校在学中に、第81回日本音楽コンクール第1位入賞されました。
これは史上最年少の記録です。併せて、聴衆賞を受賞されています。
その後、桐朋学園大学音楽学部に入学するも、
ロシアのピアニスト、ミハイル・ヴォスクレセンスキー氏の推薦によりロシアへ留学し、
チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に首席で入学しました。
2015年に、日本コロムビアより、アルバム「リスト」でCDデビューされ、
現在は、国内外にて演奏活動を意欲的に行っていらっしゃいます。
今週は、反田さんと音楽の出会いのきっかけについて、お話を伺いました。
──骨折を機に
茂木:反田さんがピアノを始めたきっかけは、お母さまの影響と伺いました。お母様はピアノがお好きなんですよね?お父様は音楽がお好きだったんですか?
反田:母は、ただクラシックを聴くのが好きっていう感じで、父に関しては音楽は皆無でしたね。
なぜピアノを弾いているのか分からないっていつも言われてましたし、今でも忘れられないのがショパンのスケルツォの1番を弾いていた時に「こんなにひどい曲はない」って言われてテレビの音を最大にされたりしましたね(笑)。
茂木:でも、モスクワ音楽院がどういうところかはご存知だったんですよね?
反田:いや、全く知らないと思いますよ。
茂木:本当ですか!?
反田:もともと、11歳までずっとサッカーをやっていて、左利きなので枠もあり、ずっと試合に出ていたんですけど、事故にあってしまい、左手首を骨折してしまったんです。
その当時、日韓ワールドカップで宮本選手が鼻を骨折してギプスをされていたんですけど、腕よりは鼻の方が痛いだろう、と悟りまして。
痛くない職業がいいなぁってことでピアノを始めたんです。骨折を機になので12歳からピアノを始めましたね。
茂木:反田さん、面白い方ですね(笑)。ちなみに、日韓ワールドカップの時に小学生だったという話から、本当に若いんだなぁってことがわかりました。だけど、どうしてサッカーからピアノになったのですか?
反田:初めてピアノに触ったのが4歳の時なんですけど、母が電子ピアノを買ってくれて「ミッキーマウスマーチ」を弾いてくれたんです。それを見て、耳で覚えて普通に弾けたんですよ。
その時にピアノって簡単なんだなぁって思って、ある種自分の中でクリアした感覚になってしまって、ピアノには興味が無かったんです。
茂木:その当時、すでに絶対音感があって、覚えちゃったってことなんですか?
反田:そうだと思います。母は4歳の子供がいきなりピアノを弾いたので、ピアニストになってみないかな、とは思っていたらしいです。
茂木:ビックリしますよね。ピアノ教室とかには通っていたんですか?
反田:4歳から11歳まで同じピアノ教室に通わせていただいてたんですけど、そこではピアノのレッスンがほとんど無くて、絶対音感を鍛えるっていうメソッドだったんです。
ちびっ子から大人まで、何千人も生徒がいる教室で、その時に初めてテレビ出演のチャンスを得たんですよ。
というのも、絶対音感の特集でその教室から2名だけゲストとして呼ばれたんですけど、当時、10音くらいは同時に聴き取れてたんです。
茂木:10音を同時に弾いて、それがどの音か分かるってすごいですね!
反田:母が電子ピアノで適当に弾いて、その下に僕が座って音を当てるっていうトレーニングをしていたんですけど、分からない人の気持ちが分からなかったですね(笑)。
茂木:日本でクラシックっていうと、どうしても最初から本格的に練習してキャリアを積み上げていくっていうイメージがある中、それとは違うルートを辿って来られたんですよね。
反田:そうですね。よくあるご家庭だと、料理とかスポーツとかは指に危ないからやっちゃダメって言われたりするんですけど、僕は両手両指骨折している人間なので、そういう方から見られるとだいぶアウトローだと思います(笑)。
──過去・未来・現在を意識する
茂木:反田さんの演奏は超絶技巧がすごいという事と、叙情性、ロマンティシズムが感じられて、まさにロシアの音楽という感じがするんですが、両方併せ持っているのは稀だと評価されていますよね。
演奏へのパッションや勢いも非常に高く評価されている点だと思うんですけど、そのあたりはご自身ではどう思いますか?
反田:楽譜をオーケストラ譜に見立てるっていう点に関しては自分でも自信がありますね。
例えば、今度のソロリサイタルでも弾かせていただくシューベルトの即興曲、作品90 D.899という曲はすごく難しくて、シューベルトの晩年の作品なんですけど、この即興曲の第1番なんかはオーケストレーションで成り立っている作品なんです。
なので、スコアを見抜く力っていうのはピアノでも共通してくると思うので、全体的な構成が必要になってくるんです。
僕がピアノを弾いている時に意識していることは、過去と未来と現在が同時に並行しているということなんです。
リサイタルの最中に本番ならではの即興性が出てしまった場合、過去にはこう弾いていたけれど、じゃあなぜ、今こう弾いているのか。次はどう弾くべきか。ということを常に考えていないといけないと思うんです。
1曲5分の作品にしろ、どこを最高潮に持っていくのか。大まかにみた構成が大事だ思っているので、僕は弾くよりもそっちの方を勉強しますね。
茂木:圧倒的に同時並列な音の世界を理解する耳の良さと脳のイメージのすごさっていうのが最初にあって、それが演奏に落とし込まれていくんですね。
●「反田恭平 公式サイト」
●月の光〜リサイタル・ピース第1集 / 反田恭平
2017.06.21 Release
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来週も引き続き、ピアニストの反田恭平さんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。