2017年05月06日
今週お迎えするのは、ピアニストの小山実稚恵さんです。
小山さんは、2015年にデビュー30周年を迎えられた、人気・実力ともに日本を代表するピアニストです。
世界的に有名なピアノコンクール、チャイコフスキー国際コンクールと、
ショパン国際ピアノコンクールの両方に日本人として初めて入賞して以来、
今日に至るまで、常に第一線で活躍し続けていらっしゃいます。
また、先日発表された、文化庁主催の第67回芸術選奨では、音楽部門文部科学大臣賞を受賞されました。
今週は、2006年から12年間、24回にわたってBunkamuraオーチャードホールをはじめ、
全国6都市で、春と秋の2回行われているリサイタルの事、デビュー30周年を迎えられての心境を伺いました。
──紡がれていったもの
茂木:まずは、第67回芸術選奨の音楽部門文部科学大臣賞おめでとうござます!
小山:ありがとうございます。
茂木:今回の賞はいかがでしたか?
小山:やはり、大変嬉しいし光栄に思いました。
茂木:デビュー30周年過ぎて、これだけピアニスト生活を続けて来られたのはいかがですか?
小山:私としては幸せなことだと思っています。
コンサートは一期一会ですから、先人たちが作曲した素晴らしい作品をこうやって弾けることが、どれだけですごいことかというのと、日々音楽に触れていることが、自分にとってこれ以上のいい事はないと思います。
茂木:2017年の今年は小山さんにとって記念すべき年となりそうですね。
2006年から行われてきたリサイタル、「小山実稚恵の世界」24回、12年間にわたってされてたわけですけど。
それが今年の秋に完結ということですね、曲目は最初に決められたんですか?
小山:24回のプログラムは第1回の前に決めました。
決めたときは全部の作品を弾いてるわけではないので、まったく1回も弾いてない回というのも沢山あったりとか…並べるときは頭の中で並べますから、空想で並べた場合もあったので、演奏してみて”こうなっちゃうんだ”とか、”こう聴こえて来るんだ”とかありましたね。
茂木:ファンの方の中には、このリサイタルをコンプリートしてる方もいらっしゃるんじゃないですか?
小山:全部聴いてくださっている方もいますね。
茂木:まさに人生を共に歩んでいくという。5月3日に『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』がリリースされましたが、これは再録音ですか?
小山:実はバッハのアルバムも初めてなんです。
茂木:意外ですね、今回ゴルトベルクをやろうと思ったのは?
小山:私がショパンコンクールを受けた翌年に、ソニーの初アルバムから数えて30枚目なんですけど、ゴルトベルクが30の変奏なんです。
茂木:30にかけたということですか!
小山:それから、ゴルトベルクは3とか2とか数字がキーポイントになっているんですよ。
私のシリーズ24回も、12と24という数字をキーポイントにしていますので、いろんな意味を含めて、ここで「ゴルトベルク」が登場します。
茂木:しかも、録音されたのが軽井沢の大賀ホールということで、もともとデビューの時は大賀さんとの出会いが関わっていたんですか?
小山:大賀さんは芸大の声楽家でも大先輩なんですけど、私のデビューの時も応援してくれて、演奏会にもよくいらしてくださったりとか。
それが、こういうことまでに繋がったというのは本当に驚きの話ですし。
今回使用しているピアノは、偶然なんですけど「スタインウェイ」というピアノが2台ありまして、そのうちの1台が大賀さんの別荘にあったものをホールに…今は使われないからっていって、入ったものを、そういうこと何もなしに”このピアノがいいわ”と選んだのが、それだったんです。
何か因縁みたいなものがそこにありました(笑)。
──音楽に対する愛情
茂木:大賀さんといえばカラヤンさんとも親交が深く、ソニーの経営者としても活躍されましたけど、音楽に対する愛情とか理解は深い方だったんですか?
小山:素晴らしかったですね。私たち音楽家って、古く昔から、宮廷でいろんな王様がサポートしてくださったみたいに…そういう力があって長年続いてきたものだと思うんですけど。
そういう意味ではレコーディングから、演奏会から、日本の音楽界に貢献された方だと思います。
茂木:小山さんは1982年のチャイコフスキー国際コンクール、1985年のショパンコンクールで入賞されてデビューされたわけなんですけど。中村紘子さんもショパンコンクールで入賞されましたよね?
小山:そうですね。
茂木:中村紘子さんのご著書の中で「ピアニストという蛮族がいる」というものがあって。音楽家を支えてくれる方がいて、音楽が成り立つと?
小山:それは昔からあったと思います。ゴルトベルクもカイザーリンク伯爵という伯爵がバッハに、これは逸話でどこまでが本当か分からないですけど…眠れるために作ってほしいと言って、ゴルトベルクという若い演奏家に弾かせるためにという逸話が残っています。
やっぱり、そういうものはずっとあったんじゃないかと思います。だから、そういった極まった作品も出来てきたと考えます。
茂木:ゴルトベルクは様々なピアニストが録音していて、グレン・グールドさんなんかも録音されていますけど今回いかがでしたか?
小山:バッハという作曲家ですけど、非常に宇宙的だし作品がひとつの小ぶりでも、大ぶりでも建築物の印象なので。そういう意味では、ロマン派の作品を演奏する時よりも、より躍動感はあるものの、あるところでは作るという意識も高めています。
茂木:これは歴史的にはピアノができる前の曲ということですよね?
小山:そうですね、チェンバロですね。
茂木:そのあたりはどうですか?
小山:二段鍵盤で書かれているので、それを現代のピアノでするということは二段だからこそ弾けるようなところもあって。
茂木:技術的に難しいところもあるんですね。
小山:大変ありますね(笑)。
●「小山実稚恵 公式サイト」
(Amazon)
来週も引き続き、ピアニストの小山実稚恵さんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。
小山さんは、2015年にデビュー30周年を迎えられた、人気・実力ともに日本を代表するピアニストです。
世界的に有名なピアノコンクール、チャイコフスキー国際コンクールと、
ショパン国際ピアノコンクールの両方に日本人として初めて入賞して以来、
今日に至るまで、常に第一線で活躍し続けていらっしゃいます。
また、先日発表された、文化庁主催の第67回芸術選奨では、音楽部門文部科学大臣賞を受賞されました。
今週は、2006年から12年間、24回にわたってBunkamuraオーチャードホールをはじめ、
全国6都市で、春と秋の2回行われているリサイタルの事、デビュー30周年を迎えられての心境を伺いました。
──紡がれていったもの
茂木:まずは、第67回芸術選奨の音楽部門文部科学大臣賞おめでとうござます!
小山:ありがとうございます。
茂木:今回の賞はいかがでしたか?
小山:やはり、大変嬉しいし光栄に思いました。
茂木:デビュー30周年過ぎて、これだけピアニスト生活を続けて来られたのはいかがですか?
小山:私としては幸せなことだと思っています。
コンサートは一期一会ですから、先人たちが作曲した素晴らしい作品をこうやって弾けることが、どれだけですごいことかというのと、日々音楽に触れていることが、自分にとってこれ以上のいい事はないと思います。
茂木:2017年の今年は小山さんにとって記念すべき年となりそうですね。
2006年から行われてきたリサイタル、「小山実稚恵の世界」24回、12年間にわたってされてたわけですけど。
それが今年の秋に完結ということですね、曲目は最初に決められたんですか?
小山:24回のプログラムは第1回の前に決めました。
決めたときは全部の作品を弾いてるわけではないので、まったく1回も弾いてない回というのも沢山あったりとか…並べるときは頭の中で並べますから、空想で並べた場合もあったので、演奏してみて”こうなっちゃうんだ”とか、”こう聴こえて来るんだ”とかありましたね。
茂木:ファンの方の中には、このリサイタルをコンプリートしてる方もいらっしゃるんじゃないですか?
小山:全部聴いてくださっている方もいますね。
茂木:まさに人生を共に歩んでいくという。5月3日に『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』がリリースされましたが、これは再録音ですか?
小山:実はバッハのアルバムも初めてなんです。
茂木:意外ですね、今回ゴルトベルクをやろうと思ったのは?
小山:私がショパンコンクールを受けた翌年に、ソニーの初アルバムから数えて30枚目なんですけど、ゴルトベルクが30の変奏なんです。
茂木:30にかけたということですか!
小山:それから、ゴルトベルクは3とか2とか数字がキーポイントになっているんですよ。
私のシリーズ24回も、12と24という数字をキーポイントにしていますので、いろんな意味を含めて、ここで「ゴルトベルク」が登場します。
茂木:しかも、録音されたのが軽井沢の大賀ホールということで、もともとデビューの時は大賀さんとの出会いが関わっていたんですか?
小山:大賀さんは芸大の声楽家でも大先輩なんですけど、私のデビューの時も応援してくれて、演奏会にもよくいらしてくださったりとか。
それが、こういうことまでに繋がったというのは本当に驚きの話ですし。
今回使用しているピアノは、偶然なんですけど「スタインウェイ」というピアノが2台ありまして、そのうちの1台が大賀さんの別荘にあったものをホールに…今は使われないからっていって、入ったものを、そういうこと何もなしに”このピアノがいいわ”と選んだのが、それだったんです。
何か因縁みたいなものがそこにありました(笑)。
──音楽に対する愛情
茂木:大賀さんといえばカラヤンさんとも親交が深く、ソニーの経営者としても活躍されましたけど、音楽に対する愛情とか理解は深い方だったんですか?
小山:素晴らしかったですね。私たち音楽家って、古く昔から、宮廷でいろんな王様がサポートしてくださったみたいに…そういう力があって長年続いてきたものだと思うんですけど。
そういう意味ではレコーディングから、演奏会から、日本の音楽界に貢献された方だと思います。
茂木:小山さんは1982年のチャイコフスキー国際コンクール、1985年のショパンコンクールで入賞されてデビューされたわけなんですけど。中村紘子さんもショパンコンクールで入賞されましたよね?
小山:そうですね。
茂木:中村紘子さんのご著書の中で「ピアニストという蛮族がいる」というものがあって。音楽家を支えてくれる方がいて、音楽が成り立つと?
小山:それは昔からあったと思います。ゴルトベルクもカイザーリンク伯爵という伯爵がバッハに、これは逸話でどこまでが本当か分からないですけど…眠れるために作ってほしいと言って、ゴルトベルクという若い演奏家に弾かせるためにという逸話が残っています。
やっぱり、そういうものはずっとあったんじゃないかと思います。だから、そういった極まった作品も出来てきたと考えます。
茂木:ゴルトベルクは様々なピアニストが録音していて、グレン・グールドさんなんかも録音されていますけど今回いかがでしたか?
小山:バッハという作曲家ですけど、非常に宇宙的だし作品がひとつの小ぶりでも、大ぶりでも建築物の印象なので。そういう意味では、ロマン派の作品を演奏する時よりも、より躍動感はあるものの、あるところでは作るという意識も高めています。
茂木:これは歴史的にはピアノができる前の曲ということですよね?
小山:そうですね、チェンバロですね。
茂木:そのあたりはどうですか?
小山:二段鍵盤で書かれているので、それを現代のピアノでするということは二段だからこそ弾けるようなところもあって。
茂木:技術的に難しいところもあるんですね。
小山:大変ありますね(笑)。
●「小山実稚恵 公式サイト」
(Amazon)
来週も引き続き、ピアニストの小山実稚恵さんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。