2016年09月25日
今夜も、先週に引き続き、日本を代表するトップドラマーの沼澤尚さんをお迎えしました。
沼澤さんは、大学卒業と同時にLAの音楽学校に留学し、ジョー・ポーカロやラルフ・ハンフリーらに師事。
LAを拠点にプロとして音楽活動を始められます。
88年以後は日本での活動も増え、現在は東京を中心に、さまざまなアーティストのレコーディング、ライブサポートを行う傍ら
ご自身の参加するバンドでも精力的に活動し、年間で数多くのライブを行っています。
今夜は、沼澤さんが追求されている音楽の姿について伺いました。
──巡り合わせ
茂木:沼澤さんのアメリカでの実際の生活に興味があって、いろんな方とやられてるじゃないですか?
あれって、人間関係で繋がっていくんですか?
沼澤:ネットワーク以外にないですね。誰と知り合いだっていうことと、彼と仲がいいとか…誰が見てるかわからないので。
自分の場合は、学生の時に友達のホームパーティーにいた人が自分のことを覚えていて、ばったり会って声をかけられたんですよ。
それからの連続だったんです。
茂木:そうやって広がっていったんですか。
沼澤:そうですね。正直、その時にその人に会っていなかったら、いま僕は茂木さんの前に座ってないよねっていうくらい、そういうことの連続でした。
茂木:信頼関係というか、”あいつの音楽は信用できる”みたいな?
沼澤:そこまで具体的じゃないような気がします。
何度も会ってるけど”会ったっけ?”っていう人と、一瞬会ったのに”絶対に忘れない人”っているじゃないですか。
茂木:沼澤さんはかなり目立ってたっていうことですか?
沼澤:そうでもないと思うんですけど。アメリカに行って1つ良かったのは、日本人というのが、ルックス的にも華奢なので、髪も長くて女の子に見られてたんですよ。黒人でも、白人でもないっていう印象が、同じ力量の白人、黒人がいた時に、僕も同じだったとしたら印象が良かったんですよ『日本人のあいつ』みたいな。
茂木:キャラ立ちしてたんですね。
沼澤:その逆もあって、自分と一緒にオーディションに行った友達がいて。その友達はそのアーティストの衣装を着ていったんですよ。僕はジャージで行って、そいつになったんですよ。
そういうのもあって、かといって”いろいろ着飾っていくかの?”それも作為的になっちゃうので、そのへんのバランスは難しいですね。
──ミュージシャンのネットワーク
茂木:日本のミュージシャンとのコラボはアメリカにいる頃から始められたということですけど、きっかけは何だったんですか?
沼澤:自分がやっていたボビー・ウーマックという人のツアーをやっていたときに、僕がたまたまレコーディングスタジオにいたとき、日本人のギタリストで山岸潤史さんという方がいて、いまニューオーリンズで大活躍してるんですけど。
日本では、ウエスト・ロード・ブルース・バンドや、いろんなセッションをやっていたすごいギタリストがいて。その彼が、たまたまロサンゼルスに来てたんですよ。
茂木:なるほど!
沼澤:僕は”山岸潤史だ!”と思いながら、こっちで喋っていたら、彼が「君は、ボビー・ウーマックが来日したときのドラマー?」って聞かれて、「そうです」と言うと「君かー!」って言われて。
僕は日本でやっていなかったので、”あいつはなんなんだ?”ってなっているわけですよ。25年目にして、初めて日本に来たボビー・ウーマックのツアーでしたから。
茂木:”あのドラムはなんなんだ?”と。
沼澤:ボビー・ウーマックが初めて日本に来るというのはすごく貴重だったんですよ。山岸さんと僕がそこで知り合いになって、山岸さんがロサンゼルスに自分のアルバムを録りに来た時に、僕がボビー・ウーマックを紹介したんですよ。
で、ウーマックが山岸さんのアルバムでサム・クックの歌を歌うっていう事が実現したんですよ。そこから山岸さんが、日本での仕事で呼んでくれるようになったんですよ。
90年代に、山岸さんがCHICKENSHACKというバンドをやっていて、そのドラムがいなくなったので、日本に来れないかということで、呼ばれたんですよ。
茂木:へ〜〜。
沼澤:それで、プリンスの連中とやっていたバンドのCDが出た時に、それを聴いてくれていたシングライクトーキングの佐藤竹善くん、彼らがレコーディングに呼んでくれたり。で、そのライブを見に来てた、井上陽水さんのマネージャーの方が陽水さんのツアーに誘ってくれたり…そういう連続なんですよ。
茂木:最初は山岸さんから始まったんですね。
沼澤:全部そうです、日本は山岸さんですね。
茂木:ミュージシャンの世界ってネットワークっていうのが大事なんですね。
沼澤:でも、仕事とかも普段からそうじゃないですか?
茂木:そうなんですけど、沼澤さんが仰っていた「Music is universal language」って、本当そうですね。
沼澤:逆に言うと、この時仲良かった人と二度と会わない人も沢山いますし。そういうのも不思議だなと思いますね。
昔よくやっていたのに、つないでくれた人がなくなったら会わなくなってるとか、よく思いますね。
茂木:音楽って、人生そのものだな〜。
沼澤:音楽だけじゃなくても、スポーツ界でも、普段の生活でも、みんなそうなんじゃないかなって思いますね。
──ライブは観るもの
茂木:改めてグルーヴって何ですか?
沼澤:こういう話でよく出るんですけど。例えばここに10人いて、茂木さんが演奏しました、僕も演奏をしました。
”この人、ノリがいいね”という人が、5人いたとします。茂木さんの方がいいという人が、2人いたとしたら、僕が5人の人を乗らせたけど、僕の方がグルーヴがあるかっていう問題ではないんですよ。その人に合うか、合わないかという部分があるから。
茂木:そうなんですね。
沼澤:一般的に”この人気持ちいいね”と、たくさんの人がそう思う人が、グルーヴがあると伝わった人に対して”ノリがいい”みたいな表現をしますけど。
特に技術的にとか”こういう風に演奏すると、これがグルーヴっていうものなんだよ”っていうことは、相手があってのことなので。
”これ!”っていうのはないんですよ。
茂木:”これがグルーヴだ!”と、定義できるものはないんですね。
沼澤:それは絶対にないと思います。茂木さんが「この人いいよね」と言って、僕が「全然なんとも思わないけど」と言った時に、”じゃあ、どっちが正しいの?”っていう話になっちゃうじゃないですか。その人にとって気持ちいいか、気持ちよくないか、ということだったりするので。
茂木:沼澤さんから見ると、どういう風に見えるんですか?
「このグルーヴいいよね」とかっていうのは。
沼澤:僕は映画は映画館で観たいんですよ。映画館の中の感じ、音、家で観るのとは違うので、必ず映画館に観に行くんですよ。
スポーツもそうだと思うんですよ、バッターボックスに入って打った感じとか、それが好感が持てる、持てないってあるじゃないですか。
すごいけど、好感が持てない。全然ダメだけど、こいつは好感が持てるとか、ああいうことを観察するのが好きなので。
それを自分で取り入れたいなって、普段思っているので。
人に気に入られたいとかじゃなくて、何かを見たときに”これは自分は好感持てないな”と思うことって、世の中であるじゃないですか。
自分がいいと思ったことよりも、あまり気に入らなかったと思ったことを覚えるようにしていて。それを自分はしたくないなと思うんです。それで、自分のスタイルができたらいいんじゃないかと思って、ずっとやってるんですよ。
茂木:ドラムのブラックリストみたいなのがあるんですか?
沼澤:そうですね。人の名前は言わないですけど、”俺は、なんでこのドラマーが気に入らないんだろう?”っていうときに、観に行ったりするんですけど、”あ、だからだ〜”って思ったり。
茂木:あえて観に行くんですか!?
沼澤:行きますよ。見ないとダメですから。ライブは聴くんじゃなくて、その人たちを見ないと絶対にダメですね。
茂木:そういう風に見てるんですね。
沼澤:そういう風に見ることで、自分のためにならないかなと思って。自分もステージに上がる立場に、図らずもなっちゃったので。好きな人と、そうじゃなかった人と、両方見ないと、と思ってますね。
●「沼澤尚 Official HomePage」
※Nothing But The Funkの追加公演決定!
詳しくは、公式サイトをご覧ください。
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「Nothing But The Funk Twitter」
沼澤さんは、大学卒業と同時にLAの音楽学校に留学し、ジョー・ポーカロやラルフ・ハンフリーらに師事。
LAを拠点にプロとして音楽活動を始められます。
88年以後は日本での活動も増え、現在は東京を中心に、さまざまなアーティストのレコーディング、ライブサポートを行う傍ら
ご自身の参加するバンドでも精力的に活動し、年間で数多くのライブを行っています。
今夜は、沼澤さんが追求されている音楽の姿について伺いました。
──巡り合わせ
茂木:沼澤さんのアメリカでの実際の生活に興味があって、いろんな方とやられてるじゃないですか?
あれって、人間関係で繋がっていくんですか?
沼澤:ネットワーク以外にないですね。誰と知り合いだっていうことと、彼と仲がいいとか…誰が見てるかわからないので。
自分の場合は、学生の時に友達のホームパーティーにいた人が自分のことを覚えていて、ばったり会って声をかけられたんですよ。
それからの連続だったんです。
茂木:そうやって広がっていったんですか。
沼澤:そうですね。正直、その時にその人に会っていなかったら、いま僕は茂木さんの前に座ってないよねっていうくらい、そういうことの連続でした。
茂木:信頼関係というか、”あいつの音楽は信用できる”みたいな?
沼澤:そこまで具体的じゃないような気がします。
何度も会ってるけど”会ったっけ?”っていう人と、一瞬会ったのに”絶対に忘れない人”っているじゃないですか。
茂木:沼澤さんはかなり目立ってたっていうことですか?
沼澤:そうでもないと思うんですけど。アメリカに行って1つ良かったのは、日本人というのが、ルックス的にも華奢なので、髪も長くて女の子に見られてたんですよ。黒人でも、白人でもないっていう印象が、同じ力量の白人、黒人がいた時に、僕も同じだったとしたら印象が良かったんですよ『日本人のあいつ』みたいな。
茂木:キャラ立ちしてたんですね。
沼澤:その逆もあって、自分と一緒にオーディションに行った友達がいて。その友達はそのアーティストの衣装を着ていったんですよ。僕はジャージで行って、そいつになったんですよ。
そういうのもあって、かといって”いろいろ着飾っていくかの?”それも作為的になっちゃうので、そのへんのバランスは難しいですね。
──ミュージシャンのネットワーク
茂木:日本のミュージシャンとのコラボはアメリカにいる頃から始められたということですけど、きっかけは何だったんですか?
沼澤:自分がやっていたボビー・ウーマックという人のツアーをやっていたときに、僕がたまたまレコーディングスタジオにいたとき、日本人のギタリストで山岸潤史さんという方がいて、いまニューオーリンズで大活躍してるんですけど。
日本では、ウエスト・ロード・ブルース・バンドや、いろんなセッションをやっていたすごいギタリストがいて。その彼が、たまたまロサンゼルスに来てたんですよ。
茂木:なるほど!
沼澤:僕は”山岸潤史だ!”と思いながら、こっちで喋っていたら、彼が「君は、ボビー・ウーマックが来日したときのドラマー?」って聞かれて、「そうです」と言うと「君かー!」って言われて。
僕は日本でやっていなかったので、”あいつはなんなんだ?”ってなっているわけですよ。25年目にして、初めて日本に来たボビー・ウーマックのツアーでしたから。
茂木:”あのドラムはなんなんだ?”と。
沼澤:ボビー・ウーマックが初めて日本に来るというのはすごく貴重だったんですよ。山岸さんと僕がそこで知り合いになって、山岸さんがロサンゼルスに自分のアルバムを録りに来た時に、僕がボビー・ウーマックを紹介したんですよ。
で、ウーマックが山岸さんのアルバムでサム・クックの歌を歌うっていう事が実現したんですよ。そこから山岸さんが、日本での仕事で呼んでくれるようになったんですよ。
90年代に、山岸さんがCHICKENSHACKというバンドをやっていて、そのドラムがいなくなったので、日本に来れないかということで、呼ばれたんですよ。
茂木:へ〜〜。
沼澤:それで、プリンスの連中とやっていたバンドのCDが出た時に、それを聴いてくれていたシングライクトーキングの佐藤竹善くん、彼らがレコーディングに呼んでくれたり。で、そのライブを見に来てた、井上陽水さんのマネージャーの方が陽水さんのツアーに誘ってくれたり…そういう連続なんですよ。
茂木:最初は山岸さんから始まったんですね。
沼澤:全部そうです、日本は山岸さんですね。
茂木:ミュージシャンの世界ってネットワークっていうのが大事なんですね。
沼澤:でも、仕事とかも普段からそうじゃないですか?
茂木:そうなんですけど、沼澤さんが仰っていた「Music is universal language」って、本当そうですね。
沼澤:逆に言うと、この時仲良かった人と二度と会わない人も沢山いますし。そういうのも不思議だなと思いますね。
昔よくやっていたのに、つないでくれた人がなくなったら会わなくなってるとか、よく思いますね。
茂木:音楽って、人生そのものだな〜。
沼澤:音楽だけじゃなくても、スポーツ界でも、普段の生活でも、みんなそうなんじゃないかなって思いますね。
──ライブは観るもの
茂木:改めてグルーヴって何ですか?
沼澤:こういう話でよく出るんですけど。例えばここに10人いて、茂木さんが演奏しました、僕も演奏をしました。
”この人、ノリがいいね”という人が、5人いたとします。茂木さんの方がいいという人が、2人いたとしたら、僕が5人の人を乗らせたけど、僕の方がグルーヴがあるかっていう問題ではないんですよ。その人に合うか、合わないかという部分があるから。
茂木:そうなんですね。
沼澤:一般的に”この人気持ちいいね”と、たくさんの人がそう思う人が、グルーヴがあると伝わった人に対して”ノリがいい”みたいな表現をしますけど。
特に技術的にとか”こういう風に演奏すると、これがグルーヴっていうものなんだよ”っていうことは、相手があってのことなので。
”これ!”っていうのはないんですよ。
茂木:”これがグルーヴだ!”と、定義できるものはないんですね。
沼澤:それは絶対にないと思います。茂木さんが「この人いいよね」と言って、僕が「全然なんとも思わないけど」と言った時に、”じゃあ、どっちが正しいの?”っていう話になっちゃうじゃないですか。その人にとって気持ちいいか、気持ちよくないか、ということだったりするので。
茂木:沼澤さんから見ると、どういう風に見えるんですか?
「このグルーヴいいよね」とかっていうのは。
沼澤:僕は映画は映画館で観たいんですよ。映画館の中の感じ、音、家で観るのとは違うので、必ず映画館に観に行くんですよ。
スポーツもそうだと思うんですよ、バッターボックスに入って打った感じとか、それが好感が持てる、持てないってあるじゃないですか。
すごいけど、好感が持てない。全然ダメだけど、こいつは好感が持てるとか、ああいうことを観察するのが好きなので。
それを自分で取り入れたいなって、普段思っているので。
人に気に入られたいとかじゃなくて、何かを見たときに”これは自分は好感持てないな”と思うことって、世の中であるじゃないですか。
自分がいいと思ったことよりも、あまり気に入らなかったと思ったことを覚えるようにしていて。それを自分はしたくないなと思うんです。それで、自分のスタイルができたらいいんじゃないかと思って、ずっとやってるんですよ。
茂木:ドラムのブラックリストみたいなのがあるんですか?
沼澤:そうですね。人の名前は言わないですけど、”俺は、なんでこのドラマーが気に入らないんだろう?”っていうときに、観に行ったりするんですけど、”あ、だからだ〜”って思ったり。
茂木:あえて観に行くんですか!?
沼澤:行きますよ。見ないとダメですから。ライブは聴くんじゃなくて、その人たちを見ないと絶対にダメですね。
茂木:そういう風に見てるんですね。
沼澤:そういう風に見ることで、自分のためにならないかなと思って。自分もステージに上がる立場に、図らずもなっちゃったので。好きな人と、そうじゃなかった人と、両方見ないと、と思ってますね。
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