2016年08月14日
今夜、お迎えしたお客様は、
お化け屋敷プロデューサーの五味弘文さんです。
五味さんは、長野県生まれ。
1992年、後楽園ゆうえんち、現在の東京ドームシティ アトラクションズで、
『麿赤児のパノラマ怪奇館』を手がけ、それ以降、大人が楽しめるエンターテインメントを目指して、
20年以上、活動しています。
代表作には、手錠に繋がれて歩く『LOVE CHAIN〜恐怖の鎖地獄』、
本物の廃屋を移築して作り上げた『東京近郊A市〜呪われた家』、
靴を脱いで体験する『足刈りの家』、死体と指切りをしてくる『ゆびきりの家』などがあり、
その斬新な演出は、大変、人気があります。
様々なお化け屋敷を作り続けている五味さんですが、今年の夏はどんな作品が出来上がったのか?
また、人を怖がらせるアイディアは、どこから生まれてくるのか?
お話を伺っていきました。
──”お化け屋敷プロデューサー”とは?
茂木:”お化け屋敷プロデューサー”って、日本で五味さんだけなんですか?
五味:最近ここ1、2年で似たような方がいらっしゃいますね。
茂木:五味さんのお化け屋敷が、従来型のお化け屋敷と違うのは参加者が役割を担ったり、あるミッションを遂行する。
ミッション型のお化け屋敷ということですが、これはどういうことですか?
五味:それまでのお化け屋敷っていうのは、展示されているもの、多少動いたりするものもありますけど、見て歩く、そういうスタイルだったんですね。
それだけだと、お客様が強く恐怖に関与することがないじゃないですか?
どうしても怖いものがあると、遠ざかりたいという心理が働きますよね。
茂木:普通はそうですよね。
五味:遠ざかったら面白くないので、じゃあ、何か役割を担わせることが、面白いお化け屋敷になるんじゃないかと思って。
そういうお化け屋敷を作り始めたんです。
茂木:その画期的な作品が1996年の「赤ん坊地獄」ですね。
これはどういうミッションなんですか?
五味:人間界の女性と、魔界の男が結ばれて子供が生まれる。そのあと女性は、魔界に馴染むことができずに人間界に戻ってきてしまったんだけど、赤ちゃんを置いてきてしまいます。
その赤ちゃんを、お客様に取り戻してきてほしいというミッションです。
茂木:ええ〜〜、聞いてるだけで怖いんですけど(笑)。
じゃあ、その赤ちゃんを抱いて進んでいくんですか?
五味:入り口で”お母さんに届けてくれ”と、赤ちゃんを受け取りますね、それをお母さんまで届けないといけないんです。
茂木:ミッションを与えられちゃったから行くしかないんですね。
五味:お客様は、それまではただ見て歩くだけで済んでいたのに、これを守らなければいけないという役割を担うんですね。
自分が重要な登場人物になってしまうような、そんなイメージを持つのでより怖くなるじゃないですか。
茂木:非常に画期的なアイデアだと思うんですけど、なんでそうなっちゃったんですか?(笑)
五味:子供の頃、お化け屋敷が好きで家の一部屋を改造して、夏休みになると作っていたんですよ。
茂木:それは変わっていますね。
お母さんとか、何か言ってなかったですか?
五味:困ったもんだと思っていたんじゃないかと思うんですよ(笑)。
暗いところに入って、シーツ被って、友達とか、家族とか、いとこを脅かしてるわけですから。
茂木:お化け屋敷のネイティブだったってことですか(笑)。
──「赤ん坊地獄」の続編
茂木:いま、「赤ん坊地獄」の続編をやっているんですよね。
五味:20年ぶりに続編をやっています(笑)。
茂木:気になることが書いてあって
「10時〜16時」は絶叫編って書いてあるんですけど、
「17時〜22時」は超・絶叫編って書いてあるんですよ。どういうことですか?
五味:内容が少し変わるんですよ。動く仕掛けの数も変わるし、入れなかった部屋にも入れるようになるんです。だから、より怖くなるのが17時からですね。
茂木:もともと怖いわけですよね?
それをさらに怖くするんですか?
五味:そうですね〜(笑)。
茂木:設定が怖いんですけど、赤ん坊がさらわれちゃったんだ……。
五味:20年前にさらわれた赤ちゃんが、今年20歳になったので、その子が子供を産んだんですね。
魔界の者たちは、その赤ちゃんが欲しくてたまらないので居場所を探しているんですよ。
で、子供の頃に聴いた子守唄を口ずさんでしまったために、見つかって、また赤ん坊がさらわれてしまったんです。
茂木:それも怖いですね(笑)。
お客様はどういう方が多いですか?
五味:10代後半〜20代のカップルが多いですね。
茂木:昔から、お化け屋敷にデートで行くと女の子が「きゃー!」と言って、抱きつくっていうのあるじゃないですか?
実際にどうですか?
五味:それも実際にあります。ただ、その逆のパターンもあるんです(笑)。
見てると、みんな楽しそうなんですよ。
茂木:入って、何分くらいでミッションクリアなんですか?
五味:時間としては7、8分くらいですよ。
茂木:でも、相当怖いんですよね?
五味:相当怖いです(笑)。
茂木:どうしよ〜(笑)。
五味:それは、是非いらしていただかないといけないですね(笑)。
茂木:………考えさせて下さい!(笑)
──お化け屋敷のメカニズム
茂木:恐怖から見る人間ってどうですか?
五味:奇妙だなと思うんですよね。恐怖って、普段人生の中では避けて通りたいし、なるべくそういうものに触れたくないと生きてるわけですよね。
なんでか知らないけど、そういうところに「恐怖が安全である」という言い方も変ですけど……
「安全な恐怖」というものが提示されると、そういう所に近づきたいっていう気持ちが起こってくる、不思議ですよね。
茂木:そこが大事なポイントなんですね。
安心、安全が意外と鍵というか、五味館の場合は帰って出てきたら
「あ〜、怖かった〜。じゃあ、ご飯食べに行こうか」ってなれるという。
五味:「安全な恐怖」っていう言い方は矛盾ですよね。
入れば安全だと思いながらも、怖くなってしまうっていうのが、また奇妙なところですよね。
茂木:脳の活性化という意味においては、恐怖ってすごくいいと思いますけどね。
あと、参加側の想像力っていうのも大事ですよね。
五味:ほとんど想像力ですから。実際に作り物だと思って、みんな入っていきますから、本物がいるなんて誰も思ってないわけですよね。
”嘘っぱちだな”と思って入っていくんだけど、理性的な部分を、想像力が超えてしまって。
闇があれば、”何か潜んでいるんじゃないか?”と思うし、人形があれば”動くんじゃないか?”と思う。
想像力が膨らんでいって、理性を超えていってしまう。それが、お化け屋敷の中で”怖い”と感じる、メカニズムなんじゃないかと思います。
●「五味弘文 Twitter」
「オフィスバーン」オフィシャルサイト
来週も引き続き、お化け屋敷プロデューサーの五味弘文さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。
お化け屋敷プロデューサーの五味弘文さんです。
五味さんは、長野県生まれ。
1992年、後楽園ゆうえんち、現在の東京ドームシティ アトラクションズで、
『麿赤児のパノラマ怪奇館』を手がけ、それ以降、大人が楽しめるエンターテインメントを目指して、
20年以上、活動しています。
代表作には、手錠に繋がれて歩く『LOVE CHAIN〜恐怖の鎖地獄』、
本物の廃屋を移築して作り上げた『東京近郊A市〜呪われた家』、
靴を脱いで体験する『足刈りの家』、死体と指切りをしてくる『ゆびきりの家』などがあり、
その斬新な演出は、大変、人気があります。
様々なお化け屋敷を作り続けている五味さんですが、今年の夏はどんな作品が出来上がったのか?
また、人を怖がらせるアイディアは、どこから生まれてくるのか?
お話を伺っていきました。
──”お化け屋敷プロデューサー”とは?
茂木:”お化け屋敷プロデューサー”って、日本で五味さんだけなんですか?
五味:最近ここ1、2年で似たような方がいらっしゃいますね。
茂木:五味さんのお化け屋敷が、従来型のお化け屋敷と違うのは参加者が役割を担ったり、あるミッションを遂行する。
ミッション型のお化け屋敷ということですが、これはどういうことですか?
五味:それまでのお化け屋敷っていうのは、展示されているもの、多少動いたりするものもありますけど、見て歩く、そういうスタイルだったんですね。
それだけだと、お客様が強く恐怖に関与することがないじゃないですか?
どうしても怖いものがあると、遠ざかりたいという心理が働きますよね。
茂木:普通はそうですよね。
五味:遠ざかったら面白くないので、じゃあ、何か役割を担わせることが、面白いお化け屋敷になるんじゃないかと思って。
そういうお化け屋敷を作り始めたんです。
茂木:その画期的な作品が1996年の「赤ん坊地獄」ですね。
これはどういうミッションなんですか?
五味:人間界の女性と、魔界の男が結ばれて子供が生まれる。そのあと女性は、魔界に馴染むことができずに人間界に戻ってきてしまったんだけど、赤ちゃんを置いてきてしまいます。
その赤ちゃんを、お客様に取り戻してきてほしいというミッションです。
茂木:ええ〜〜、聞いてるだけで怖いんですけど(笑)。
じゃあ、その赤ちゃんを抱いて進んでいくんですか?
五味:入り口で”お母さんに届けてくれ”と、赤ちゃんを受け取りますね、それをお母さんまで届けないといけないんです。
茂木:ミッションを与えられちゃったから行くしかないんですね。
五味:お客様は、それまではただ見て歩くだけで済んでいたのに、これを守らなければいけないという役割を担うんですね。
自分が重要な登場人物になってしまうような、そんなイメージを持つのでより怖くなるじゃないですか。
茂木:非常に画期的なアイデアだと思うんですけど、なんでそうなっちゃったんですか?(笑)
五味:子供の頃、お化け屋敷が好きで家の一部屋を改造して、夏休みになると作っていたんですよ。
茂木:それは変わっていますね。
お母さんとか、何か言ってなかったですか?
五味:困ったもんだと思っていたんじゃないかと思うんですよ(笑)。
暗いところに入って、シーツ被って、友達とか、家族とか、いとこを脅かしてるわけですから。
茂木:お化け屋敷のネイティブだったってことですか(笑)。
──「赤ん坊地獄」の続編
茂木:いま、「赤ん坊地獄」の続編をやっているんですよね。
五味:20年ぶりに続編をやっています(笑)。
茂木:気になることが書いてあって
「10時〜16時」は絶叫編って書いてあるんですけど、
「17時〜22時」は超・絶叫編って書いてあるんですよ。どういうことですか?
五味:内容が少し変わるんですよ。動く仕掛けの数も変わるし、入れなかった部屋にも入れるようになるんです。だから、より怖くなるのが17時からですね。
茂木:もともと怖いわけですよね?
それをさらに怖くするんですか?
五味:そうですね〜(笑)。
茂木:設定が怖いんですけど、赤ん坊がさらわれちゃったんだ……。
五味:20年前にさらわれた赤ちゃんが、今年20歳になったので、その子が子供を産んだんですね。
魔界の者たちは、その赤ちゃんが欲しくてたまらないので居場所を探しているんですよ。
で、子供の頃に聴いた子守唄を口ずさんでしまったために、見つかって、また赤ん坊がさらわれてしまったんです。
茂木:それも怖いですね(笑)。
お客様はどういう方が多いですか?
五味:10代後半〜20代のカップルが多いですね。
茂木:昔から、お化け屋敷にデートで行くと女の子が「きゃー!」と言って、抱きつくっていうのあるじゃないですか?
実際にどうですか?
五味:それも実際にあります。ただ、その逆のパターンもあるんです(笑)。
見てると、みんな楽しそうなんですよ。
茂木:入って、何分くらいでミッションクリアなんですか?
五味:時間としては7、8分くらいですよ。
茂木:でも、相当怖いんですよね?
五味:相当怖いです(笑)。
茂木:どうしよ〜(笑)。
五味:それは、是非いらしていただかないといけないですね(笑)。
茂木:………考えさせて下さい!(笑)
──お化け屋敷のメカニズム
茂木:恐怖から見る人間ってどうですか?
五味:奇妙だなと思うんですよね。恐怖って、普段人生の中では避けて通りたいし、なるべくそういうものに触れたくないと生きてるわけですよね。
なんでか知らないけど、そういうところに「恐怖が安全である」という言い方も変ですけど……
「安全な恐怖」というものが提示されると、そういう所に近づきたいっていう気持ちが起こってくる、不思議ですよね。
茂木:そこが大事なポイントなんですね。
安心、安全が意外と鍵というか、五味館の場合は帰って出てきたら
「あ〜、怖かった〜。じゃあ、ご飯食べに行こうか」ってなれるという。
五味:「安全な恐怖」っていう言い方は矛盾ですよね。
入れば安全だと思いながらも、怖くなってしまうっていうのが、また奇妙なところですよね。
茂木:脳の活性化という意味においては、恐怖ってすごくいいと思いますけどね。
あと、参加側の想像力っていうのも大事ですよね。
五味:ほとんど想像力ですから。実際に作り物だと思って、みんな入っていきますから、本物がいるなんて誰も思ってないわけですよね。
”嘘っぱちだな”と思って入っていくんだけど、理性的な部分を、想像力が超えてしまって。
闇があれば、”何か潜んでいるんじゃないか?”と思うし、人形があれば”動くんじゃないか?”と思う。
想像力が膨らんでいって、理性を超えていってしまう。それが、お化け屋敷の中で”怖い”と感じる、メカニズムなんじゃないかと思います。
●「五味弘文 Twitter」
「オフィスバーン」オフィシャルサイト
来週も引き続き、お化け屋敷プロデューサーの五味弘文さんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。