2016年06月26日
今夜お迎えしたお客様は、アーティストの坂本美雨さんです。
坂本さんは、お父様が、坂本龍一さん、
お母様は、矢野顕子さんという、ミュージシャンのご両親のもとに生まれ、
1997年、「Ryuichi Sakamoto featuring Sister M 」名義でデビューし、
1998年、本名で音楽活動をスタートされました。
現在は音楽に留まらず、作詞、翻訳、ナレーション、俳優など、マルチな分野で活躍をされていらっしゃいます。
その坂本さんが、6月22日に、坂本美雨 with CANTUSで、ミニアルバム『Sing with me』をリリースされました。
今週は、このミニアルバムに込めた坂本さんの想いや、作品の聴きどころなどを伺いました。
──歌はコミュニケーション
茂木:ニューアルバム『Sing with me』坂本美雨 with CANTUS。これはいいですね〜、本当にいい曲で仕事しながら10回くらい聴いちゃいました。
坂本:ありがとうございます、はかどります?(笑)
茂木:はかどります(笑)。これ、坂本さんとしては初のコーラス作品ということでいいんですか?
坂本:そうですね。ただ、私自身がコーラスをしているわけじゃなくて、「CANTUS」というコーラスグループの皆さんと一緒に作ったミニアルバムなんですね。
茂木:このCANTUSというグループは、女性だけのコーラスグループですか?
坂本:女性が6人〜10人くらい、時期によって人数が変わったりするんですけど(笑)。
茂木:この方々は、普段はどういう活動をされてらっしゃるんですか?
坂本:普段はご家庭ある方、お仕事ある方なんですけど。もともと、「少年少女合唱団」のOG達なんですね。
私がベストアルバムを出した時に、ライブでコーラスとして来てくださって。
その時に”お美しいな〜”と思って、CANTUSのライブにゲスト参加させていただいたりしました。
茂木:そして今回『Sing with me』で、まさにタイトル通り”わたしと歌って”という。
坂本:私がCANTUSに向かって、わたしと歌ってというのもそうですし
私たちから皆さんへ、「一緒に歌ってほしい」というのもあります。
ジャケットも、わたしと娘の手なんですね。
茂木:すごく可愛い手が写ってるんですけど、何ヶ月くらいですか?
坂本:8ヶ月かな。子供が出来てから、子守唄もそうですし、子供と一緒に歌えるような歌を歌いたいなと思って。
子供に対しての”一緒に歌おう”という気持ちも込められています。
茂木:アーティストとして見える風景も変わりましたか?
坂本:アーティストとしてというよりも、歌の存在が少し変わりました。
今までは自己表現のツールでしたけれど、今はもっと会話レベルで、娘とのコミュニケーションの1つの方法なんですよね。
茂木:おうちでも歌ってらっしゃるんですか?
坂本:いつも歌ってますね。どうでもいいことをメロディにのせるだけなんですけど(笑)。
日常がなんでも歌になるんですね、とにかく子供を笑顔にしたい一心で。
茂木:お子様はどんな反応ですか?
坂本:笑ってくれる歌もあるんですけど、そういうのは昔からある童謡が多いですね。
昔から歌い継がれている童謡に比べたら、私の作曲は敵わないです。
茂木:お母さんの声っていうのも、子供にとっては大事ですよね。
坂本:生まれてから一番最初に反応するのが音ですし、お母さんの声なので
目があまり見えてない頃から声には反応してましたね。
──美しい日本語を唄う
茂木:このアルバムでびっくりしたのが、宮沢賢治 作詞作曲の歌があるんですね。
坂本:そうなんですよ。宮沢賢治さんの「双子の星」という作品に登場する、「星めぐりの歌」っていう曲があるんですけど、それは彼が曲もつけていたんですね。
茂木:詞があるのはわかるんですけど、曲もですよね。
坂本:ミュージシャンだったんですね。
茂木:またこれが、坂本さんの歌声にすごく合ってていい曲ですよね。
実際に歌っていかがでした?
坂本:言葉の一文字一文字が美しいので、それを壊さないように。メロディがシンプルなので、より日本語が際立つと思うんですね。
あとは、ピアノのharuka nakamuraさんと、”いっせーのーせ”で一緒に録ったんですね。
その時はスタジオ内を暗くして、お互いの音に繊細に耳を澄ませながら歌ったので、すごく印象に残っています。
茂木:いまのJ-POP的な日本語とも違う、すごく懐かしい、そして、ひとつひとつを大事にしている言葉だと思うんですけど。逆に全然古くないし、いま聴いても新しいですよね。
4曲とも、とってもいいアルバムですね。
坂本:お子さんいる方は一緒に聴いたり、歌ったり、子守唄にしてほしいと思いますし。
そうじゃない方も、日常の中にすっと溶け込むようなものになったらいいなと思っています。
──新たな発見
茂木:CANTUSと一緒にお仕事されてどうですか?
坂本:本当に声が楽器の皆さんで、特殊な美しい響きですね。
ライブになるとみんながすごく支えてくれて、より私が歌いやすいように配慮してくれたり、お互いの呼吸を感じながらやっています。
実際に、楽器のバンドのみんなとやる時よりも、より呼吸は感じますね。
茂木:”バンドと歌う”っていうのは、なんとなくイメージあるんですけど、”コーラスと歌う”って別なんですかね。
坂本:アカペラなので緊張感はありますよね。
私が前に立って歌わせてもらって、みんなが後ろにいてくれるからこそ、それに寄りかかって歌えるみたいな気持ちになっています。
茂木:じゃあ、歌い手としても何か新しいものを触発されたっていうところはあるんですか?
坂本:そうですね。レコーディングでもCANTUSのリーダーのOTAMIHOさんが、私の好きな声質というか…
私のいろんな歌い方の中でも、いままで自分が得意ではないと思っていた部分を「すごくいい」と褒めてくれて。
私は声が高めで、”ピーン”と張っているほうなので、そういう曲が多かったんですね。
でも、MIHOちゃんは、「日常的に喋ってる音域の、そして揺らいでいる、日常的な表情の歌声が魅力的だよ」と言ってくれて。
だから、今までの音域と下げたりしています。
茂木:言われてみて気付きまして、でも、すごく自然なので。
そこが今回、音楽的には違うんですね。
坂本:自分がいろいろなことをコントロールしていたら、今までを引きずったものになっていたかもしれないですけど、今回は素の歌い方を引き出してもらいましたね。
●「坂本美雨 オフィシャルサイト」
「ミニアルバム「Sing with me」特設サイト」
※インタビュー中にあった、坂本美雨さんのイベントですが、二子玉川のアートフェス「TOKYO ART FLOW」に参加されます。
詳しくは、特設サイトでチェックしてください。
(Amazon)
来週も引き続き、アーティストの坂本美雨さんをお迎えします。
どうぞ、お聴き逃しなく!
坂本さんは、お父様が、坂本龍一さん、
お母様は、矢野顕子さんという、ミュージシャンのご両親のもとに生まれ、
1997年、「Ryuichi Sakamoto featuring Sister M 」名義でデビューし、
1998年、本名で音楽活動をスタートされました。
現在は音楽に留まらず、作詞、翻訳、ナレーション、俳優など、マルチな分野で活躍をされていらっしゃいます。
その坂本さんが、6月22日に、坂本美雨 with CANTUSで、ミニアルバム『Sing with me』をリリースされました。
今週は、このミニアルバムに込めた坂本さんの想いや、作品の聴きどころなどを伺いました。
──歌はコミュニケーション
茂木:ニューアルバム『Sing with me』坂本美雨 with CANTUS。これはいいですね〜、本当にいい曲で仕事しながら10回くらい聴いちゃいました。
坂本:ありがとうございます、はかどります?(笑)
茂木:はかどります(笑)。これ、坂本さんとしては初のコーラス作品ということでいいんですか?
坂本:そうですね。ただ、私自身がコーラスをしているわけじゃなくて、「CANTUS」というコーラスグループの皆さんと一緒に作ったミニアルバムなんですね。
茂木:このCANTUSというグループは、女性だけのコーラスグループですか?
坂本:女性が6人〜10人くらい、時期によって人数が変わったりするんですけど(笑)。
茂木:この方々は、普段はどういう活動をされてらっしゃるんですか?
坂本:普段はご家庭ある方、お仕事ある方なんですけど。もともと、「少年少女合唱団」のOG達なんですね。
私がベストアルバムを出した時に、ライブでコーラスとして来てくださって。
その時に”お美しいな〜”と思って、CANTUSのライブにゲスト参加させていただいたりしました。
茂木:そして今回『Sing with me』で、まさにタイトル通り”わたしと歌って”という。
坂本:私がCANTUSに向かって、わたしと歌ってというのもそうですし
私たちから皆さんへ、「一緒に歌ってほしい」というのもあります。
ジャケットも、わたしと娘の手なんですね。
茂木:すごく可愛い手が写ってるんですけど、何ヶ月くらいですか?
坂本:8ヶ月かな。子供が出来てから、子守唄もそうですし、子供と一緒に歌えるような歌を歌いたいなと思って。
子供に対しての”一緒に歌おう”という気持ちも込められています。
茂木:アーティストとして見える風景も変わりましたか?
坂本:アーティストとしてというよりも、歌の存在が少し変わりました。
今までは自己表現のツールでしたけれど、今はもっと会話レベルで、娘とのコミュニケーションの1つの方法なんですよね。
茂木:おうちでも歌ってらっしゃるんですか?
坂本:いつも歌ってますね。どうでもいいことをメロディにのせるだけなんですけど(笑)。
日常がなんでも歌になるんですね、とにかく子供を笑顔にしたい一心で。
茂木:お子様はどんな反応ですか?
坂本:笑ってくれる歌もあるんですけど、そういうのは昔からある童謡が多いですね。
昔から歌い継がれている童謡に比べたら、私の作曲は敵わないです。
茂木:お母さんの声っていうのも、子供にとっては大事ですよね。
坂本:生まれてから一番最初に反応するのが音ですし、お母さんの声なので
目があまり見えてない頃から声には反応してましたね。
──美しい日本語を唄う
茂木:このアルバムでびっくりしたのが、宮沢賢治 作詞作曲の歌があるんですね。
坂本:そうなんですよ。宮沢賢治さんの「双子の星」という作品に登場する、「星めぐりの歌」っていう曲があるんですけど、それは彼が曲もつけていたんですね。
茂木:詞があるのはわかるんですけど、曲もですよね。
坂本:ミュージシャンだったんですね。
茂木:またこれが、坂本さんの歌声にすごく合ってていい曲ですよね。
実際に歌っていかがでした?
坂本:言葉の一文字一文字が美しいので、それを壊さないように。メロディがシンプルなので、より日本語が際立つと思うんですね。
あとは、ピアノのharuka nakamuraさんと、”いっせーのーせ”で一緒に録ったんですね。
その時はスタジオ内を暗くして、お互いの音に繊細に耳を澄ませながら歌ったので、すごく印象に残っています。
茂木:いまのJ-POP的な日本語とも違う、すごく懐かしい、そして、ひとつひとつを大事にしている言葉だと思うんですけど。逆に全然古くないし、いま聴いても新しいですよね。
4曲とも、とってもいいアルバムですね。
坂本:お子さんいる方は一緒に聴いたり、歌ったり、子守唄にしてほしいと思いますし。
そうじゃない方も、日常の中にすっと溶け込むようなものになったらいいなと思っています。
──新たな発見
茂木:CANTUSと一緒にお仕事されてどうですか?
坂本:本当に声が楽器の皆さんで、特殊な美しい響きですね。
ライブになるとみんながすごく支えてくれて、より私が歌いやすいように配慮してくれたり、お互いの呼吸を感じながらやっています。
実際に、楽器のバンドのみんなとやる時よりも、より呼吸は感じますね。
茂木:”バンドと歌う”っていうのは、なんとなくイメージあるんですけど、”コーラスと歌う”って別なんですかね。
坂本:アカペラなので緊張感はありますよね。
私が前に立って歌わせてもらって、みんなが後ろにいてくれるからこそ、それに寄りかかって歌えるみたいな気持ちになっています。
茂木:じゃあ、歌い手としても何か新しいものを触発されたっていうところはあるんですか?
坂本:そうですね。レコーディングでもCANTUSのリーダーのOTAMIHOさんが、私の好きな声質というか…
私のいろんな歌い方の中でも、いままで自分が得意ではないと思っていた部分を「すごくいい」と褒めてくれて。
私は声が高めで、”ピーン”と張っているほうなので、そういう曲が多かったんですね。
でも、MIHOちゃんは、「日常的に喋ってる音域の、そして揺らいでいる、日常的な表情の歌声が魅力的だよ」と言ってくれて。
だから、今までの音域と下げたりしています。
茂木:言われてみて気付きまして、でも、すごく自然なので。
そこが今回、音楽的には違うんですね。
坂本:自分がいろいろなことをコントロールしていたら、今までを引きずったものになっていたかもしれないですけど、今回は素の歌い方を引き出してもらいましたね。
●「坂本美雨 オフィシャルサイト」
「ミニアルバム「Sing with me」特設サイト」
※インタビュー中にあった、坂本美雨さんのイベントですが、二子玉川のアートフェス「TOKYO ART FLOW」に参加されます。
詳しくは、特設サイトでチェックしてください。
(Amazon)
来週も引き続き、アーティストの坂本美雨さんをお迎えします。
どうぞ、お聴き逃しなく!