2017.09.01
16:00 『よんぱち』【いざ豪雨に襲われたら、その時の行動】


スタジオに、豪雨災害のエキスパートで、
NIED=防災科学技術研究所の
水・土砂防災研究部門長の三隅良平さんをお迎えして
【いざ豪雨に襲われたら、その時の行動】について考えました。

※※※※※※※※※※
三隅さんによると、大雨に襲われた際、
特に被害に遭うリスクが高いのが・・・
◆アウトドアの際
たとえば川。1999年に神奈川県の玄倉川の中州で
キャンプをしていた男女18名が逃げ遅れて、
中州に取り残され動けなくなり、
最後は増水した川に流されてしまったという
痛ましい災害がありました。
川の場合、上流で大雨が降っていても
気づかない場合が多く、
気づいた時にはもう逃げられなくなって
しまっているということがあります。

そして山。東京の方はよく高尾山に登ると思いますが、
高尾山はよく整備されて一見安全そうに見えて、
実は1年間に100件くらい救助の通報があるのだそう。
2008年には落雷で、
登山をしていた人が吹き飛ばされて
滑落したという事例があります。
山は天気が変わりやすくて、
雨の降り方も激しいので、
災害に遭うリスクが高くなります。

◆車に乗っているとき
自動車というのは、非常に水に弱いものです。
2008年、栃木県鹿沼市に住む主婦の方が、
東北自動車道の下を市道がくぐる、
いわゆるアンダーパスを通過しようとしたところ、
車が水につかって動かなくなり、
水圧でドアも開けられなくなって、
携帯電話で必死に救助を呼んだのですが救助が間に合わず、
そのまま亡くなってしまったという例があります。
JAF(日本自動車連盟)の実験が
インターネットで見ることができますが、
水深30cmでもエンジンルームに水が入り始めて、
水深60cmになるとエンジンが止まる、
水深90cmでドアが開けられなくなります。

◆地下にいるとき
ビルの地下室駐車場、地下室など、いわゆる地下空間。
水は高いところから低いところへ流れますので、
地下空間は浸水しやすい場所です。
最悪のシナリオは、
地上から地下へ水が入ってきて、停電で真っ暗になる。
さらに水圧でドアが開かなくなって閉じ込められ、
徐々に水かさが上がるけれども、逃げ場がない、
といった状況に陥ることがあり得ます。

※※※※※※※※※※
それでは、こうしたシチュエーションで
私たちはどのように行動したらよいのでしょうか。
シチュエーション別の豪雨災害から命を守る方法を
三隅さんに教えて頂きました。
※※※※※※※※※※
まず『自分の命は自分で守る』ことが基本になります。
災害が起ころうとしている時、
誰か指導者が現れて、こっちへ避難しなさいとか、
指示してくれるなどということはまずありません。
自分で判断して行動することになります。
とっさの判断や行動は、
とても難しいことなのですが、
それができるためには、
自分がどのような災害に巻き込まれるか、
常に想定しておくことが大事です。
山や川などレジャーにあたっては、
起こり得る災害をしっかり想定して、
余裕をもった計画を立てるということが大切です。
最近はスマートフォンなどで、
リアルタイムの気象情報を見ることができるので、
万一、危ないなと思った場合には、
勇気をもって中止する、
あるいは引き返すといった判断が大事です。


◆アウトドアの際
川にいる場合は上流の雨の様子が非常に重要になります。
その場で雨が降っていなくても、
川の水位が上がっていることに気づいたら、
すぐに川から離れることです。
川の水は、10分間で1メートル
上昇することがありますので、
躊躇せず川から離れることが重要です。
山にいる場合も、激しい雨が降る前に
下山することが望ましいのですが、
間に合わない場合は
山小屋や待避所などの建物に移動して、
安全になるまで待つことになります。

◆車に乗っているとき
運転中に大雨が降ってきた場合は
とにかくスピードを緩めること。
走行中は水たまりの水の深さが分からないので、
アンダーパスや水たまり等には
できるだけ入らないようにする、
場合によっては引き返すことが大事です。
車が水没して動かなくなった場合は、
まずエンジンを止めて、
早めに安全な場所に退避することが大事。
ここで無理にエンジンをふかすと、
エンジンルームに水が入って車が壊れます。
万一の場合に備えて、脱出用ハンマーを
常備しておくと良いでしょう。

◆地下にいるとき
雨が降っている時に、
濡れたくないのでかえって地下街に行く人がいますが、
地下空間は危険だという意識をもって下さい。
水害だけでなくて火災もそうですが、
常に避難路を確認しながら
行動することが大事です。
万一、地上につながる階段などから
水が流入しているのに気づいた場合は、
すぐ地上に出ることが大事です。

◆自宅にいるとき
よく知っておいていただきたいのですが、
避難所に行くだけが避難ではありません。
むしろ、大雨の中を避難所に向かったために、
水に流されて命を落としてしまった例があります。
避難所に行った方が安全か、
家に留まっていた方が安全か、
よく見極める必要があります。
仮に浸水したとしても、
家の2階に避難した方が良い場合も多いです。
これを垂直避難と呼んでいます。
ビルやマンションの高層階に
住んでいる方も多いと思います。
そういったところは、水害や土砂災害で
直接の被害を受ける可能性は少ないですが、
たとえば1階が水没した場合、
停電でエレベーターが動かなくなり、
断水した状態で孤立する可能性があります。
市区町村が出しているハザードマップを確認して、
もし浸水する可能性がある場所であれば、
孤立する場合も想定して
数日分の水と食料を備蓄しておくことが必要。

そして避難をする際に注意することは・・・
早めの避難を意識することが一番です。

濁流の中を歩く場合は
プールの中を歩くようにはいきません。
水の高さがひざくらいであっても、
転んでしまうとそのまま
流されてしまうことがあります。
伊勢湾台風の時ですが、
手をつないで歩いていて手が離れてしまい、
一人が流されて、助かった人が
罪の意識に苦しむような場合もありました。
トラロープのようなもので、
複数の人の体を結びつけて、
お互いに流されないようにすることが
有効と言われています。
あと、長靴は水が入ると歩きにくく脱げやすい。
通常の運動靴の方が良いです。
また地震と水害では
避難場所が違うことがよくあります。
せっかく避難したのに、避難場所が水没してしまい、
再避難を余儀なくされたような例があります。
大きな河川が決壊すると、
自分の住んでいる市区町村の外に
避難しなければならない場合があります。
家族の間で、よく話し合って
避難場所を決めておくことが大事です。

※※※※※※※※※※
都市型の水害は、雨が降り出してから
被害が出るのが早いのが特徴です。
いざというときに正しい行動を取れるように、
事前の備え、進めていきましょう!



2017.09.01
09:30 BLUE OCEAN【事前に知っておきたい、豪雨への知識編】


『BULUE OCEAN』の中では
豪雨災害のエキスパートの話をお届けしました。

茨城県のつくば市にNIED(ニード)
=防災科学技術研究所という国の機関があって、
「災害から人命を守ること」をモットーに
地震、火山、豪雨、土砂災害など、
あらゆる自然災害の被害を減らすための研究を行っています。
http://www.bosai.go.jp/

その中の水・土砂防災研究部門長で、
筑波大学教授でもいらっしゃる
三隅良平さんのお話を振り返ります。
まずは・・・
このところの豪雨、やはり異常気象何でしょうか?!


 激しい雨が観測される回数は確かに増えている。
 気象庁等のデータによると、
 1980年代は1時間に80ミリを超えるような雨の回数が
 年間に11回程度だったのが、
 2010年頃には18回。1.6倍くらいに増加。
 全国的に激しい雨が観測される回数が
 非常に増えていると言える。
 ただ、ゲリラ豪雨とか線状降水帯というのが
 昔はなかったかと言うと、そういう訳ではない。
 昔からあったが、回数が増えていることと、
 人の密集した所で発生すると
 被害が目立つようになっているということ。
 雨が降った後、都市部では
 雨が地面に染み込みにくいので、
 降った雨は下水等にすぐに入っていくことになる。
 下水に入った水が川や水路に入っていくので、
 雨が降ってから水嵩が増すまでの時間が
 非常に短いというのが都市災害の特徴。
 雨が降って20分、30分くらい経つと、
 既に川の水位が上がっているので、
 逃げる間もなく、非常に大きな災害が
 起きる可能性があるということになります。



ちなみに、大雨の回数が増えている原因のひとつは
『気温の上昇』。
地球温暖化などの影響で、
都心部では夏に非常に高温になりやすい
=積乱雲が発生しやすい状況になっていることが
考えられるそうです。

さて、都市部では
『雨が降ってから被害が出るまでが早い』とのことでしたが、
三隅さんは特に、こんな事故に
気を付けて欲しいとお話されています。


 まず気を付けて頂きたいのが、
 ドライバーの方が水害に巻き込まれる事故。
 一般的に、車は非常に水に弱い。
 大体、車体の床面くらいまで水に浸かると
 車のエンジンルームに水が入り、停止する。
 さらに水嵩が増すと、今度はドアが開かなくなり、
 車の中に閉じ込められ、
 しまいには車の中に水が入ってきて
 溺死してしまうということが過去に何度か起こっている。
 2008年8月栃木県鹿沼市で、
 女性の方が息子さんを迎えに行くために
 車を運転していたが、道路が立体的に交差している
 いわゆるアンダーパスの低くなっている場所を通った時、
 ちょうどそこに水が溜まっていて、
 車が水の中に突っ込んで動かなくなった。
 その方は携帯電話を持っていたので、
 車の中から助けを呼んだが、
 残念ながら救助が間に合わず、亡くなってしまった。
 同じようなことは昨年も愛知県清須市で
 女性ドライバーの方が水の中で
 亡くなっているのが発見された。
 車は非常に水に弱い、水没すると動かなくなります。



都市部では、雨が降ってから被害が出るのが早い分、
『今ならまだ大丈夫だろう』と言う行動が、
命を落とすことにもなりますね・・・。
でも、気象庁や自治体からどんな情報が出たら、
どう気をつけて、どのタイミングで
何をしなくてはならないのか?
正直、なんだかよく分からないと言う方も多いと思います。
中でも、こんがらがってしまうと言う方も多い、
避難指示や避難勧告、避難準備情報など。
こうした情報、どのように役立てたらいいのでしょう?
三隅さんはこう語ります。


 気象災害で難しいのは、
 同じように大雨が降ったとしても、
 同じように被害が出るとは限らない点。
 例えば洪水だったら、
 土地の低いところや川の近くは危険度が高い。
 ところが、高台にあるような場所は、
 それほど洪水の危険度は高くない。
 逆に土砂災害だと、
 山間地や斜面に近いところでは危険度が高いが、
 平野部では危険はないだろうというところも。
 だから、自分自身や家族が
 どういう災害を受ける可能性があるかを
 予め想定しておいて、
 気象庁や自治体から情報が出た時には、
 想定に従って行動するきっかけとして
 使っていくということが大事。
 ひとつはハザードマップ。
 ネット検索で「ハザードマップ」と検索をかけると、
 国交省のサイトが一番上にヒット。
 そこをクリックすると
 「重ねるハザードマップ」というのがあり、
 なかなか優れもの。
 https://disaportal.gsi.go.jp/
 全国の地図と、土砂災害、浸水、津波など
 被害を受けるエリアが重ねて表示される。
 自分の住んでいる場所が
 大雨などでどういう被害が起きるのかが分かります。



ちなみに三隅さんは、
ハザードマップで何も印がついていないからと言って
安心しないでほしいともお話されていました。
その土地ごとにローカルな災害というものがあり、
それを知るためにも
『古い地図』を見るのがおすすめだそうです!
インターネットで「迅速測図」と検索すると、
関東地方の明治時代の地図がアップされています。
http://habs.dc.affrc.go.jp/habs_compare.html
地図をみると、意外なところが昔
池だったり、川だったりするのですが、
こうした場所は元々、水が溜まりやすく危険なことも。
こうした情報をチェックして、
自分や家族がどんな種類の被害を受ける可能性があるのか
避難の時にどの道を通ってどこに行くべきなのか・・など
想定しておくことが大切ですね。



2017.08.31
15:46 2017年9月1日防災の日ワンデープログラム


『WATER DAMAGE〜豪雨、そのとき』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
TOKYO FMでは9月1日(金)「防災の日」に、
午前の『Blue Ocean』(8:55〜11:00)
午後の『よんぱち』(13:00〜16:30)内で、
防災の日ワンデープログラム
『WATER DAMAGE〜豪雨、そのとき』を放送します。

7月上旬には九州北部豪雨が発生、
福岡を中心に甚大な被害が広がりました。
2016年は観測史上初めて、台風が東北太平洋側に上陸。
2015年には鬼怒川が決壊。
2014年には広島の市街地で大規模な土砂災害が発生。

いま、記録を塗り替えながら甚大な被害をもたらしているのは
ほかでもない『豪雨』です。
そこで、今年の9月1日の「防災の日」。
TOKYO FMでは2つのワイド番組に
『災害を引き起こす雨』のエキスパート、
NIED=国立防災科学技術研究所の三隅良平さんを迎え、
TOKYO FM防災キャスターの古賀涼子アナウンサー、
中村亜裕美アナウンサーとともに
『豪雨災害から命と生活を守る方法』を考えます。
いまや「防災=地震への備え」だけでは不十分です!

★『Blue Ocean』 9:10−9:20
【豪雨、そのとき? 事前に知っておきたい、豪雨への知識】
ゲリラ豪雨に線状降雨帯、バックビルディング現象・・・
豪雨の頻度が高まり、災害も多発しています。
そのメカニズムとは?
都市生活ではどのような被害が現れ、どのような対策が必要?
避難勧告/避難指示/避難準備情報等、正しく理解していますか?
洪水浸水区域図やハザードマップ等、
危険なエリアを知る・備える方法も併せてご紹介します。

★『よんぱち』 15:35−15:50
【豪雨、そのとき? いざ、豪雨に襲われたら】
運転中、地下、戸建て、山や川にいるとき。
豪雨に襲われたら…さあ、どうする?
生死を分ける水位や、土石流・地滑り・崖崩れの前兆を
キャッチして生き延びる方法とは?
避難しないほうがいいこともあるって本当?
災害の実例から考える、避難をする上で
知っておきたい様々な情報や知識をご紹介します。




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