2015.01.16
15:00 よんぱち内 「沿岸部での危機に立ち向かう」


この時間のテーマは、『沿岸部での危機に立ち向かう』。

沿岸部での危機と言えば、やはり津波。
地震予知の専門家は国の想定を元に、
首都圏のどこかで阪神大震災と同じ規模のM7クラスの大地震は
「私達が生きているうちに必ず起きる」と語ります。
ではその時、首都圏の沿岸部はどうなって、
私達はどう対処すべきなのか。
津波研究の第一人、東北大学 災害国際科学研究所所長、
今村文彦(いまむら・ふみひこ)教授にお話を伺いました。
まずは・・・実際に、どんな被害が起きるのでしょうか?


 首都圏での地震は『揺れ』を中心に被害が起きるが、
 首都直下地震が発生した場合は、例え陸上であっても
 揺れによって防潮堤などが壊れたら『浸水』が発生する。
 また、地震の場所が東京湾の中にずれたりすると、
 もちろん津波が発生する。
 さらに言うと、房総半島や相模湾では過去、
 実際に津波が発生している。
 関東や首都圏の中でも、
 沿岸部にいたら沿岸部にいたら津波に注意が必要。
 また、液状化現象も。
 沿岸部は埋め立て地がある。
 そこで地震が起きると、
 普通の硬い土も揺れによって水分が上がって来て、
 液体のようになる。
 場合によっては地中の水が吹き出るということも。
 それによって建物が傾いたり、と大きな影響が出る。


東京都は最悪のケースとして、
品川で2.6m、江東区と中央区で2.5mの津波が発生するとの
被害想定も出しています・・・
そして、揺れで堤防が壊れたら浸水が起きることもあり、
一部で建物が全半壊することも想定されています。
また、東日本大震災では千葉や茨城で深刻な液状化が起きて、
今も再建中の方は多くいらっしゃいます。
では実際、どのように危機に立ち向かえばいいのか?
最初に、『まさに沿岸部にいるとき』の対処法です。 


 沿岸部では、住んでいる方は高いところを確認する。
 マンションなどでも大丈夫。
 そこに住んでいない方や初めて行く場所では、
 海岸や沿岸部に着いたらまず高いところを確認する。
 構造的には出来るだけしっかりしていることと、新しいもの。
 耐震の基準がより高くなっている。
 更に、外階段など高いところに移動しやすい
 機能がある所を選ぶといい。
 東日本大震災の発生以前は
 <鉄筋コンクリートの3階>が目安だったが、
 それを超える津波が来る。
 建物が大丈夫であっても、浸水すると命を失ってしまう。
 可能であれば、より高い所/できだけ高い階数を目指すという
 心がけが必要。


・・・では、都心部ではどのように立ち向かえばいいんでしょうか?

 
 地下街や平らな広い所にいる場合、避難場所が確認しづらい。
 そのような場合は、落ち着いて、
 周辺での安全な場所を周囲のみんなと確認しながら対応する。
 街中には今、地盤の高さを示すプレートがある。海抜5m、6mなど。
 これは津波や洪水など水の災害の時に、どのぐらいの高さなのか、
 どこまで行ったらいいのかと言う目安。低いところは水が入りやすい。
 地下街というのは、ちょっとした亀裂などの被害があると
 水自体がはいってくる。
 時々、海抜プレートを確認すると、
 ここは比較的低いんだなとか、水が出たら危険だな、と言うような
 意識が生まれると思う。


地下街で津波や浸水・・・あなたは考えたこと、ありましたか?
津波や浸水だけではなく、
大雨でも同じように対処することも大切ですね。

と言うことで、きょう1月16日は
TOKYO FM 防災ワンデープログラム
「IN THE CRISIS 〜いまそこにある危機に立ち向かう」を
お送りしました。
このプログラムがいざと言う時、
あなたとあなたの大切な人の命を守る存在になることを
心から願ってやみません。

最後に、3人の専門家の皆様に心からの御礼を申し上げます。
お忙しい中、ご協力を本当にありがとうございました。

(企画・制作:古賀涼子/TOKYO FM 防災キャスター)




2015.01.16
12:00 LOVE CONNECTION内 「山間部での危機に立ち向かう」


この時間のテーマは、『山間部での危機に立ち向かう』。

去年2014年は、
広島で豪雨による土砂災害、そして御嶽山の噴火など
山間部での大きな災害が相次ぎました。
丸10年を迎えた新潟県中越地震でも、
土砂災害や、それによる孤立などが問題に・・・。
都市で生活する私たちにはあまり関係ない、と
思う人も多いかもしれません。
でも、日本は国土の7割が山間部。
行楽や旅行、里帰りなどで行く機会は実はとても多い現実があります。
 
では、山間部での災害にはどんなものがあって、
その時にはどう対処したらいいのか。
この時間は、土砂災害のスペシャリスト!
東京電機大学 理工学部
安田進(やすだ・すすむ)教授にお話を伺いました。
まずは・・・
日本の山間部では実際にどんな災害が起きるんでしょうか?


 簡単に分けると、
 がけ崩れ、山崩れ、土石流(=山津波)が起こりやすい。
 がけ崩れは、自分の家の裏山や道路際などの低い斜面が
 崩れてくる現象。
 山崩れは、高くて大きい山のある部分がどっと崩れてくる現象。
 土石流は、大きく山が崩れて沢に流れ込んだ際、
 土砂と水が一緒になり、
 酷い時は10キロくらい先まで凄いスピードで流れてくる現象。
 途中にある家などを全部壊していくため、非常に大きな災害になる。
 これ以外、あまり知られていない災害もある。
 山の中にはひっそりと、ため池や鉱滓集積所
 =鉱石のくずを捨てた場所がある。
 場合によってはそれらが崩れ、下流に流れてくることがある。
 東日本大震災では、福島県の山の中でため池が崩れて下流に流れ、
 人が亡くなったという大きな被害もあった。
 実は、がけ崩れや山津波は身近で起きる可能性もある。
 例えば、電車の線路沿いに崖があったりする。
 都心の中の小さな10〜20mの崖には注意しておかなくてはいけない。


土砂災害は大雨のときに発生するイメージがありますが、
実は地震のときも発生する可能性があるんですね・・・
そして、実は都心部でも土砂災害に注意しなくてはいけない!
確かに、10mくらいの崖って身近に結構ありますね。
では、実際に災害が起きたら、私達はどう対応すればいいのか。
雨のとき、そして地震のとき。
それぞれの対処法も安田教授に伺いました。


 『雨』で裏の崖が崩れたとか、
 土石流が流れてきているとかであれば
 当然、早くどこか安全な場所に避難しなくてはならない。
 あらかじめ指定された避難場所に行けるかどうかの判断が大切。
 行けるようだったら、そこに行く。
 どうしても間に合わなければ2階に駆け上がる、
 裏に崖がある場合は崖から離れた部屋に行くなど、
 緊急の対応が必要。
 『地震』の場合はなかなか難しい・・・
 いつ地震が起きるか分からないから。
 ただ、地震の場合も、すぐ裏の崖ばかりが気になるが、
 山の奥にため池や鉱滓集積所があって、
 それが崩れた場合に沢を5キロも10キロも
 流れてくる可能性がある。
 そう言ったものが上流側にあるかないかと言ったことも
 調べておくことが大切。
 
 実際に地震が来た時にどうするか。
 まずは、家の中のものが壊れてきて
 自分が被害を受けないようにすることが一番大切。
 収まったところで、ふと考えて、何か異常なことが起きていないか。
 例えば、変な臭いがしてこないか。
 土が腐ったような臭いが突然してくることがある。
 変な臭い=どこか遠くで山が崩れて、流れてきているかもしれない。
 そう言ったことが起きたら、すぐに避難しなくてはならない。
 緊急を要する。
 更に、余震が繰り返し起きることにも注意が必要。
 一度大きな揺れで崖が緩むと、次の小さな余震でも崩れやすくなる。
 次の余震が来るまでに、雨の時と同じく、
 安全な場所に避難するということが必要。


音や臭いと言った感覚も、土砂災害では大切なポイントなんですね。
市区町村が発表しているハザードマップを
前もって確認するのも重要なことですね。
 
次は「よんぱち」の中で
『沿岸部での危機に立ち向かう』をテーマに、
津波研究のスペシャリスト、
東北大学の今村文彦(いまむら・ふみひこ)教授の話をお届けします。




2015.01.16
10:30 BLUE OCEAN 内 「都市部での危機に立ち向かう」


BLUE OCEANでのテーマは
『都市部での危機に立ち向かう』。

国の想定では、阪神大震災と同じ規模の地震が
首都圏のどこかで発生する確率はこの30年以内に70%。
これは過去、実際に起きた回数などを元に計算しています。
地震予知の専門家によると、つまりこれは
「私たちが生きている間に確実に起きる」と言うことだそう・・・
自分だけは大丈夫なんて言っている場合ではありません!

そんな都市部での危機に、どう立ち向かったらいいか。
この時間は、都市部での防災のスペシャリスト!
名古屋大学 減災連携研究センター 
廣井悠(ひろい・ゆう)准教授にお話を伺いました。
まずは・・・実際に都市部では、どんな問題が起きるのでしょうか?


 東京を含めた大都市部で発生するであろう災害は多種多様。
 建物倒壊、火災、沿岸部に近い横浜などでは
 津波などの危険性も考えられる。
 それら全ての災害から逃げなければいけない。
 しかし、逃げるための判断基準などが非常に分かりにくいのが
 現在の都市部の大災害の課題。
 津波と火災が同時に来るかもしれない時、
 どこに逃げればいいかの検討はされてない。
 一般的に、火災から逃げる時は広い場所。
 津波から逃げる時は高い場所。
 では、両方が来るかもしれない時に、
 広くて高い場所と言うのはあまりない。
 何処に行けばいいのか、非常に難しい。
 東京や横浜のような複合災害
 =色々な災害が一辺に来るかもしれないような場所では、
 これさえやればいいと言うような処方箋は、残念ながら無い。
 自分の住んでいる地域、あるいは自分が勤めている地域の
 『敵』は誰か・・・=どういう災害が襲う可能性があるかを認識した上で、
 こういう時はここに逃げようと言う『訓練』を
 積み重ねることが非常に重要。
 結局、怪我をしない・死なないことが一番重要で、
 それがきちんと出来てから、
 水の備蓄とか食料の備蓄の話になってくる。


都市部での災害はけが人が同時多発するので、
手当してもらうのは難しい現実があります。
ケガが文字通り命取りになるので、
ケガをせずに生き延びることが最重要なんですね。

では、そんな都市部での災害に立ち向かむために、
私達はどんなことから始めればいいのか・・・
廣井先生はこんなふうに仰っています。


 地域の方々が避難訓練などをやっているので、
 それに参加することが非常に重要。
 都市の特徴として、
 隣に住んでいる人の名前が分からないという状況。
 非常にコミュニティ力が低下している。
 しかし、災害時は企業も操業を停止し、コンビニでも物は買えない。
 行政も被災者が多すぎて助けることはできない。
 コミュニティ力のあるなしがダイレクトに、
 震災に対する対応力につながってくる。
 コミュニティ力はすぐに醸成できるものではない。
 やはり普段から、防災を核として地域の方と
 一緒に考える・議論するということを積み重ねていく必要がある。
 防災対策は大学入試対策と同じ。
 大学入試の勉強をするとき、
 『過去問だけ勉強する』ということはない。
 自分にとって何が苦手で、受けたい大学はどういう問題が出て、
 どうやって勉強するかの傾向と対策を練り、
 参考書で勉強をした後に問題集を解くのが一般的。
 しかし、現在の防災対策は東日本大震災や阪神大震災、
 関東大震災と言うひとつの特殊な例を持ち出して、
 それに対する避難訓練しかしていない。
 しかし、過去問を解くだけではダメ。
 自分の住んでいる地域にどういう災害が起きて、
 自分の家族はどういう行動が苦手で、
 その中で我々はどうすればいいのかを考える。
 その後に、例題をいっぱい解く
 =色々なケースでの避難訓練・防災訓練をする。
 そう言う発想が必要。


防災対策は受験勉強と同じ・・・分かりやすいですね。
傾向を知って、その上で自分の苦手分野を洗い出し、対策を考えて、
とにかく色々な例題を解く。
防災訓練を、これまで以上に大切に感じた方も多いのではないでしょうか。

次は「ラブコネクション」の中で
『山間部での危機に立ち向かう』をテーマに、
土砂災害のスペシャリスト、
東京電機大学の安田進(やすだ・すすむ)教授の話をお届けします。



2015.01.13
14:07 はじめに・・・


2015年1月17日、
阪神淡路大震災の発生から丸20年を迎えます。
大都市圏を襲った直下型の巨大地震。
同時多発した<炎の波>が街を飲み込み、焼け野原に。
捻じれ倒れた高速道路、倒壊したビル、舞い続ける塵や埃・・・
空からの映像が流れた直後、都市の弱点を目の当たりにし、
私たちは驚愕しました。
本格的な防災対策の必要性が叫ばれる起点になったこの震災。
20年で、目に見えるものは復興しました。
しかし、語り継がれることが少なくなった現実もあります。

一方、新潟県中越沖地震からは10年が経ちました。
この『山間部災害』では、
<土砂の波>が家族を車ごと飲み込み、集落は孤立。
2014年に長野と広島を襲った豪雨では、
歴史を顧みず山に手を加えたが故に、
多くの命が奪われる結果となりました。
国土の6割が山間地であるにも関わらず、
対策は後手の状態・・・

そして、間もなく丸4年を迎える東日本大震災。
『沿岸部災害』であるこの地震では、
<津波>があまりに多くを奪い去り、再建は道半ば。
津波の教訓は被災地外の多くの人の胸に刻まれたものの、
どこか自分とは関係のない災害の姿だと思っている事実。

都市、山間地、沿岸部。
多様な国土の日本では、
災害の姿と立ち向かう術を一括りにできません。
頼れるのは、マニュアルではなく、自分の瞬時の判断だけ。

そこで2015年1月16日、
阪神大震災から丸20年を迎える前日。
TOKYO FMでは1日を通して
様々な過去の災害を元に、
どんな場所や状況にあっても
『いまそこにある危機』に冷静に立ち向かえるよう、
具体提な対処法や心得を考えていきます。




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