あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2017.06.23

Botanist15
木との対話で生まれるアコースティック・ギター、その美しき音色の秘密

  • Botanist
ローズウッド、メープル、マホガニー。森から切り出された木材は、何年も大切に保管、乾燥されたあと、ルシアー(ギター職人)の手によってアコースティック・ギターに生まれ変わります。 私たちを魅了するその美しい音色には、木と職人の魂が宿っています。

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植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今回は、最高の音を求めてアコースティック・ギター作りにチャレンジする、ギター・ブランド「ザ・フィールズ」のギター作りへの思いをご紹介します。


心に響くアコースティック・ギターの音色
弦と木の共鳴によって生まれる、深みのあるあたたかな音。演奏家たちが奏でるそのアコースティック・ギターの音色は、心に響く無数の音楽を生み出してきました。電気楽器にないナチュラルな音は、ファドやフラメンコなど、人の心を映し出す美しい楽曲や演奏に欠かせないパートナーであり、歌声の背景で奏でられることで、音楽家の心のメッセージを引き出し、聞き手である私たちの心をとらえてきました。また、アコースティック・ギターはその姿、スタイルによっても人の目と心を魅了します。特に、自然が長い時間をかけて作り上げた年輪は、「木目」の模様として、そのままギターの個性や美しさとなり、奏でる人に触れる感動と弾く喜びを与えてきたのです。

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木の種類で変わるギターの音色
神戸を拠点に作りだされる、「ザ・フィールズ」のオリジナル・アコースティック・ギター。材料となる木の特性を生かし、独自のこだわりの技術で生み出される、まさに名器の名にふさわしいギターです。アコースティック・ギターは材料に使う木の種類で鳴る音が違ってきます。それは木の持つ質感によって、音の響き方が違ってくるからだそうです。例えば、ローズウッド(紫檀)は比較的重いため、輪郭のしっかりした重厚感のある音を出すのに適しています。メープル(楓)はバランスの取れた重さと粘りが特徴で、メローな優しい音の響きを持っています。そして、マホガニー(桃花心木)は柔らかく軽いので、明るく軽やかな音。木の持つ個性で音の反響が変わり音の違いが生まれる。つまり、ギターの響きは、木そのものの音なのです。 「ザ・フィールズ」にとってギター製作とは、「木を知ることに始まり、木の美しさを最大に引き出して、そこに音の世界を加える」という作業。 自然の生み出した木をパートナーに、少しでも自分の理想のイメージに近い音、形を作る挑戦なのです。

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(左)ローズウッド/(右)マホガニー


ギター製作、こだわりの工程
製材された木は、最低でも5年以上の間、工房に保管して自然乾燥され、ギター作りの材料となりますが、製作の作業に入っても出来上がるまで何年もかかる仕事です。まず、大切なのが材料の木を曲げて作りだすボディの曲線。丸みを帯びたその姿こそギターの命で、微妙なくびれや曲線は音響工学も念頭に入れて独自にデザインされています。また、アコースティック・ギターの音にとって、とても大切な役割を果たしているのがサウンドホール。ボディ中央に空いた穴の部分で、弦と木の音の共振を外に向けて放出することで、はじめて豊かな音が響いてきます。

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さらに、木にはそれぞれ個性があるため、製作は一つ一つの木に合わせたアプローチが大事。大切なことは木と語り合い、「木の持つ強さ、個性を把握し、丁寧に作り上げる」こと。そこから最高の音色が生まれてきます。そして、その姿、形も大切な要素。木材ならではの質感や見た目のあたたかさ、木目の美しさが使う人の心をとらえて、その印象は音にさえ影響を与えるそうです。「ギターの音は、木と職人の一期一会の出会いによって生まれるもの。一本のギターが完成することで、世界にまた新しい音の世界が生まれることが素晴らしい。 我々フィールズの目指す音は、まず木の美しさがそのまま音になったような美しい音であり、その音に木が感じられること。 綺麗な音の原点は、木にあるんです。 アコースティック・ギター作りは、木の素晴らしさを感じ、木に感謝して作る幸せな仕事なんです」。「ザ・フィールズ」のアコースティック・ギターを生み出す、冨田洋司さんの言葉です。

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メープル

また、これから アコースティック・ ギターを始めたい、習いたいと思っている方にアドバイスをいただきました。「まず、自分がギターを手にもって音を出す時に、反応がいいと思ったものを選ぶこと。 力を入れないで弾いても、音が広がるギターがいいギター。楽に弾けるので、リラックスして音を出せます。上手になるためにはまず、弾き易いもの、楽に弾けるものを選ぶこと」が大事だそうです。

アコースティック・ギターは、貴重な木を切り、削り、磨き作られたもの。だからこそ、アコースティック・ギターの音色はより心に響く魅力を持っているのかも知れません。木が森で生まれ成長した年月に思いを馳せると、一本のギター誕生には驚くような自然の営みと、長い時の流れが秘められていることに気づかされます。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。6月は元TBSアナウンサーの吉川美代子さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。


ザ・フィールズ(ヒロ・コーポレーション)代表・冨田洋司
1975年に神戸でギターショップを開店。ヴィンテージ・ギターを海外から輸入する他、個人製作のギターを発信。その後、「ザ・フィールズ」ブランドのギターを製作。2006年に神戸に新工房を完成させ、新たなギター作りにチャレンジしている。

2017.05.26

Botanist14
四季を映す“和菓子”、日本の自然と向き合う老舗の菓子作り

  • Botanist
その繊細な味はもとより、見ための美しさにも心なごむ和菓子。その和菓子には、味、姿ともに自然や四季、花や果実の存在が大きく関わっています。

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四季それぞれの生菓子 ※写真はイメージ


植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今回は室町時代後期より続く和菓子の老舗「とらや」さんの、自然の花や植物を再現するお菓子作りについてご紹介します。


和菓子を生んだ日本の風土
間もなく6月です。いよいよ梅雨の季節を迎えるこの時期、とらやさんで作られるお菓子が「紫陽花」(販売期間:6月1日〜6月15日)です。6月の季節の花、紫陽花が雨露にぬれて輝く姿をイメージして作られました。また、同じ時期に店頭を飾るのが「若葉のかおり」(販売期間:6月1日〜6月15日)。緑の道明寺饅頭に楓の焼印を押したもので、草木の緑鮮やかな姿や、生命力に満ちあふれた姿を思い起こさせてくれます。まるで季節の移り変わりを教えてくれるかのように登場する和菓子の数々。 花や植物の姿の変化を私たちに一足早く感じさせてくれる、自然からの使者のような存在です。

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紫陽花/若葉のかおり


和菓子は自然からの贈りもの
世界中のお菓子の中で日本の和菓子ほど季節や自然を意識したものはないでしょう。 古来、日本人は自然をこよなく愛し、「万葉集」の時代より四季折々の花を歌に詠んできました。また、花は絵画や装飾品の題材として好まれ、表現されてきました。お菓子も同じで、季節の花を模して作られるものもあります。そして、そのこだわりは見ためだけではなく、素材や味にも。和菓子は卵以外、基本的に植物性の原材料が使われます。中でも欠かせないのが小豆。古来、その赤い色は、災いや病をしりぞけるという信仰があり、日本人の食生活と密接に関わってきました。また、これから夏に向けてのお菓子に欠かせない素材が、寒天や葛。その涼しげな透明感や味わいは、日本の夏ならではのお菓子に生かされてきました。和菓子は、すべてが自然からの贈りものといえますね。

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水仙卯の花

「水仙卯の花」(販売期間:6月1日〜6月15日)も夏のお菓子。半透明の葛生地を使い、白と緑の色合いで清らかな花の美しさを表現しています。


和菓子は四季を映す五感の芸術
和菓子のテーマとなる、四季の花や植物。春を代表するのは梅や桜。その他に、すみれ、つくし、菜の花など可憐な野の草花を題材にしたものもあります。晩春から初夏は、藤、山吹、青楓、杜若、菖蒲、紫陽花。夏は朝顔、ひまわり。秋は菊、秋の七草の桔梗、そして葡萄や梨、栗、稲穂や柿といった収穫をイメージさせる果実や穀物。その後訪れる紅葉から落葉といった季節の風景、お正月に向けての水仙や福寿草。そして、新年には松竹梅、根引きの松と、日本人の季節の移り変わりを感じ取る繊細な心が表れているようです。

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唐衣/香ばら

和菓子作りは手仕事が基本。職人は日常においても、四季の移り変わりを感じとることや、植物や情景をよく観察することが求められるそうです。 歴史や風土、生活様式、味覚、文学、そして絵画など、あらゆる日本の文化が、手のひらの中で小さな和菓子となって調和し、味覚、嗅覚、触覚、視覚、そして菓子の名前の響き、つまり聴覚までもにおいしさと喜びを届けてくれます。それが「和菓子は五感の芸術」と言われる所以なのかも知れません。同じ花を和菓子にしても、和菓子屋さんによって菓銘や表現が異なるそうです。 職人それぞれが作りだす和菓子が、まさに一期一会の存在であることを知ると、より和菓子との出会いが楽しみになりますね。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。5月はバイオリニストの宮本笑里さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。


とらやの和菓子/株式会社 虎屋
https://www.toraya-group.co.jp
※今回ご紹介した和菓子の発売詳細、取り扱い店についてはこちらのサイトよりお問い合わせください。

2017.04.28

Botanist13
今が盛り、弘前公園の桜を守る「桜守」たち

  • Botanist
今年で100年目の節目を迎える「弘前さくらまつり」。東北に遅い春を届ける歴史ある行事です。弘前の桜は、青森を代表する果物「りんご」の木の剪定方法から生まれた独特の方法で、ひとつの花芽からいくつもの花が咲く、迫力のある花付きが特長。今年も今、満開のときを迎えています。


植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今回は、日本有数の桜の名所、弘前公園の桜を守る、「桜守」の活躍をご紹介します。


100年目の春 弘前さくらまつり
桜前線の北上とともに、4月下旬頃から開花をはじめる青森・弘前の桜。今年は4月18日に開花宣言が出され、今、まさに満開のときを迎えています。弘前公園に桜が植えられたのは1715(正徳5)年。藩士が京都の嵐山からカスミザクラなどを持ち帰ったのが始まりです。その後、明治に入って城内に1000本のソメイヨシノが植栽され、1895(明治28)年、弘前城跡が公園として一般開放されました。その後もソメイヨシノの植栽は続き、大正時代には見事な桜で埋め尽くされ、現在では東京ドーム10個分の敷地に約2600本の桜が育ち、この時期の桜は、訪れる人たちのため息を誘っています。



弘前の桜を守る「桜守」たち
弘前市民に長く愛されてきた大切な桜、この桜を代々守ってきたのが「桜守」の存在です。弘前市役所緑地公園課に務める橋場真紀子さんは、2006年に樹木医の資格を取り、2014年に念願の「桜守」となります。仕事の大半を占めるのが園内の桜などの木の状態を「見る」こと。桜の開花の季節が近づくと、たっぷり毎朝2時間以上をかけて園内を見回り、木の状態を観察します。それは「見る」というより「診る」という作業。枝や幹は雨や雪、風などに曝されるうえに、最近では、酸性雨や排気ガス、桜の木の回りを囲むコンクリートの影響など、木を衰弱させる環境が増えているそうです。枝や幹はもちろん、根の状態、 花の咲き方、花の数、そして、落ち葉の状況まで気を配り、痛んだ木は手当をしてゆきます。 手当の七つ道具は「剪定鋏」「鋸」そして、「双眼鏡」、「樹木用の薬液・消毒液」など。常時携帯して大掛かりなもの以外は、自分の手で処置をします。

特に、桜の木の健康と花付きを守るため、最も大切な作業とされているのが剪定作業です。2月から3月にかけてが桜の木の剪定の季節になりますが、弘前公園では剪定の後の枝の切り口を消毒する時に、消毒剤に墨汁を混ぜたオリジナルの液を作り塗っています。切り口に菌がつくことを防ぎ、切り口の見た目の痛々しさもなくしてくれる弘前独特の手法です。


ソメイヨシノは、いったん傷を受けると自己回復力が弱く、人の手によって維持する努力が欠かせません。春になれば桜は自然に咲くものと思いがちですが、桜を守る人の存在が不可欠なのです。1年を通して桜の状態を見守り、手当をする「桜守」の存在を知ると、よりいっそう桜の花への愛情と感謝が深まりますね。


桜の未来のために
由緒ある桜を守る人を、敬意を込めて呼ぶ言葉として生まれた「桜守」。彼らは桜の木を守り、同時に桜の花が生みだす景観にも心を砕きます。花が一挙に咲き、一挙に散ることで、無数の花びらが鏡のようにお城のお堀一面を覆って生まれる「花筏」は、弘前公園ならではの景色の一つ。 また、お堀に垂れ下がった独特の桜の枝の姿は、豪雪地帯だからこその雪の重みで枝がしなり出来上がったもの。 その分、枝や幹の状態に気を使い出来上がった景観です。


ソメイヨシノの寿命は50年から60年、しかし弘前公園の桜は100年以上になるものもあり、日本最古と言われるソメイヨシノも毎年、力強く花を咲かせています。桜の木を手当してあげることで、60年の寿命が80年になり、80年の寿命が100年になる。桜守の存在があってこそ、未来に向けて桜の花は開花し続けることが出来るのです。

幼い頃から、弘前さくらまつりが好きで地元の桜とともに育った橋場真紀子さん。寒い冬をけなげに乗り越え、春、その命を華やかに咲かせる桜。橋場さんは嫌なことがあると公園にある展望台に上り、桜を眺めて、心を落ち着かせたそうです。かつて自分の心を癒してくれた桜を、「桜守」の一人として努力を惜しまず、未来に繋げたいと、桜の季節が巡りくるたびに思いを新たにされています。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。今週からはバイオリニストの宮本笑里さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。


桜守 橋場真紀子
樹木医  青森県大鰐町出身、弘前中央高校卒業。1999年から弘前市みどりの協会で弘前公園植物園のガイドや、市民の植物や園芸の相談に乗る「みどりの相談員」などを務め、2014年4月から弘前市公園緑地課主事。弘前の桜守の一人として先人の伝統と思いを受け継いで桜を守っている。

2017.03.24

Botanist12
日本の原風景「棚田」を愛し守る人々

  • Botanist
自然と人々の営みが育んできた、日本独自の米作り。その原風景と言えるのが「棚田」です。山や谷の斜面に階段状に作られた田んぼは、ミネラルが豊富で何よりもおいしいお米がとれることでも知られています。


植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今回は、日本の貴重な歴史的、文化的景観「棚田」を守り、その棚田に寄り添い生きる人たちの思いと活動をご紹介します。


東京から一番近い棚田「大山千枚田」
「大山千枚田」は、千葉県の房総半島のほぼ真ん中に位置し、東京から一番近い棚田として知られています。山並みに囲まれた中、約3.2ヘクタールの面積の急傾斜地に、まるで階段のように大小375枚の田んぼが連なっています。この大山千枚田は日本で唯一、雨水のみで耕作を行っている天水田。粘土質の土のおかげで限られた水でも稲作が可能で、ミネラル豊富な土質と天然の雨水により、おいしいお米が収穫できるのです。 棚田は日本独自の文化的景観であり、自然と人々の営みを今に伝える、まさに歴史を語り継ぐ場所。 水を張っている水田に青空が映り込んだ春の風景、緑の階段が空に続く夏の景色、そして、黄金色に輝く秋の収穫時期。 春夏秋冬、四季を通じて移り変わる大山千枚田の風景は、「日本の棚田百選」にも選定されており、多くのカメラマンや都会から訪れる人の目と心をとらえています。



都会とのネットワークで棚田を守る? 棚田オーナー制度
そんな日本の原風景「棚田」も、農業が効率化と後継者不足の波にのまれて行く中、徐々に姿を消しています。大山千枚田も農業に従事する方の高齢化で、一時荒廃が進みましたが、1997年(平成9年)に「NPO法人大山千枚田保存会」が発足し、「棚田オーナー制度」を取り入れることで見事にその姿が蘇りました。このオーナー制度の特徴は「作業参加・交流型」であること。景色を楽しむことから一歩踏み込み、棚田での農業体験を発信しています。オーナーになると田植え、草刈り、稲刈り、脱穀、収穫祭など年7回程度、農家の人たちと一緒に作業が可能。収穫したお米はすべて持ち帰り、自分で作ったお米を自宅で味わうことができます。

「僕たちにとって棚田は子供のころから見慣れた、当たり前の風景。でも、この風景やここでとれるおいしいお米に感動し、貴重であることを教えてくれたのは、都会から訪れたカメラマンや家族連れの人たち。今年で18年目を迎えますが、都会と農村の交流こそが棚田に吹く風向きを変えてくれたと思っています」。NPO法人大山千枚田保存会の会長石田三示さんが今、感謝を込めて語る言葉です。


棚田を愛し、土のある暮らしを実践するアーティストYaeさん
この大山千枚田の棚田を愛し、土と共に生きることの幸せを実践し、食の大切さを様々な形で伝えているアーティストが、Yaeさんです。棚田の近くにある「鴨川自然王国」に拠点を構え、自分が食べる米や野菜を自給しています。Yaeさんの棚田体験は小学生の頃、両親とともに訪れたこの地で棚田の土に触れたことが最初。その後、歌手としての活動を始めた29歳の時に再びこの地を訪れ、棚田を再体験。改めて土に触れる感覚の素晴らしさに目覚めたそうです。棚田を含む里山の素晴らしさにも心が動き、終の住処としてこの地を選びます。今では田起こしから、田んぼの堰作りまで自分で作業し、米作りに携わっていますが、農作業は大変でも、収穫できたお米や野菜のおいしさに感動できることが、一番幸せなことだと語ります。

「棚田での米作りは雨水が頼りなため、雨乞いの歌が大切なんです。そして、仕事やお祭りなどで歌う歌が存在しています。棚田は日本の音楽が生まれた原点かもしれません。時にはつらい農作業を楽しくするのも歌、音楽です。ここにいると音楽家として音楽が生まれた原点に立っているという喜びがあるんです!」

歌手としての表現に、土から得た生命のエネルギーを込め、自然を体で感じながら生きる。おいしいお米や野菜を育て、大切な家族と食卓を囲み食べる。このことが土台となって生きること、歌うことを支えてくれる。東京生まれ、東京育ちの自分のこんな生き方が、少しでも明るい未来へのヒントになれば、という思いで活動を続けているそうです。「生きることは食べること。それを育むのが土であり棚田。そのことに気づけば、誰もが人間らしさを取り戻し、平和でいられると思います。子どものころから土とともに暮らし、生きることは食べることであることを身をもって学んで欲しい」。Yaeさんの未来と子供たち、棚田への思いはつきません。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。3月はシンガーソングライターの矢野顕子さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。


◆NPO法人 大山千枚田保存会
場所:千葉県鴨川市平塚540
TEL:04-7099-9050
「自然とともに生きてきた人々のことばに、耳を傾けよう。そして自分たちの歩いてきた道を、見直してみよう。そこから新しい一歩が始まります」。そんなメッセージとともに「棚田オーナー制度」「棚田トラスト制度」「自然体験活動」などを通して、人と自然の暮らしを未来につなげて行くための活動を行う。
http://www.senmaida.com/about_npo/

◆Yae(やえ) 半農半歌手 シンガーソングライター
故藤本敏夫、歌手の加藤登紀子さんの次女として東京に生まれる。1999年より本格的に歌手活動を始め2001年にデビュー。千葉県鴨川市の里山で農業をしながら、子育て、アーティスト活動を行っている。
http://www.yaenet.com/
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