今やニューヨーカーが心待ちにする、サプライズの花の贈りもの「FLOWER FLASH」。セントラルパークにあるジョン・レノンのIMAGINEの碑だったり、工事現場の一角だったりと様々な場所に、ある日突然、花のオブジェが現れます。
今回のボタニストは、「FLOWER FLASH」を手がけるニューヨークのフラワーアーティスト、ルイス・ミラーさんをご紹介します。
ニューヨークのフラワーデコレーションを変えたルイス・ミラー
ニューヨーク、マンハッタンのイーストビレッジを拠点に、店舗やホテルの飾花から、結婚式、イベントなど様々なプロジェクトを手がけ、この街のフラワーデコレーションを変えた人物といわれているのがルイス・ミラーさんです。大学で造園を学んだ後、フラワーデザインを始め、花のイベントやプランニングを手がけるようになります。2000年、25歳でニューヨークに進出し、2年後には自身のフラワーショップをダウンタウンにオープンしました。彼の生み出すアレンジは豪華でエレガント。一枚の絵画の世界を表現するような作風で人気を集め、花一つ一つの個性が自由に輝いていると高い評判を得ています。
「FLOWER FLASH」とは
彼が本来の仕事とはまったく違った形で、ニューヨークで始めた花のプロジェクトが「FLOWER FLASH」です。アーバンジャングルと言われるニューヨーク。ビルに囲まれた通りは騒音に溢れ、工事現場からはほこりが舞い、人々はストレスを抱えています。だからこそ、花で街の様々な場所を飾り、人の心に潤いを届けたい。それがルイス・ミラーさんが「FLOWER FLASH」を始めたきっかけです。「FLOWER FLASH」の作品のいくつかを、彼自身の言葉とともにご紹介しましょう。
「これはちょうど5月、 春らんまんの時期のアッパーイーストサイドで行ったFLOWER FLASH。シャクヤク、トチノキの枝などを自分でもたくさん買ってきて飾ったけど、楽しかった。自分が好きなニューヨークの風景、それにふさわしい花の飾り方ができて、とても気に入っている」
「これはセントラルパークのストロベリーフィールズにあるジョン・レノンのIMAGINEの碑で行った FLOWER FLASH。2016年の10月頃、初期に手がけた作品の一つで、僕の好きなジョンに捧げた。彼のメッセージが好きなんだけど、未来の平和を願って、物ごとを楽観的に見ようというメッセージも込めたつもりなんだ」
「これは工事現場。2017年の8月。ニューヨークはいつも工事現場だらけで、完成することのない街。オレンジのコーン(円錐標識)だらけで歩きにくい。でもそれも僕らの生活の一部。工事現場のモノは嫌いじゃない。生き生きとしてむしろ楽しい。ひまわりを投げるように置いて、その工事現場の生き生きとした感じを花で表現したんだ」
ニューヨーカーの心に花で潤いを
ルイス・ミラーさんは早朝15分ほど大急ぎで「FLOWER FLASH」の花を飾るそうです。彼が大事にしているのはその場所から受ける直感。ちなみに使う花は、パーティなどで使い終わった花をリサイクルしたり、時には自分で買い足したり。飾るのはグラフィティの壁の前、工事現場、ゴミ箱、セントラルパークの彫刻……と誰もが予想もしないところ。自然が作り出したもっとも素晴らしい創造物「花」を、ニューヨークならではの人工的な環境に飾るというコントラストが「FLOWER FLASH」の魅力です。
ルイス・ミラーさんはこう言葉を続けます。「FLOWER FLASHでこれまでとは何か違うことをし、改めて仕事や花への情熱を見つめ直したかったんだ。 実験的なことができて、自分が居心地がいいことが大事で、ニューヨークはそれを叶えてくれる街。だからこそ街や人にFLOWER FLASHで恩返しをしたいんだ。僕にとってはニューヨークの街が花瓶のひとつなんだ」
「僕はいつも人とまったく逆のことをやりたい。他の人と同じになりたくないと感じている。人が考えつかないもの、美しいと思わないものの中にも美しさを見つけたい。それこそが自分らしさなんだ。人が常にどう感じるか、ということに非常に敏感になって、その緊張感の中で花や植物の美しさを極めるチャレンジを一番大事にしたいと思っている」(ルイス・ミラー)
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