花やハーブなどの天然素材で染めた糸や生地と、それで作られるアクセサリー。瀬戸内の自然豊かな島、豊島を拠点に草木染めを手がけるVeriteco(ヴェリテコ)では、染めの原料となる花や植物を育て、ひとつひとつの作品を手仕事で生み出しています。
今回は、Veritecoの浅田真理子さんに草木染めの魅力について教えていただきます。
植物の秘めた色を引き出す草木染め
植物から色を取り出す草木染め。瀬戸内に浮かぶ自然豊かな島、豊島で、浅田真理子さんはハーブ園や菜園を耕し、そこで育った植物を使って糸や生地を染め、様々なアクセサリー作品を生み出しています。「春、夏、秋、冬と豊島の自然と暮らす、その日々がそのまま作品作りにつながっている」とおっしゃる浅田さんは、デザイン学校を卒業後にアパレル会社、手芸材料店等を経て、2007年にVeritecoブランドをスタートさせました。
アクセサリー作りを手がけていく中で、化学染料の色に違和感を感じ、紅茶や玉ねぎなどの自然素材で染めを手がけるようになり、植物の出す色に魅せられてゆきます。やがて、その染めの原料となる植物も自分自身で育てるところから始めたい、という思いが強くなり、かつて旅で訪れた瀬戸内の穏やかな風景を思い出し、豊島への移住を決意したそうです。
豊島
豊島で藍染めに取り組んだ浅田さんがこだわったのは、藍の生葉で染める染めの手法。そこから生み出された青の色は、豊島の海や空の色と重なり、まさに世界に一つだけの青が誕生しています。
タデアイの葉
藍の生葉染め
豊島の四季の色を染める浅田さんの工房。春は島一面に広がるクローバーやよもぎ、ミントなどの柔らかい緑。そして、カモミール、タンポポ、ミモザといった春の花の爽やかな黄色が工房で染め上がってゆきます。夏の染めに使われるのは、鮮やかな紫の花を咲かせるラベンダー、ヒメジョオン、ビワの葉などの季節の花や植物です。ラベンダーは咲き始めの花の部分をドライにして使いますが、染めながら香りも楽しめ、心身ともリラックスさせてくれるそうです。浅田さんの草木染めは、まさに豊島の四季の色をそのまま伝えてくれるものとなっています。
草木染めの刺繍糸 ※
自然を身につける喜びを草木染めで
豊島の自然の色を生かして作られるVeritecoの手作りアクセサリー。その創作のモチーフになっているのも、摘んできた身近な花や実の可憐な姿など、豊島の自然の景色です。季節ごとの花や植物の数だけ、浅田さんのイメージは膨らみ、都会では見ることのできない、ジャガイモやカボチャの花、小さな木の実などもアクセサリーで表現しています。
ジャガイモの花のコサージュ(左) カボチャの花のコサージュ(右)
木の実のピアス
また、草木染めの生地に草木染めの糸でステッチや刺繍を施した、手作りの小物たちも世界で一つだけの表情を持っています。たとえ同じ植物で染めても、その年の気候や染める時期によって、色にも違いが生まれます。やがて時間とともにその色も少しづつ変化していくところも、味わい深く、持つ喜びを感じさせてくれる魅力となっています。
ニゲラのポーチ(左) ビロードリボンの刺繍(右)
ムラサキツユクサのがま口(左) ビロードリボンの刺繍(右)
都会暮らしの中でも、花の色を身につけ、自然を心に浮かべればきっと元気をもらえるはず。Veritecoの手作りのアクセサリーは、お部屋にひとつ飾るだけでも、自然と向き合う気分にさせてくれます。「流行ではなく、季節や自然を追ってもの作りにかかわっていたい」。それが浅田真理子さんの創作の原点となっています。
TOKYO FM
「ONE MORNING」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。
また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送している
ノエビア「Color of Life」。 2月20日は、女優の鈴木保奈美さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。
Veriteco(ヴェリテコ)
草木やハーブなど、天然素材にこだわったクチュール・アクセサリーを手がける浅田美樹雄さん、浅田真理子さんのユニット。2007年にスタートし、2015年に瀬戸内海の香川県・豊島に移住。四季折々の島の自然と寄り添いながら暮らし、繊細な手仕事で色の魅力を引き出したアクセサリー、小物などを制作している。
ホームページ:
veriteco.com
インスタグラム:
@veriteco
『Veritecoの草木染め 春・夏・秋・冬・手づくりのある暮らし』(グラフィック社)
※を除く本文写真:『Veritecoの草木染め 春・夏・秋・冬・手づくりのある暮らし』(グラフィック社)より