あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2017.04.28

Botanist13
今が盛り、弘前公園の桜を守る「桜守」たち

  • Botanist
今年で100年目の節目を迎える「弘前さくらまつり」。東北に遅い春を届ける歴史ある行事です。弘前の桜は、青森を代表する果物「りんご」の木の剪定方法から生まれた独特の方法で、ひとつの花芽からいくつもの花が咲く、迫力のある花付きが特長。今年も今、満開のときを迎えています。


植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今回は、日本有数の桜の名所、弘前公園の桜を守る、「桜守」の活躍をご紹介します。


100年目の春 弘前さくらまつり
桜前線の北上とともに、4月下旬頃から開花をはじめる青森・弘前の桜。今年は4月18日に開花宣言が出され、今、まさに満開のときを迎えています。弘前公園に桜が植えられたのは1715(正徳5)年。藩士が京都の嵐山からカスミザクラなどを持ち帰ったのが始まりです。その後、明治に入って城内に1000本のソメイヨシノが植栽され、1895(明治28)年、弘前城跡が公園として一般開放されました。その後もソメイヨシノの植栽は続き、大正時代には見事な桜で埋め尽くされ、現在では東京ドーム10個分の敷地に約2600本の桜が育ち、この時期の桜は、訪れる人たちのため息を誘っています。



弘前の桜を守る「桜守」たち
弘前市民に長く愛されてきた大切な桜、この桜を代々守ってきたのが「桜守」の存在です。弘前市役所緑地公園課に務める橋場真紀子さんは、2006年に樹木医の資格を取り、2014年に念願の「桜守」となります。仕事の大半を占めるのが園内の桜などの木の状態を「見る」こと。桜の開花の季節が近づくと、たっぷり毎朝2時間以上をかけて園内を見回り、木の状態を観察します。それは「見る」というより「診る」という作業。枝や幹は雨や雪、風などに曝されるうえに、最近では、酸性雨や排気ガス、桜の木の回りを囲むコンクリートの影響など、木を衰弱させる環境が増えているそうです。枝や幹はもちろん、根の状態、 花の咲き方、花の数、そして、落ち葉の状況まで気を配り、痛んだ木は手当をしてゆきます。 手当の七つ道具は「剪定鋏」「鋸」そして、「双眼鏡」、「樹木用の薬液・消毒液」など。常時携帯して大掛かりなもの以外は、自分の手で処置をします。

特に、桜の木の健康と花付きを守るため、最も大切な作業とされているのが剪定作業です。2月から3月にかけてが桜の木の剪定の季節になりますが、弘前公園では剪定の後の枝の切り口を消毒する時に、消毒剤に墨汁を混ぜたオリジナルの液を作り塗っています。切り口に菌がつくことを防ぎ、切り口の見た目の痛々しさもなくしてくれる弘前独特の手法です。


ソメイヨシノは、いったん傷を受けると自己回復力が弱く、人の手によって維持する努力が欠かせません。春になれば桜は自然に咲くものと思いがちですが、桜を守る人の存在が不可欠なのです。1年を通して桜の状態を見守り、手当をする「桜守」の存在を知ると、よりいっそう桜の花への愛情と感謝が深まりますね。


桜の未来のために
由緒ある桜を守る人を、敬意を込めて呼ぶ言葉として生まれた「桜守」。彼らは桜の木を守り、同時に桜の花が生みだす景観にも心を砕きます。花が一挙に咲き、一挙に散ることで、無数の花びらが鏡のようにお城のお堀一面を覆って生まれる「花筏」は、弘前公園ならではの景色の一つ。 また、お堀に垂れ下がった独特の桜の枝の姿は、豪雪地帯だからこその雪の重みで枝がしなり出来上がったもの。 その分、枝や幹の状態に気を使い出来上がった景観です。


ソメイヨシノの寿命は50年から60年、しかし弘前公園の桜は100年以上になるものもあり、日本最古と言われるソメイヨシノも毎年、力強く花を咲かせています。桜の木を手当してあげることで、60年の寿命が80年になり、80年の寿命が100年になる。桜守の存在があってこそ、未来に向けて桜の花は開花し続けることが出来るのです。

幼い頃から、弘前さくらまつりが好きで地元の桜とともに育った橋場真紀子さん。寒い冬をけなげに乗り越え、春、その命を華やかに咲かせる桜。橋場さんは嫌なことがあると公園にある展望台に上り、桜を眺めて、心を落ち着かせたそうです。かつて自分の心を癒してくれた桜を、「桜守」の一人として努力を惜しまず、未来に繋げたいと、桜の季節が巡りくるたびに思いを新たにされています。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。今週からはバイオリニストの宮本笑里さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。


桜守 橋場真紀子
樹木医  青森県大鰐町出身、弘前中央高校卒業。1999年から弘前市みどりの協会で弘前公園植物園のガイドや、市民の植物や園芸の相談に乗る「みどりの相談員」などを務め、2014年4月から弘前市公園緑地課主事。弘前の桜守の一人として先人の伝統と思いを受け継いで桜を守っている。

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