肌に触れる風が心地良く、身も心も少し身軽になってきたような5月。あたたかな日差しを受けて、花々や新緑の鮮やかさもより一層輝きを増したようです。たんぽぽ、ヒマワリなど、私たちの日常にすっかり溶け込んでいる季節の花々。でも、私たちが見慣れた色・形は、実はその種のたった一部。たんぽぽに黄色以外があるなんて、考えたこともない人がほとんどなのではないでしょうか。
「ボタニカル・ブックス」では毎月1冊「植物」に関しての名著や新刊書、写真集などをご紹介しています。今回この「ライブラリー」に収められた本は、私達の好奇心を刺激してくれるちょっと珍しい植物たちの物語が紹介された、大人のための植物図鑑。植物たちがより一層愛らしく思えてくる一冊です。
『ひみつの植物』(著 藤田雅矢/WAVE出版)
たんぽぽの英名「ダンデライオン」に隠された秘密とは!?
今の時期、黄色い花をつけるたんぽぽ。摘んで愛でたり、綿毛を吹いて遊んだりと、私たちが子どものころから馴染み深い植物です。この本によると、このたんぽぽの英名「ダンデライオン」にもちょっとした秘密があるそうです。実は「ダンデ」というのは、パスタのゆで方のアルデンテの「デンテ」と同じ「歯」という意味。つまり「ライオンの歯」という意味で、ギザギザの葉っぱの形状から名前が付けられたものだそうです。
また、私たちはたんぽぽ=黄色い花という常識を持っていますが、実はピンク色の花を咲かせるたんぽぽも存在しています。植物名は「クレピス」と言い、南イタリアからバルカン半島にかけて自生し、草丈が高く、枝分かれして花をつけたりと、見た目もちょっと洋風でスマート。幻想的とも言えるピンク色のたんぽぽですが、この「クレピス」種の中には、白い花を咲かすものもあります。
ちなみに、最初にご紹介したピンクのたんぽぽ「クレピス」。1袋200円台から手軽に手に入るそうです。また、育て方も非常に簡単で、ほぼ失敗もないとのこと。ガーデニングにひとクセ加えて黄・桃・白のたんぽぽを育てるのも、毎日に楽しみが増えるかもしれません。育ててみたい、触ってみたい、人に贈りたい、料理に使って食べてみたい……そんな興味に応えるように、お取り寄せ方法や、育て方のコツ、育てる難易度レベルなどまでもが書いてあるのがこの本のうれしいところ。それだけでなく、植物SF文学の紹介、植物情報交換のためのサイトURLが記されていたりと、植物への愛情がこれでもかと詰め込まれています。
大人のための進化系植物図鑑!
たんぽぽに限らず夏に鮮やかな黄色を見せるヒマワリにも、赤、オレンジ、ライムグリーン色の花を咲かせる品種があります。また、カリフラワーといえば白が一般的ですが、世界には他にも様々な色のカリフラワーがあります。「オレンジブーケ」と呼ばれるオレンジ色の品種、「バイオレットクイン」と呼ばれる鮮やかな紫色の品種など。紫色の「バイオレットクイン」は、茹でると今度は緑色に変わって、まるでブロッコリーのようになるというのです。
ただの図鑑でもなく、写真集でもなく、文学性や実用性も加わった、まさに大人のための進化系植物図鑑。知識を深めることで植物への愛情が深まるだけでなく、好奇心が心と体を刺激し、毎日をよりイキイキとしたものに変えてくれます。お散歩やティータイムでゆっくり過ごす、5月のうららかな一日にぴったりな一冊です。
TOKYO FM
「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。
また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送している
ノエビア「Color of Life」。5月14日からはシンガーの高橋真梨子さんをお迎えしてお話をうかがいます。どうぞ、お聞き逃しなく。
『ひみつの植物』(WAVE出版)
著 藤田雅矢(ふじた・まさや)
京都大学農学部卒、農学博士。某研究所に勤務し、植物の品種改良に従事するかたわら、執筆活動を行う。第7回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。日本SF作家クラブ会員。