夏至、冬至、春分、秋分など、季節の歩みを示す言葉は、太陽の動きをもとにした二十四節気に基づいています。改めて二十四節気を知ることで、季節の植物とともに、四季の流れに寄り添うボタニカルライフを心豊かに過ごしてください。
今回は、季節の植物を日々の生活に取り入れるアイディアを、「二十四節気 暦のレシピ」の著者、フローリストの猪飼真紀子さんと写真家の清水美由紀さんに教えていただきます。
季節の変化を言葉で伝える「二十四節気」
二十四節気は、1年の季節を表す言葉です。太陽の動きに合わせて1年を24等分し、それぞれの時節の表情を2つの漢字で伝えています。春夏秋冬、四つの季節を持つ1年は、太陽の位置が最も高くなり、昼の時間が最も長くなる「夏至」、太陽の位置が最も低くなり、昼の時間が最も短くなる「冬至」、昼と夜の長さがほとんど同じになる「春分」と「秋分」などの節目を持っています。さらに「立春」、「立夏」、「立秋」、「立冬」などで分けられ、季節の変化を表します。そのほか、「雨水」、「小暑」、「立秋」、「小雪」など、その時々の自然の情景を感じさせてくれる美しい言葉も二十四節気の特徴です。暦を知り、季節の歩みを意識することで、花や植物との触れ合いがより豊かになりますね。
二十四節気 暦のレシピ「小雪」
11月も終わりを迎える今頃は、二十四節気では「小雪」(11月22日から12月6日頃)にあたります。寒さが朝夕だけでなく、日中にも顔を覗かせるようになり、息を飲むほどの紅葉の景色が、日本各地で広がり、目を楽しませてくれるのもこの時期です。そんな気温の変化を自ら感じ、冬支度を始めるために木々が演出する紅葉や落ち葉は、まさに自然から届く季節の便りです。同じように見えても1枚1枚、個性豊かに色と形が異なる木の葉は、暮らしを彩り、自然からのメッセージを届けてくれます。
<暦のレシピ 押し葉フレーム>
枝から落ちてきた枯葉との出会いは、まさに一期一会。そんな出会いをフレームに入れて飾れば、まるでアートのように気分を豊かにしてくれます。押し葉を作るには、まず、葉をティッシュに挟んで、新聞紙の間に入れます。それを厚い本に挟んで重みをかけ、4〜5日経てば出来上がり。なるべく落ちて間もない葉を選んで、水分のあるうちに押し葉にすると綺麗に出来上がります。見つけた場所や日にち、木の名前も書いておけば、思い出豊かな、オリジナルの植物標本としても楽しめます。
押し葉のフレーム
<暦のレシピ 落ち葉のアロマワックスサシェ>
身近な場所で拾った枯葉の表面に、パラフィンをつけるだけで、立派な落ち葉モチーフに生まれ変わります。パラフィンをつけることで表面の色彩が際立ち、葉の形もくずれにくくなります。お気に入りのトレイに並べたり、糸をつけてモビールにしたり。パラフィンにアロマオイルを入れれば、飾った時にほんのりと漂う香りも楽しめます。自然の営みをお部屋で感じることができますね。
落ち葉のモビール ※
■落ち葉のアロマワックスサシェの作り方
1. 落ち葉の表面の汚れを取り、アロマオイルを加え湯煎したパラフィンをつける。
落ち葉のアロマワックスサシェ作り ※
2. パラフィンが乾いたら出来上がり。
落ち葉のアロマワックスサシェ ※
二十四節気 暦のレシピ「大雪」
一段と冷え込みが増してゆく12月。12月7日から21日頃は二十四節気では「大雪」にあたります。自然の景色からも緑が少なくなり、寂しくなる頃ですが、その厳しい自然の中でも、元気な緑の葉を茂らせているのが、針葉樹です。尖った葉は、表面から水分が失われるのを防ぎ、気温の低い中でも緑色を失いません。針葉樹が演出する冬の情景を、お部屋で楽しんではいかがでしょう。
<暦のレシピ 雪色のテーブルリース>
針葉樹の森に舞う雪をイメージさせてくれるのが、パンパスグラスと緑の花材を使った雪色のテーブルリースです。柔らかな白のパンパスグラスや花材、緑の組み合わせで、テーブルに飾ると、この時期ならではの聖なる華やぎも生まれます。
パンパスグラスの雪色のテーブルリース
■雪色のテーブルリースの作り方
1.リースの形のオアシスを用意し、外側と内側の両方に、3cmおきにグリーンの葉ものを同一方向に向け、1周するように挿してゆく。
2. 1を挿した間に、別の葉ものを同じく両側に同一方向に挿してゆく。
3. 1と2を指した隙間にパンパスグラスを同じく両側から同一方向に挿す。
4. 葉やパンパスグラスの向きや形を整え、上につる性の植物などを這わせるように飾って完成。
<暦のレシピ パンパスグラスの冬スワッグ>
白と緑を組み合わせたインテリアとして、パンパスグラスの冬スワッグも素敵です。ブルーアイスやユーカリ、パンパスグラスをバランスよく組み合わせ、好みの白い花も重ねて麻ひもで結びます。リビングの壁に飾れば、ブルーアイスやユーカリの香りも楽しめ、慌ただしい12月の喧騒を忘れて、森に抱かれるように心を癒してくれます。
パンパスグラスの冬スワッグ
いくつ年が巡り来ても、自然の歩みを変わることなく教えてくれる、二十四節気。花や植物たちの存在と同じように、暮らしや心を整え、生きる喜びに気づかせてくれます。
『二十四節気 暦のレシピ』猪飼牧子、清水美由紀(日本文芸社刊)
季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみ方を提案。その節気に旬をむかえる植物にまつわる話、暮らしに花や植物を手軽に取り入れるコツを、写真とともに解説しています。猪飼牧子さんはフラワーアレンジメントを手がけるほか、植物の魅力やしつらえを伝える教室を主催し、植物が生活に寄り添う暮らしを発信。清水美由紀さんは、「より心にフィットした生き方をさがす」ことをテーマに活躍するフォトグラファーであり文筆家。生まれ育った長野県、松本を拠点に活躍されています。
猪飼牧子さん
HP :
http://nerolidol-flower.com
Instagram :
@makiko_nerolidol
清水美由紀さん
HP :
https://miyukishimizu.format.com
Instagram :
@uriphoto
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「ONE MORNING」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。
また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送している
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※を除く全写真:『二十四節気 暦のレシピ』(日本文芸社刊)より