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2009年06月19日
「ブーアの森」の出張色校正・その2
今週は、前回に引き続き、絵・忌野清志郎さん/文・せがわきりさんの
絵本「ブーアの森」の出張色校正のお話デス。
印刷の機械から出力された色を、ハヤシは細かくチェックしたわけなのですが、
ベテラン印刷工の方々の刺すような視線を浴びていると、
ついつい「これくらいならOKかな〜」と、
多少甘い判断をしそうになったというのが正直なところ。
でもでも、側で一緒に清志郎さんが見守ってくださっているような気が
ずっとしていたので、「もうちょっと微妙に濃く出来ますか?」とか、
一切の妥協を許さず、隅々まで確認をしました。
何とも言えない重圧感、責任感がずっと肩に圧し掛かっていたので、
たぶんホントに清志郎さんが側に居てくれたのじゃないかしらん。
突然ですが、ここで本についての豆知識。
通常の本の場合、1枚の大きな用紙の裏表に8ページずつ印刷します。
つまり、16ページが1単位で、これを「1折」と呼びます。
なので、7折で112ページ、8折で128ページと、
殆どの本が16で割り切れるページ数になっているのです。
験しにお手元の本をチェックしてみてくださいな。
で、今回の色校正では、まず1折の表ページ、つまり8ページ分をチェック。
私がOKを出した後、その8ページ分だけとりあえず印刷。
その印刷にかかる時間が約1時間(=ハヤシの待ち時間)。
待ち時間の間、図書印刷の方と話しをしたり、
他の仕事を片付けたりしながら応接室で待機。
そして「次の8ページ分の用意が出来た」とのお呼びがかかると、
また工場の中をズンズン印刷機の所まで歩いて行ってチェック。
……というのを何度も繰り返したのでした。
以上、今回のような本番印刷での色校正は、
とっても時間がかかる作業だということがおわかりいただけたでしょうか?
「ブーアの森」はページ数がさほど多くないため日帰り出張で済みましたが、
たくさんのページをチェックしなければならない場合は、
1泊2日とか、2泊3日がかりになることもあるとか。
書籍編集って、華やかな仕事に聞こえる場合もありますが、
実はホントに地道なお仕事なのねぇ。(←と、ヒトゴトのように言ってみたり)
そんな途中の待ち時間を利用して、T印刷部長が工場の中を見学させてくださいました。
先ほどの話のように、1折が16ページといった知識はあっても、
実際にその紙が折られて、糊付けされて、余分な端が切り揃えられて、
帯が巻かれて……なんて行程を実際に目にするのは初めて。
他にも、コミック1冊分のページを一気に印刷できる機械とか、
出荷用に何十冊かをまとめてラップでグルグル巻きにする巨大な装置とか、
「ほほ〜」とビックリするような設備もあって、とっても面白かったのでした。
もちろん面白かっただけじゃなく、本を作ることを生業としている者として
知っておくべきことでもあったので、と〜っても勉強になった次第。
やっぱりナニゴトも「百聞は一見にしかず」、でございますなぁ。
投稿者 ハヤシ : 2009年06月19日 15:09