• mixi
  • Facebook
  • ツイッター
  • Google
  • TOKYO FM
  • TOYOTA
Home>Legend Story
Legend Story
15.01.17
マイケル・チャン

1989年、日差しの強い初夏のパリは、1人の少年の話題で持ちきりになった。
テニスの全仏オープン、台湾系アメリカ人のマイケル・チャンが、男子テニス4大大会史上最年少となる、17歳3カ月で優勝を果たしたのだ。

チャンは、1972年、台湾から移民した両親のもと、アメリカ・ニュージャージー州に生まれた。
テニスのきっかけを与えたのは母親だった。
6歳の時、1ドルで買ってきたラケットを与えられたチャンは、レンガの壁を相手に、テニスの練習を繰り返した。

当時から負けん気が強く、8歳の時、父親にテニスの試合で負けると、悔しさのあまり、ラケットを折ってしまったこともあった。
16歳でプロテニスプレーヤーとしての道を歩き始めたチャンは、翌年の全仏オープンに挑み、テニス史にその名を刻むことになる。

ベスト8を掛けた4回戦、チャンに最大の敵が立ちはだかった。
相手は、当時の世界ランキング1位、イワン・レンドル。圧倒的王者だ。

チャンは、早々と2セットを落とし、足の痙攣が止まらない。
限界…。
誰もがレンドルの勝利を疑わなかった。

しかし、チャンの顔のどこにも諦めの表情は無かった。
超スローボールを返して相手をいら立たせる作戦と、意表を突くアンダーサーブ。
泥臭く、貪欲に戦い続けたチャンに対し、レンドルは完全に自分のペースを乱し、世紀の大番狂わせが実現した。
勝利の瞬間、チャンはその場で泣き崩れた…。

決勝の相手は、世界ランキング3位のステファン・エドバーグ。
身長で15センチ、体重で15キロ以上下回るチャンは、緻密な戦略と粘り強さで勝負する。
どんなに攻められてもコートを縦横無尽に走り、拾い、打ち返す。
緩急をつけたチャンの巧妙なストロークにエドバーグはミスを連発した。

初夏の強い日差しの中での3時間42分の熱闘。
フルセットの末、チャンがエドバーグを下し、大会最年少で優勝を果たしたのだ。

スタンドをうめた、1万6000人の観衆から喝采を浴びたチャン。
決して諦めず、ピンチでも冷静につなぎ、勝負所では一気に反撃に出るチャンのテニスを、地元の新聞は、「東洋の精密機械」、そう表現した。

現在、錦織圭のコーチを務めるマイケル・チャン。
劣勢で決して諦めない気持ちと粘り強さは、確実に受け継がれている。



Message

Circle of Friendsや藤木直人さん、高見侑里さんへのメッセージはこちらから。あなたのスポーツ体験と気分を盛り上げるためには欠かせないリクエスト曲をお待ちしています。