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Legend Story
14.12.06
長友佑都



涙が、止まらなかった。
テレビ用の取材を終えた長友佑都は、カメラに背を向けると嗚咽を漏らした。2014年6月25日、
前日のコロンビア戦でブラジルワールドカップの敗退が決まった日本代表は、サンパウロ郊外のベースキャンプ地で、メディアの取材に応じていた。

チームスタッフに抱き寄せられた長友は、目を真っ赤にしたまま取材スペースから姿を消した。
5分ほど経っただろうか。長友が戻ってきた。ペン記者に囲まれる。
「すいません、色々な思いが出てきたので」と語る表情は落ち着きを取り戻しているが、目は赤いままだ。

「この4年間ワールドカップにかけてきて、こんな一瞬で終わってしまうのか。誰よりも走ってきた、練習してきたという自負はある。これだけやってきたのに、これで終わるんだと思うと……」
 
コロンビアに1対4で敗れ、グループステージ敗退が決まった前夜は、「代表引退」の4文字が脳裏を過った。
「こんなに考えたことがないくらい、代表について考えた」と言う。
目が赤いのは涙したからだけでなく、ベッドの上で過ごした苦悶の時間のせいでもあった。
 
考えに考え抜いた末の結論は、撤退ではなく前進だった。
「代表引退は逃げかなと思ったし、ここでやめたら必ず後悔する。プレッシャーと責任はあるけれど、すべてを受け止めてもう一度、
日本代表に選ばれることを目ざしていた当時の気持ちに立ち返って、原点に帰って、次こそは結果を残したいという気持ちに至りました」

2014年6月の涙を、長友は忘れない。
2018年のロシアワールドカップで、日本代表が歓喜に酔いしれるまで。

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