ワールドカップ史上でただ1人、3度の優勝を経験した史上最高のフットボーラー、ペレ。
　　　
1950年、ペレが9歳の時に地元ブラジルで開催されたワールドカップ。
優勝候補の本命と目されていたブラジルだったが、最終戦のウルグアイ戦で終了間際に失点、1対2で敗れ優勝を逃した。
「マラカナンの悲劇」と呼ばれるこの試合、国中が深い悲しみに包まれる中、悲嘆にくれる父親にペレは、「いつか僕がブラジルを優勝させる」と励ました。
その言葉は、8年後に現実となる。

17歳、背番号10を背負い出場したワールドカップ・スウェーデン大会。
準々決勝で初ゴール、準決勝ではハットトリックを達成。
まだ子どもの顔をしたペレが世界中を驚愕させた。
そして、地元スウェーデンとの決勝戦。
2対１とブラジルがリードして迎えた後半10分、左サイドからハイボールがゴール前に入った。
ペレは、右足でボールをとらえると、まるでリフティングするかのようにボールを浮かせたまま
ディフェンダーを1人かわした。
さらに、待ち構えるディフェンダーの頭越しにボールを浮かすと、自分は背後へと回り込む。
そして、ボールが地面に落ちる直前にボレーシュート。
弾丸のごとく、ゴール左隅に突き刺さった。
ボールを一度も地面に落とさず、ディフェンダー2人を巧みにかわしてゴール。
観客の全員が目を奪われ、一瞬の静寂の後、大きな拍手が巻き起こった。
　　　　
ブラジルは5対2でスウェーデンを破り、ワールドカップ初優勝。　　　
この大会で6ゴールをあげたペレ。
サッカー界に新たな時代の幕が開けた。

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