2014年1月13日、快晴に恵まれた国立競技場。
スタンドには、5万人の観客が詰めかけた。
建て替え前最後の聖地で行われた全国高校サッカー選手権決勝。
　　　　　
富山第一 対 星稜、選手権史上初となる北陸勢の対決は、残り時間3分から逆転のドラマが待っていた。
富山第一は、0対2という絶体絶命の状況から驚異的な粘りを見せる。
流れを変えたのは途中出場の2人のスーパーサブ、高浪と村井だった。
後半42分に村井の左クロスを高浪が決めて1点差。

そして、試合終了間際のアディショナルタイム、相手の反則からPKへ。
キッカーは、監督の次男でキャプテンの大塚。
父親が両膝を地につき、祈るような表情で見つめる中、ボールはゴール左隅へ決まった。
富山第一が土壇場で試合を振り出しに戻し、試合は延長線へ。
　　　
そして、クライマックスは延長の終了間際に訪れた。
右からのロングスローが星稜のゴール前に飛んだ。
敵味方ともに反応が遅れたところに飛び込んだのは、途中出場の村井。
得意の左足を豪快に振り抜くと、ボールは星稜ゴールに突き刺さった。
　　　
そのまま試合は終了し、3対2の逆転勝利。
応援席のみならず、競技場全体が揺れるように沸き上がり、富山第一イレブンを祝福した。
　　　
登録メンバー25人中23人が富山県出身。
冬は雪のため外での練習もままならず、体育館も早朝しか使えないという厳しい環境の中、ハンディを乗り越えて生まれた一体感で、富山第一が4166校の頂点に立った。　


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