2002年12月、オランダで行われたフィギュアスケートのジュニアグランプリ・ファイナル。
安藤美姫は、女子シングルの公式戦でいまだかつて誰も成功していなかった4回転ジャンプに挑戦した。

通常なら4回転のような難しい技はプログラムの序盤に組み込む。
しかし、安藤はプログラムの中盤、これまでは3回転だったジャンプを、急遽4回転ジャンプに変えた。
氷を強く蹴ると、1、2、3、4と安藤の体は宙を舞い、着地に成功。
安藤美姫の名は、瞬く間に世界中に知れ渡った。

そして2006年、日本中の期待を背負って出場したトリノ・オリンピック。
安藤は、大会前に右足の小指を骨折、その影響もあってショートではミスを連発し8位。
フリーでは、4回転ジャンプに果敢に挑戦をするも、回転不足で着地に失敗し転倒。総合15位に終わった。

しかし、この不本意な成績をきっかけに安藤は生まれ変わる。
体を絞り、ジャンプを基礎から作り直したことで、成績が安定。
年末のスケートアメリカでは、ショート首位の浅田真央を逆転してグランプリシリーズ初優勝！

そして、トリノ・オリンピック翌年の世界選手権。
ショートでは自己ベストを更新して2位スタート。
安藤は、フリーで最終滑走、その時点で上にいたのは韓国のキム・ヨナ、ただ一人。
安藤は深紅のコスチュームを身にまとい、ノーミスで演技。
コーチの判断で4回転ジャンプは試みなかったものの、演技が終わると、安藤を待っていたのは、その日一番大きく、そして一番長いスタンドからの拍手だった。
結果は自己ベスト更新する195.09。
キム・ヨナを逆転し、安藤美姫が日本人として4人目の世界女王に輝いた。
　　　

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