澄み切った師走の空気が熱気へと変わる。
1990年12月23日、中山競馬場には、入場者数記録となる17万7779人が詰めかけた。
日本競馬のクライマックス「有馬記念」。

オグリキャップは、単勝5・5倍の4番人気。
その多くはラストランへの応援票、本気で勝てると思っていた人が一体どれほどいただろうか？

夏場は故障の為休養。
秋の天皇賞は6着、ジャパンカップは11着に敗れた。
燃え尽きたと言われた“の怪物”オグリキャップは、武豊を鞍上に迎えファイナルランに臨む。

序盤は、中団・6番手につけて第3コーナーから馬群の外を通り前方へ進出。
最終の4コーナーを回りながら先頭に並びかけた。
武の鞭を合図に、オグリキャップはここから懸命に脚を伸ばす。
ホワイトストーン、メジロライアンの４歳馬が懸命に追いすがる。
　　　　　　
スタンドからは絶叫も入り混じった大声援。
そして、メジロライアンが4分の3馬身まで迫るなか、“芦毛の怪物”オグリキャップは先頭でゴールを駆け抜けた。
　　　
武を背にウィニングラン、超満員のスタンドは「オグリコール」に揺れた。
　　　
地方競馬から中央に移籍し、スターダムにのし上がったオグリキャップ。
空前の競馬ブームを巻き起こしたアイドルホースのラストランは、劇的な勝利で幕を下ろした。
　　　

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