• mixi
  • Facebook
  • ツイッター
  • Google
  • TOKYO FM
  • TOYOTA
Home>Legend Story
Legend Story
16.04.09
有森裕子

オリンピック・スタジアムに、3番目に帰ってきた有森裕子はゴールインし、天を仰いだ。

1996年のアトランタオリンピック、女子マラソン。
スタート時は小雨と気温21度の肌寒さ。
有森の「暑ければ暑いほど楽しみ」という期待はアトランタの気候に裏切られ、ともにメダルを狙った、浅利純子は、序盤から後方へ消えていった。

変化が起きたのは19キロ付近。
5人の先頭集団から、無名のランナー、エチオピアのロバが一気に抜け出した。
有森は、はやる気持ちを抑えながら集団の中で並走。
そして30キロすぎの下り坂に差しかかった時、満を持して飛び出し、単独2位に上がった。
   
しかし、33キロすぎ、後方から来たロシアのエゴロワに並ばれる。
バルセロナオリンピックの終盤、すさまじいデッドヒートを演じたライバルだ。

有森は脱水症状も現れ、アップダウンの激しい難コースに足がしびれた。
もはや、エゴロワと競り合う力は、残っていなかった。
エゴロワが簡単に交わしていく。
何度も「もうつぶれる」と思いながら、ただ、ゴールだけを頭に描いて走った。

競技場に入るとスタンドが妙にざわついている。
背後にはドイツのドーレが迫っていた。
マラソン人生初というぐらいの激しいラストスパート。
2時間28分39秒。
自己ベストに次ぐ好タイムで銅メダル。
「初めて自分で自分をほめたいと思います」。
ゴールの瞬間の有森裕子は、泣きながら笑っていた。

Message

Circle of Friendsや藤木直人さん、高見侑里さんへのメッセージはこちらから。あなたのスポーツ体験と気分を盛り上げるためには欠かせないリクエスト曲をお待ちしています。