今週の「ATHLETE NEWS」は、元体操選手でアテネオリンピック金メダリストの米田功さんのインタビューをお送りします。
体操・日本代表の主力選手についてお話を伺ってきました。
ー現在は、オリンピックを目指す選手のコーチ、それが「徳洲会体操クラブ」。もう一つが「米田体操クラブ」は、お子さんが中心ですか?
「2歳から中学生、高校生くらいまでですね。2歳でも壁を使って逆立ちをしたり、前回りもするんですよ」
ー今の、日本の体操選手の育成環境はどうお考えですか?
「若い世代がどんどん強くなっているので、環境としてはすごくいいんじゃないかと思います。トップに内村航平という、憧れるオリンピックの金メダリストがいるので、一番いいお手本があるわけじゃないですか。
内村選手がどんな事をやりながらトップになったのか、本人にすぐ聞ける環境ですからね。世界一の技術を指導者は学べるので、すぐに子ども達に伝えることができるんですよ。白井健三選手・亀山耕平選手、世界でメダルをとってる選手が日本にいるのはいい環境だと思います」
ー亀山選手はどんな所が魅力ですか?
「鞍馬という競技は手足が長いほうがいいんです。持って生まれた要素も強かったりするんですよ。日本人が活躍出来ていない種目でもあって、亀山選手は手足の長さだったり、身体の美しさに長けているんです。鞍馬以外の種目は、言うほど強くないけど鞍馬だけは世界一。本人もそれを自覚していて、『自分は鞍馬で勝負するんだ』と決めているのが強さの秘密ですね」
ー亀山選手などのコーチをされていて、日本代表に選ばれたら米田さんが代表についていくんですか?
「普通は代表のコーチがいますが、体操界は所属のコーチが代表コーチになって、あくまで日本代表で強くするんじゃなくて、所属のコーチも一緒になって、自分の所属の選手を教えるという感じなんです。ただ単に集まってやっているだけなんですよ。
それぞれ調整の仕方が違うので、普段見ているコーチでないと分からないんですね」
ー4月に行われた「全日本体操個人選手権大会」は、ロンドンオリンピック金メダリストの内村航平選手の大会8連覇という大きな記録で幕を閉じましたが、内村選手の強みはどこにありますか?
「小さい頃からやっているし、身体や運動神経に恵まれています。だけど、そういう選手は一杯いるっちゃいるんです。違うところは、いろんな事が出来る選手は、好きなことで遊び的な所に走ってしまう。
ただ、内村選手の違うところは、いろんな事ができるのに、試合に勝つことを考えて演技構成を作ったり、頭を使って体操をやっている。年齢を重ねても体力の維持、競技力を維持できるのは、持って生まれた能力だけでやっているわけじゃなくて、それ以上に考えて体操をやっている。だからこそ、8連覇しているんじゃないかと思います」
ーライバルとなる亀山選手と白井選手、お2人の活躍はすごいですよね。
「亀山選手は内村選手と同い年で、白井選手は大学1年生。ようやく、色んな選手が育ってきたなと感じます。ロンドンオリンピックでは日本が銀メダルで、昨年の世界選手権は中国に0.1で勝てなくて、ずっと2位というところにいるんですよね。
ライバルの中国には、もう届いているんですよね。あとは勝つことで突き抜けられると思うので、今年、世界選手権で勝ちたいと思っているので、それがリオに繋がります。多くの選手が世界でメダルをとることが、層の厚さに繋がっていくと思うので、今年の世界選手権はすごく大事になってくると思います」
ー毎回、ゲストの方にお気に入りの一曲を伺っています。米田さんが現役時代に聴いていた曲だとか、集中力を高めるために聴いている曲はありますか?
「Sarah Brightmanの「Time to say goodbye」という曲なんですけど、僕はリズムのある曲よりも、すーっとしている曲調が好きなんですよね。神聖な戦いに行く為に神聖な曲を聴いて、自分を整えていく感じが心地いいです。
引退してから学んだ音楽療法があって、自分の気持ちのリズムに合った音楽を聴いて、持っていきたいテンションに持っていくほうが良いんですよ。例えば、イライラしている時に、心を落ち着かせようと静かな曲を聴いてもギャップがあるので駄目なんです。イライラしている時は、イライラしている音楽を聴いて徐々に心を落ち着かせるんです。そういう意味では、音楽はすごい大事なんだと思います」
ー最後に、リスナーのみなさんにメッセージをお願いします。
「来年にはリオオリンピックが始まります。それに向けて、今年の世界選手権、国内の大会、みんな頑張っていますので、体操を応援していただければ嬉しいなと思います」