今週の「ATHLETE NEWS」は、3日後の30日、WBC世界ライトフライ級王座決定戦に挑む、八重樫 東選手です。
八重樫選手は今年、ボクシングの歴史に残る試合が行われました。
9月5日のWBC世界フライ級タイトルの防衛戦。相手は、現在、プロ・アマ通算128戦全勝、KO率85%の怪物、ローマン・ゴンサレス=ロマゴン。
あまりの強さにチャンピオンが敬遠していると言われる中で、八重樫選手は、あえてロマゴン選手を指名しました。
試合は、最強の挑戦者を相手に命を削るほどの乱打戦。全く引かずに打ち合いました。
結果は、八重樫選手にとって初のKO負けとなる9ラウンド目にTKO負けを喫しました。
敗れはしましたが、八重樫選手の真っ向勝負の戦いっぷりと、倒れても立ち上がるその姿には多くの人から賞賛の声が上がりました。
そして、この試合は年間最高試合の候補となっています。
八重樫選手がこの試合で得たものは何だったのでしょうか?練習後のトレーニングジムでお話を伺いました。
「年間最高試合をいただけるのであれば、ありがたいんですけど、僕は受章するのは2回目でして(笑)、1回目は 井岡一翔選手に負けた試合で表彰されたので、今回も負け試合なので正直複雑な心境です(笑)。
試合に向かうトレーニング、練習の中で強いものに挑む、 大きな壁に挑戦する大切さ、気持ちの面で精神的な強さとか、 自分の中では、そういうものを得られたのではないかと思います。
何かを守るというのも大事だと思いますけど、競技をやっている人間からしたら挑戦し続けるという方が、 モチベーションが高くいられるのかなと思います」
ー敗戦からの再出発は、3日後の30日WBC世界ライトフライ級王座決定戦です。八重樫選手はこの試合に勝てば3階級制覇になります。対戦相手は、WBC世界ライトフライ級1位のペドロ・ゲバラ選手(メキシコ)、この試合へのモチベーションについて伺いました。
「もちろん試合に勝ちたい気持ちもあるし、3階級制覇というのもあるんですけど、最近思うのは根本的に自分がボクシングを好きでやっているし、最終的には負けたくない気持ち1つだと思うんですよ。
いろんなものを背負ってるし、いろんな方の期待もあるんですけど、最終的にはボクシングに対する気持ち一つなのかなと思っています。そういう意味で、最近少しずつ、モチベーションも固まって来ています。3階級制覇したからすごいとか、チャンピオンになったとか、もちろんそういうのも大事なんですけど、それ以前に、自分がボクシングにかける気持ち、根本的な部分でモチベーションを持っていけば、そういうものが試合に出てくると思います。
だから、今は初心に返って自分を見つめ直して、もう一度しっかり頑張ろうと気合いが入っています」
ー「色々な期待を背負っている」というお話がありましたが、八重樫選手は3人のお子さんのパパでもあります。ベルトを獲った時は、お子さんと奥さんをリングにあげて喜んでいた姿が印象的でした。家族を背負って闘っている八重樫選手、ボクシングを通じて子ども達に伝えたいことを伺いました。
「子ども達には、頑張っている姿を見ていてほしいし、口で言っても分からない事もたくさんあると思うので、 そういう意味では勝ち負けがハッキリしているし、分かりやすいと思います。出来る限り背中を見せたいなと思います」
八重樫選手に「『強さと』は、なんですか?」と聞いてみました。その答えは「優しさ」だそうです。「人間辛い時大変な時は誰にでもある、でもそこで人に優しくできる心の強さ、大きさを持っている人、それが人としての強さだ」ということなんですね。
八重樫選手のタイトルマッチは、3日後の30日です!ベルトを獲ってくれる事を期待しましょう!!