今週の「ATHLETE NEWS」は、サッカーの神様・ジーコさんです。
ブラジルワールドカップで日本代表は、グループリーグ敗退に終わりました。元日本代表監督のジーコさんが日本代表を見て何を思ったのか?
足りないものや課題、強みは何なのか?その敗因と今後の日本サッカー界の展望など、今週・来週と2週にわたってスペシャル版でお送りします。
ー今年のサッカー界を振り返るうえでこの話題は欠かせないと思いますが、ワールドカップのブラジル大会がありましたね。
「ブラジル国民も全体で楽しめましたし、ブラジル人が世界を受け入れるという気持ちで、良いワールドカップだったと思います。ワールドカップ期間中、たくさんの良い試合があったし、活躍した選手もたくさんいました。優勝したドイツもすごく強くて、とても良いサッカーをしていましたね」
ー日本は1分け2敗で、グループリーグ最下位という結果に終わってしまいましたが、この結果についてはどう思われますか?
「ブラジル国民全体もそうだし、自分自身も日本代表に期待をしていたし、いい結果を望んでいました。そういった中で、こういう結果に終わってしまって残念に思っています。やはり技術的な部分もそうだけど、日本はもっと戦えたんじゃないかと思います。
ただ、アジア予選の時の戦い方とワールドカップの中での戦い方が違ったのかなと思います。中心選手である、香川選手、本田選手、長友選手自身のパフォーマンスも、個人的にそこまで良くなかったのが、チームに影響を与えてしまったのかもしれないですね」
ーアジア予選とワールドカップ本選で戦い方が変わってしまったと仰っていましたが、具体的にはどんな風に違っていましたか?
「アジア予選の時などは、日本の特徴であるパスワークだったり、コンビネーション。中盤の選手がよく動き、顔を出し、サイドで三角形を作ってサイドからの崩しだったり、そこはやっぱり出せていなかったのかなと思います。
特にフォワードの選手が、身長の高い選手が少ない中で、サイドからのクロスボールが多かったです。例えば、フォワードに大久保選手がいて、大久保選手はそんなに身長も高くない、どちらかというとスペースを見付けてスピードだったり、そういう所で勝負する選手だったのに、そういうやり方をしてしまった。
やっぱり、日本はフィジカル的に世界と差があるので、そこをどういう戦い方で世界と戦っていくのかというのをアジアでやって来たのに、世界でやらなかったのは少し疑問ですね」
ー日本人のフィジカルや性格に向いているサッカーのスタイルはどんなものなのでしょうか?
「ヨーロッパで活躍し始めてる選手が多い中で、フィジカル的にも対等に戦えるレベルになってきてる選手もいますが、やはり世界と比べた時にフィジカル差というのは当然あるので、そこをどういう戦い方をしていくのか、どちらかというと南アメリカの様なスタイルの方が合っているのかもしれません」
ージーコさんから見た、日本人の印象はどういうものですか?
「日本人全体と言いますか、若い世代の子達がミスを恐れるというか、何かしてしまうと罰を与えられてしまうんじゃないかと考えていて、サッカーをやっていても、一つ一つのプレーで、「これでミスをしたら外されるんじゃないか」とか、「監督から怒られるんじゃないか」とか、そういうミスを恐れてプレーする、ミスを恐れて生きていくというのが若い世代にはあるのかなと思います。
サッカーの中で言うと、「恐れる」という事自体が、試合に負けてしまっている、放棄してしまっているとブラジルでは言っていいほどですからね。何故そんなにミスを恐れるのかなと思います。
当然、試合ではミスも起きますし、成功する事もあります。それも全てサッカーではあるので、色々な状況に応じてプレー出来る、自分で主導権を握って決断が出来る、そういう選手を作っていかないと世界では中々戦えないのではないかと思います」
ーそういう意味では、ジーコさんのプレーを見ると、自由な発想というか、相手からしたら予想が出来ないプレーでしたよね。
「試合に入る前は相手の分析をして、ある程度戦い方は決めますけど、試合の中で起きる状況、相手もどういう形で戦ってくるのかわからない中で、やはり選手個人が状況を感じて、自分がどうすべきかを考える。
そういう事を繰り返しやっていくから、どんどん賢さも増えていくし、クリエイティブなプレーも出て来る。そういった選手を育てていかないと、サッカーは中々上手くいかないと思います」