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Athelete News
22.02.12
アスリート目線で斬る!北京オリンピック前半戦
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今週の「Athlete News」は、生放送でお届け!
2016年リオ・オリンピック競泳男子400m個人メドレーで金メダルに輝いた萩野公介さんをゲストにお迎えして、北京オリンピック前半戦を振り返っていきました。


萩野公介(はぎの・こうすけ)さんは、1994年、栃木県出身。
高校3年だった、2012年のロンドン・オリンピックでは400m個人メドレーで銅メダルを獲得。
2016年のリオ大会では400m個人メドレーで金メダルを獲得するなど、リレー種目と合わせ金・銀・銅3つのメダルを獲得されました。
競技人生の集大成として臨んだ東京大会は、200m個人メドレー6位入賞。大会後に、現役を引退されました。



──お久しぶりです! 以前この番組に出演していただいたのが2018年10月ということで、3年ぶりぐらいでどうでしょうか。まずは現役生活、お疲れ様でした。

ありがとうございます。

──去年、東京オリンピックが終わって、10月に引退会見がありましたけれども、それから4ヶ月ほど、どのように過ごされていましたか?

今までトレーニングをしていた時間がなくなったので、自由な時間というか、ゆっくりする時間が増えたんですけれども、いただけるお仕事をこなしたりとか、ゆっくり時間が流れるのを感じています。

──「現役時代にやってみたかったけれどやれなかったこと」などはありますか?

まだ始めてないんですけれども、もう少し休んだら、ちょっとウエイトトレーニングだけしてみて、どれだけ体が変わるかなとか、そういうことをやってみたいなと思いますね(笑)。今までは水泳のことを考えた陸上トレーニングだったので、そういうものを全部取っ払って、“筋肉だけ大きくするんだったらどういうトレーニングなんだろう?”とか、(現役時代のトレーニングとは)ちょっとまた違った面白さがあるんじゃないかなと思ってるんです。

──そして今、北京オリンピックが開催されていますが、ご覧なっていますか?

毎日見てます。今まで、冬のオリンピックでも、トレーニングがあったりしてなかなか見れなかったのですが、特に今回は(開催地が)北京なので時差も少ないですし、じっくり選手の頑張りを見ることができるので、すごく刺激をもらっています。

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──それでは一緒にオリンピックの前半を振り返ってきたいんですが、まずは昨日(2/11)、素晴らしい金メダルがありましたよね。スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢選手が、みごと金メダル。萩野さんもリアルタイムでご覧になっていましたか?

はい、見ました。僕は素人なので、ハーフパイプの競技で「この技がすごい」とか、詳しくはわからないんですけれども、ただ、素人目に見ても“(平野選手は)1人だけ別次元のところで競技をしている”というか、やっぱり平野歩夢選手はすごいんだなと思いましたね。

──そのオリンピック史上初のトリプルコーク1440を、1回目から難なく決めてましたよね。1回目は途中で転倒してしまいましたけれども、2回目は滑り切って「これはどんな点数が出るのか」と思って期待したら、まさかの91(.75)点。

得点競技って、やっぱりそういうところがありますよね。多分、見ていた人が100人いたら100人が「これはすごい点数が出るぞ」と思ったら、91点。「そんなわけないでしょ!」って思った方も多かったと思うんですけど、でも平野選手はその悔しさをバネにして、「いや、俺の点数はこんなもんじゃないぞ」と思って、多分、3回目のあの素晴らしい演技に繋がったんでしょうね。

──3回目にそれを超えないと、また転倒してしまったら銀メダルだったわけじゃないですか。プレッシャーの中、あの素晴らしいラン、感動しました。
ただ、アメリカのジャッジが2回目は89点。それで、同じ演技…もちろん滑りの出来の違いというのはありましたけれども、次の3回目は96点。その7点の差はどういう説明になるんだという。採点については世界各国に波紋が広がっていますが…。


関係者が見ていたら、「この選手のここがすごい」ということは僕たちよりももっともっとわかっていると思うので。だから、それこそ2回目の滑りもそうだし、アメリカのその審判の方も(平野選手の演技に)あまりにもびっくりしちゃって、間違って9と8の順番を逆に押しちゃったのかもしれない(笑)。

──それは新しい解釈ですね(笑)。すばらしい!

そう思いたいです(笑)。

──平野歩夢選手といえば、半年前に、それこそ萩野さんと同じ時期にスケートボードでオリンピックに出場していたわけじゃないですか。本当だったら(東京オリンピックは)1年前だったので、東京オリンピックが終わってから(スノーボードに)専念すれば良かったけれど、(東京オリンピックがコロナ禍で1年延期になったため)去年の春に、スケートボードの大会と同時にスノーボードの大会にも出ないと代表になれない、ワールドカップに出られないということで、同時に大会に出なくてはならなかった。

適応能力がやっぱりすごいですよね。見ていて純粋に思ったのが、あれだけ高い位置で難しい技をして回って、空間認知能力というか、多分、脳の構造が常人と全然違うんだろうなと思って。もちろん鍛えられた技というのはあると思いますけど、元々持っている才能が、多分、脳の構造から違うんじゃないのかなと、見ていて思いましたね。

──スケートボードの場合だと足を固定していない、(ボードから)離れてしまうので、ジャンプをするタイミングがよりシビアだということで、ご本人が「スケボーをやったことは一石二鳥どころか三鳥も四鳥もあった」と仰っていたので、そこで技の安定感というか、より研ぎ澄まされたところがあったのかなと。

やっぱり、他の競技から得るものはあると思います。どのスポーツもそうだと思うんですけれども、僕は水泳をやっていたので水泳に置き換えて言うと、逆に水泳だけをやっていたら、やっぱり“あれ、ちょっと行き詰まったな”といういう時があると思うんですよ。だからそういう時に、それこそスピードスケートの日本代表なども使っている自転車のトレーニング器具(ワットバイク)があるんですけど、その器具を使ってトレーニングをして、心肺機能とかを鍛えて水泳に活かす。適性はまったく違うところだけど、水泳ばかりやっていて行き詰まったところに違う競技の刺激を入れることによって、それを自分の競技に活かしていく、というのは、どの競技でもあると思うんですよね。

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──そして、フィギュアスケートの男子ですが、宇野昌磨選手は去年リモートでお話を伺ったんですけれども、みごとな滑りだったと思います。萩野さんは、フィギュアスケートはどのようにご覧になりましたか?

フィギュアスケートも、スピンがあったりジャンプの種類があったり、見ている側としてはすごく難しい種目ではあるということはわかるんですが、ただやっぱり、それだけ、積み重ねてきたものが如実に出る(競技)ということだと思います。
フィギュアスケートと僕たちの水泳の競技で一番違うと感じるのが、フィギュアの人たちは、多分、練習の時に(技が)決まっていなかったら、試合では出来ないと思うんですよ。練習で出来るから、試合でも出来る。でも水泳だと、練習で試合のタイムを出そうと思っても、絶対に出ないんです。例えば“100mのクロールを1分で泳ごう”と思って、自己ベストが1分だとしても、練習でその1分というタイムは絶対に出ないんですよ。逆に、練習で出ていて試合で出なかったら、「何してんの?」ってなっちゃうんです。

──試合になると練習よりも良い泳ぎになる?

そうなんですよ。だから、そういう「練習で出来たから試合でも出来る」という関係性が、競泳の場合はまた他の競技とはちょっと違うのかなと思います。
フィギュアの場合は、練習から出来ないといけないわけじゃないですか。だから常にコンディションを整えなきゃいけないし、どの競技もそうですけど、常に考えながらやらなきゃいけないし、すごく大変な競技だなと。それで、(オリンピックは)「4年に1度」って言われて滑るわけじゃないですか。すごいですよね、やっぱり。

──そのプレッシャーに打ち勝たなければいけない。でも、宇野選手の今回のフリーは、4回転が5本。自分でも「絶対に全部はパーフェクトに出来ない」とは事前に仰っていましたけれども、多少はミスはありましたけど、でも本当に素晴らしい滑りでした。
そして、羽生結弦選手。4回転半に果敢に挑戦しましたよね。


「あまり足首が良くない」というニュースも見たりしたんですが、僕が純粋に思ったのが、羽生選手の場合は“「何のために滑っているのか」ということを考えさせられる”ということ。鍵山(優真)選手が銀メダルを獲って、宇野選手が銅メダルを獲って、羽生選手が4位ですけれども、それぞれが何を思いながら滑ってるかというのは(人によって違うけれども)、多分、それが大きければ大きいほど良い成績になるわけじゃないと思うんですよ。結果的に順位というものが与えられるけれども、もちろんオリンピックはスポーツの競技なのでそれが当たり前なんですが、羽生選手の場合は「何を求めて滑っているのか」というのがすごく伝わってくるような演技だったなと思います。

──「表現」というか「哲学」というか「生き様」というか、それを見せてくれた感動するプログラムでしたよね。
そして、鍵山優真選手が銀メダル。オリンピック団体でも素晴らしい滑りをしていましたし、ショートプログラムも素晴らしかったですけど、フリーの前は「オリンピックに来て初めてちょっと緊張した」と。やっぱりショートプログラムで良いポジションにいただけに、“フリーで良い滑りをしたらメダルだ”というプレッシャーがあった。でもそれに打ち勝って、素晴らしい演技をしてくれました。お父様もキス・アンド・クライで感激されていましたね。


そうですよね。お父さんも嬉しいですよね!
でもやっぱり、日本チーム(の選手たち)がみんな上位にいたから、鍵山選手も勇気をもらったと思いますよ。「先輩たちがやってるんだから、俺もやってやる!」という気持ちはあったと思います。

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──そしてモーグルでは、日本人選手の第一号のメダルとなった、堀島行真選手。ご覧になっていましたか?

はい。見ていました。冬の競技はどの競技もそうかもしれないんですけど、危険と隣り合わせじゃないですか。競泳は危険というものがあまりない競技なので、だから、「恐怖に打ち勝つ」って言うんでしょうか、ああいう舞台で、スピードを競いながらもターンも綺麗にして、ジャンプもして…という、(競泳とは)また違った良さが求められるんだなと、見ていて思いましたね。

──モーグルは本当にいろんな要素が詰まってますから、やっぱりすべてをパーフェクトするというのはかなり難しそうだなと思いましたよね。

しかも、外でやっている競技なので。どこかのタイミングで…確か、堀島選手が出た瞬間に風がビューッと吹いてきて、もう吹雪みたいになって目の前が見えないぐらいのところで、でもそれにも冷静に対処しているシーンを見て、本当にすごいなと思いました。

──そして、今回から採用されたスキージャンプの混合団体。これに触れないわけにはいかないですからね(笑)。もう衝撃の展開すぎて、ちょっと気持ちがついていかなかったですが…。

ご本人が一番辛いと思いますけどね。周りがとやかく言う方が、逆に本人は辛いのかなという気もします。ただ、僕が思ったのは、やっぱりルールというものはちゃんとしないと。「ルールがルールをぶっ壊しちゃ駄目でしょ!」とは、すごく思いましたね。

──1人だけではなく5人もの失格者。しかもそれがいずれも女子の選手。測定の仕方が、いつものW杯などの時とは全く違うポーズをさせられたという話も聞きました。
スーツの話で言うと、水泳でも一時期、高速水着の問題がありましたよね。萩野さんはその頃中学生ぐらいですか?


そうですね。僕が中学生ぐらいの頃にその「高速水着」というものが出来上がって、すごく速かったんですけど、水着のルールが変わって、「こういうルールのもとでいきましょう」ということになり、そこから試合の前に必ずチェックするようになったんですよ。泳ぐ前に、まず水着を見ます。どんな素材かとか、(水着の)お尻のところにマークが入ってるんですけど、そのマークが入っている水着が公式にOKとされている水着なので、「お尻のマークを見せてください」と言われて、お尻のマークを見せて、「OK」と言われたら、もうそれでOKなんです。
例えばこのスキージャンプみたいに、最初(飛ぶ前)に全員検査して「はい、OKです、飛んでください」って言って、(飛んだ後に)「もう1度見ます、やっぱり駄目でした」って、まるで後出しジャンケンみたいな…。「1回OKって言ったんだから、その言葉に責任を持ってよ」って、僕だったら思っちゃうんですけどね。

──でもそんな中で、高梨(沙羅)選手は気丈に、2本目をしっかりと跳びましたよね。

すごいです。メンタリティーが本当にすごいと思います。

──そしてスピードスケート。日本選手団の主将である髙木美帆選手は、本命の1500mは銀メダル。初戦の3000mは6位。残りは、今日(2/12)1回戦が行われるチームパシュート、そして明日(2/13)の500m、17日の1000mとありますが、短期間で複数の種目に出場するというのは、萩野さんも経験があると思いますが、コンディションの調整が大変じゃないですか?

人によると思うんですよね。1本に集中する方が頑張れる選手もいるし、逆にいろいろな種目に挑戦しながら自分のリズムを掴んでいくという選手ももちろんいますし、人によるのかなと。
僕は後者のタイプだったので、いろんな種目に出て行って、その中でリズムを掴んでいって…という。逆に1本になっちゃうと、集中しすぎちゃって、それが力みに繋がったりとか、“過緊張”と言いますか、良い緊張感ではなく、「ここで絶対に決めなければならない」と過度に自分に期待をしてしまう。そういうことで意外と動きが良くなかったりすることが多かったですね。

──フィギュアスケートの団体戦が個人戦より前にありましたが、でも、鍵山優真選手、宇野昌磨選手は「団体で滑れたことが個人に活かせた」と仰っていました。今回、小平奈緒選手は本命の500mがいきなり最初に来てしまうということで、あっという間に勝負を決するので、その中でどのような滑りをしてくれるか。そして髙木美帆選手は、萩野さんと同い年ということですが。

そうです。一度お会いしたこともあって、すごく応援してます。残りの種目も頑張ってほしいですね。

──萩野公介さんには、来週も出演していただきます! よろしくお願いいたします。


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