今週の「Athlete News」は、長野オリンピック・スピードスケート男子500メートルの金メダリスト、清水宏保さんをゲストにお迎えしました。
清水宏保さんは、1974年、北海道帯広市生まれ。
オリンピックには、94年リレハンメルから2006年トリノまで4大会連続出場。
98年の長野大会では500メートルで日本人初の金メダル、1,000メートルで銅メダルを獲得。
2002年のソルトレーク大会では、500メートルで銀メダルと、オリンピックで3つ目のメダルに輝かれました。
35歳で現役引退され、2017年からは、カーレースにドライバーとして参戦。
また、フィットネスジムや介護施設を経営され、実業家としても成功されています。
今回はリモートでお話を伺っていきました。
──北京オリンピックまであとおよそ1ヶ月。冬になったりこのオリンピックイヤーになると、ちょっと“心がざわつく”とかあったりしますか?
そうですね。本当に、4年に1度の慌ただしい時期が来たなっていう嬉しい思いと、なんかこう、すごい緊張感が蘇ってきますね。
これからオリンピック選考会も控えてますし、2月まであと少しと迫った中で、選手たちの成績も報道で見ていますし、その中でどれぐらいの選手が世界と戦っていけるのかなという、期待感、不安感がたくさんあります。
──そして、驚いたんですけれども、清水さんはレーシングドライバーに転身。これはスケート選手時代から、車には興味があったんですか?
19歳、20歳ぐらいの時に、スケートを辞めてレーシングドライバーになろうかなと思った時期があって。スケートを辞めてイギリスに行って、車のそういう(レーサーになるための)学校に入って、本格的に目指そうかなと。
──そんなに早くから! それぐらい、レーサーというものにに興味があった、なりたいものの1つであった?
そうですね。実際、長野オリンピックの1年2年ぐらい前からそれを考えていて。長野オリンピックは僕が金メダルを獲った時のオリンピックなんですけど、それが終わったらスケートをスパッと辞めてイギリスに行こう、まで考えてたんですよね。そしたら金メダルを獲っちゃって、辞めれなくなっちゃった(笑)。
──それはもう、周りが止めますよね(笑)。
僕も“これ、辞めれないな…”っていう感じでしたね(笑)。
──どちらもタイムを競う、スピード感のあるものではあるんですけれども、一方、清水選手はあれだけハードなトレーニングですごい太腿を作り上げて、エンジンは自分なわけじゃないですか。かたやレーシングドライバーは、もちろんチームとしてエンジンを開発するんだけれども、レース中はアクセルを踏んだら進んでいく。何か対極にある感じがしたんですけれども。
全く違うものなんですけど、似ている部分は、どちらも同じコースを何周もして、その中で、同じことが再現できないんですよ。同じように走ろうとしても走れないし、スケートも同じように滑ろうとしても滑れないから、タイムが同じ、もしくは速くなったとしても、全てが成功しているわけではないんですよね。必ずどこかにミスがあって、そのミスを削っていかなければいけない。
あとは、どちらにも共通して言えることは、最速のライムを狙う上で、全力で挑まなければいけないし、その中ですごく興奮してきて、モチベーション、コンセントレーションが高まっていくんですけど、あまりそれを高めすぎてしまうと、大きなミスをしてしまって、コースアウトしてしまう。だから、そこをいかに抑えるか、自分の気持ちをコントロールしていくか。すごく緊張もするし、それが高速領域で行われるから、余計に難しくて、けっこうそれが面白かったりもします。
──お話を伺ってると、確かに似てますね。ラップごとにタイムを削っていく感覚。ただ、カーレースの場合は、コースによってかなり違うじゃないですか。スケートの場合、基本的にはどこに行っても同じですよね?
そうなんですけど、実はスケートも天候によって違うんです。外の天候が変われば、氷の温度“氷温”というものが変わってきて、また湿度によっても変わる。
それと、時間が経てば経つほど、氷って変化していくじゃないですか。フィギュアスケートとかを見ていただいたらわかるんですけど、必ず何時間かに1回、整氷作業、氷を整える作業をするんですよね。あれは水を撒いてるんじゃなくて、お湯を撒いてるんですよ。氷を削りながら、その上に表面にうっすらお湯を撒く。そうすると氷が溶けて整っていくんです。そうすると、今度は氷の表面が変わっていくので、最初は柔らかいけど、時間と共にどんどん下から冷却パイプで冷やされて、硬くなっていくんですよね。
氷温がマイナス2度とマイナス10度とでは、全然違う氷。アスファルトの上を歩いてるのがマイナス10度で、芝の上を歩いてるような感覚が、マイナス2度とか4度とか。それぐらいの違いがあります。
──さて、レーサーとしては、最初はトヨタの小型車・ヴィッツのレースに参戦されて、そして86(86/BRZレース)。ラリーにも挑戦された。
そうなんですよ。哀川翔さんの方から「レースはどう? 興味ある?」ってお声掛けいただいて、「ぜひやりたい!」ということでやらせてもらって。今年はどこまで一緒にできるかわからないですけど、できるだけ多くのレースに参戦したいと思っています。
──当然、求められるドライビングテクニックは(レースによって)変わっていくわけですよね。
トヨタのヴィッツにしても86にしても、コースの下見とか、何度か練習走行とかがあるので、(本番では)大体そのコース感は頭に入ってるんですけど、ラリーの場合は、1度しか練習走行できないんです。知らない山に前日に入って、その日1度軽く走って、もうその数時間後に全力で走るので、ぶっつけ本番なんですよね。
だから、“どれだけテンション高めでいくか”とかそういうことではなくて、“どれだけ自分のアドレナリンを抑えて、なるべく速く安全に走りきるか”。この間、翔さんは思いっきりコースアウトしていましたけど(笑)。
──ちょっとあまりアドレナリンが出過ぎない方が良いような気がしますけど(笑)。
そして86の方では、中日や楽天活躍された元プロ野球バッターの山﨑武司さんと知り合ってらっしゃるんですか?
ライバル関係で競合わさせてもらっていまして。あとはフィギュアの小塚崇彦君や無良崇人君とかも実は参戦してるんですよね。元スポーツ選手がけっこう参戦してきていて、普段争ったことのないメンバーで争っているから、面白いですね。
──清水さんはスケート選手時代、めちゃくちゃハードなトレーニングが有名だったんですけれども、今、ドライバーとして何かトレーニングで追い込まれていたりするんですか?
そんなに追い込んだトレーニングはしないんですけど、やっぱり体重は少なければ少ないほど良いので、ある程度の減量はしていきます。ただやっぱり、昔ほどストイックになれなくて。北海道は美味しいものがたくさんあるから、食べ過ぎちゃうんですよね(笑)。気を抜いたらどんどん太っていっちゃいますね(笑)。
──さて、この番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。清水さんの心の支えになっている曲を教えてください。
季節的にということもありますけど、レミオロメンさんの「粉雪」ですね。北海道に雪が舞ってくると、本当にグッと来るものがありますね。
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