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Athelete News
21.12.18
「メジャーリーガー・大谷翔平」を徹底分析!
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今週の「Athlete News」は、野球評論家の高橋由伸さんをゲストにお迎えしました。

高橋由伸(たかはし・よしのぶ)さんは、1975年生まれ、千葉県出身。
桐蔭学園高校、慶應大学を経て、1998年、ドラフト1位で読売巨人軍に入団。
チームの中心選手として活躍され、現役生活18年間で、ベストナイン2度、ゴールデングラブ賞を7度獲得。
2015年の現役引退後、3シーズンに渡って監督も務め、現在は、野球評論家として活動されています。



──前回、番組に来ていただいたのが、2019年の1月(2019年1月19日1月26日放送)で、それからおよそ3年。何かつい最近来てくださった印象だったんですが。

僕もそんな感じがあるんですけども。(前回は)監督を辞めた直後だったので、それからもう3年も経つのか、という感じですね。

──評論家としての3年間というのはどうでしたか?

当然、気持ちも(監督時代より)少し楽になっているので、野球を見る角度というか、見え方も全然違うなと思いました。ただ、いろんなスポーツを見たり、いろんな国や場所に行きたいなと思っていたのが、ちょうどコロナ禍ということで制限がかかってしまったので、思ったよりいろんな行動はできなかったなとは思いますね。

──そういった意味で、あっという間だったのかもしれないですね。2年間はコロナ禍だったということですものね。
今日は、二刀流で大活躍を見せたエンゼルスの大谷翔平選手について伺いたいと思います。満票で(アメリカンリーグの)MVPに選ばれるなど、今年大活躍の大谷選手ですが、バッターとしてのすごさというのは、どういうところにあるんですか?


まず、体の大きさ。当然パワーがあるし、足も速いじゃないですか。あと、スイングスピードですよね。これがもう抜群に速い。大きな身体を速く動かせる人はなかなかいないです。体の大きさとパワーとスピードが合わされば、それは当然大きな力になるので。だから、メジャーリーグの中に入っても、打球速度もそうですし、飛距離もそう(引けを取らない)。もちろん技術的な部分も、当然、理にかなったフォームで打っているんだと思いますが。

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──193センチあるその長身を感じさせないぐらい、身体の使い方がしなやかですよね。

本当に無駄がないですよね。(メジャーリーガーの選手)全体も大きいので目立たないというのもあるかもしれないですけど、でも彼ほどスピードを出せる選手は、メジャーリーグにもほとんどいないのかなと思います。

──数年前にメジャーリーグで起きた「フライボール革命」(ゴロ打ちではなく、よりヒットの確率を上げるためにフライを打ち上げることを推奨する打撃理論)によって“バレル率”というのがクローズアップされていますが、去年の大谷選手のバレル率が10.7%で、今シーズンが23.2%。
この“バレル率”というのは、打球速度が98マイル(約158キロ)以上で打球角度が26度から30度の中に入っていると、ヒットになる確率が高い。だから、その中に入ってる打球を打ちなさいというのが“バレル率”なんですが、これが(大谷選手は)今シーズンは大幅に増えていて、この数字が出るようになった2015年以降では2017年のシーズンのアーロン・ジャッジ選手が25.7%で歴代1位だったんですが、(大谷選手は)それに次ぐ歴代2位。


僕はアーロン・ジャッジを間近で一度見たことがあるんですけど、彼と変わらないということがすごいですし、スピードとかもそうなんですが、やっぱり技術も高いと思うんですよね。ちゃんと芯で打たないと打球の速度も出ないですし、丸と丸がぶつかるわけですから、角度も良い角度で捉えないと。そういうところも(大谷選手は)今年は良かったんですよね。

──さあ、一方、ピッチャー・大谷投手のすごさも聞きたいと思います。

彼は160キロを超えるストレートを投げますが、メジャーリーグに行くと160キロを投げる選手は他にも大勢いるので、僕は彼の一番良いボールは、スプリットというかフォークボールだと思うんですよね。それが一番空振り率も高いのかなと思っています。
今年一番良かったのが6月ぐらいからですかね。やっぱり少し球数を減らさなくちゃいけないということで、ストライクを多く投げるようになったので。
それまでは、どうしても三振をとろうとして球数が増えたりフォアボールも多くなったりして、なかなか長いイニングで投げられなかったり勝ちが付かなかったりということもあったと思うんですけど、途中からしっかりストライクゾーンの中で勝負し始めたので、球数を抑えられたというのが、今シーズン最後までいけた一番の要因かなと思います。

──途中から明らかに投げ方が変わりましたよね。

そうなんです。思いっきり投げてはいるんでしょうけども、少し力感がなくなったというか、それは感じますね。
不思議なのが、「良かったシーズンをそのまま続ければいいじゃないか」という選手もいれば、「さらにレベルアップしよう」と(プレースタイルを)変える選手もいるので、来年、大谷選手がどういったスタイルで臨むかというのも楽しみですよね。

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──今シーズン、ベーブ・ルース以来の2桁勝利、2桁ホームランを期待されていましたが、ピッチャーとしては最後10勝には届かず9勝止まりだったんですけれども、来シーズンはいかがですか?

僕は、今年以上にできるんじゃないかなと思っています。今年1年でなんとなくペースも掴めたでしょうし、何よりも、普通の選手は…例えば僕とかだったら、最後(10勝目を狙って)無理してもう1試合2試合、投げに行ったと思うんですよ。

──もう1試合チャンスがあったのに、回避したんですよね。

だから、もしかしたらそういったところにこだわりがないというか、数字というよりも、1年間きっちり打って投げてをやり切る、ずっと同じペースでやるんだということが、彼の中で一番のモチベーションだったのかもしれないですね。

──2桁勝利と2桁ホームランではちょっとレベルが違いますもんね。

しかも、2桁と言ってもホームラン王争いですからね(笑)。

──ホームランは怪我さえなければ2桁は間違いなくいくじゃないですか。でも2桁勝利はやっぱりチーム力との兼ね合いだったりもしますし、エンゼルスはちょっとブルペン陣が頼りないところも…。

だから、勝ちゲームをひっくり返されたり。まあでも、それがメジャーのスタイルなので、そこはしょうがないかなと思います。

──あと、今シーズン、チームの顔のトラウト選手が怪我でいませんでした。彼が来シーズン戻ってきたら当然チーム力もアップしますし、2桁勝利がグッと近づくんじゃないですか?

そこは当然、チーム力が上がればその可能性も強くなってきます。ただ1つ心配なのは、優勝争いをしだした時に、果たしてどこまでそのペースを保って戦えるのかということですね。これは日本的な考えなんですけど、終盤で勝負がかかったり優勝がかかると、ちょっと無理してでもいってもらったりする時があると思うので、そうなった時にどこまで体が持つかなという心配はちょっとありますよね。

──でも逆に、今期のエンゼルスは最後、成績がちょっと伸びなかったこともあって、めちゃくちゃ敬遠が増えたじゃないですか。勝負をさせてもらえない。

あとは後ろのバッターであったり、チームの打線の問題も当然出てくるので…これは難しいですね。

──ご自身もコメントしてましたけど、やっぱり優勝を狙いたいんだ、ワールドシリーズに出たいんだって強くおっしゃっていましたから、成績よりもチームが強くなることの方が目標なんじゃないかと思います。

そう思ってると思います。本当に試合を野球を楽しんでるなという気がしますし、僕らも楽しんでいないわけじゃないんですけれども(笑)、さっき言ったように、どこかで“仕事”という部分があって…半分以上かな、“苦しい”という感覚なので(笑)、それを感じさせないのがすごいなというか、羨ましいなと思いますね。

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──今シーズンの活躍でいろんなチームから研究されてくると思うんですけど、来シーズンはどうなると思いますか?

でも、今シーズンですら研究はされつつの戦いだったと思いますから、そこを彼の力で乗り越えて来れていますので、その辺は心配ないと思いますね。一番はどうしても体の負担や怪我なので、そこだけかなと思います。

──「由伸監督」だったら、大谷選手はどのような起用をしてみたいですか?

大谷選手が日本ハムの時代からメジャーリーグに行ってすぐぐらいの時にもよく聞かれたんですけども、当時は、僕は「バッターで使いたい」と言ってました。
それは何故かと言うと、毎日使いたいから。毎日使えた方が戦力にもなりますし、やっぱり「大谷を見たい」と思って来る人が多いでしょうから、“見せる”という部分ではバッターなら毎日見せられるなと思っていましたし、まあ、投げれるならたまに「投げてくれ」と言うことはあるもかもしれないですけど、優勝争いをする、しないとなった時に、僕はセ・リーグの監督だったので、(セ・リーグには)DH(指名打者)がないから、(二刀流の大谷選手を)どこまで上手く回せるのかな、という。大谷君の場合はDHがあるということが非常に大きいので、もし大谷君がセ・リーグの野球にいたとして、どうやって使うかなと…。

──今シーズンも何回かありましたけれども、ピッチャーじゃない時は、外野を守らせるしかないわけですからね。

そうなると、二刀流という使い方は、どうするんだろう、難しいな…という。考えちゃいますね。

──もしくは、由伸監督がパ・リーグに行くか(笑)。

ああ…。そうすると使い方はまた色々想像しやすくなりますよね(笑)。

──さて、この番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。高橋さんの心の支えになってる曲を教えてください。

ケリー・クラークソンの「ストロンガー」という曲です。
これは、僕が現役の最後の方で打席に入る時の登場曲だったんですけど、歌詞の内容が「辛いことや苦しいことが逆に自分の力になるんだ」という、そのフレーズがいいなと思って使ったんですけど、最後まで聴いていくと失恋の歌だったみたいで(笑)。

──そうなんですよ(笑)。だからすごく気になって(笑)。まあ、失恋で苦しい思いをしてもより強くなろう、というね。

そうなんです。だから「失恋」の部分は取って(聴いて)ください(笑)。


今週のゲスト、高橋由伸さんのサイン入り色紙を1名様にプレゼントします!
ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしていただくか、
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