今週の「Athlete News」は、新体操団体の日本代表「フェアリージャパン」のキャプテン、杉本早裕吏選手をゲストにお迎えしました。
杉本早裕吏(すぎもと・さゆり)選手は、1996年、愛知県生まれ、トヨタ自動車所属。
2013年、高校2年の時にフェアリージャパンの団体メンバーに選ばれ、翌年、キャプテンに就任。
2015年の世界選手権りぼん団体では、40年ぶりの快挙となる銅メダルを獲得。
2019年の世界選手権では、団体総合銀メダル、種目別ボールの金メダルを含め3つのメダルを獲得。
東京オリンピックでは、2016年リオ・オリンピックに続く8位入賞を果たされました。
今回はリモートでお話を伺っていきました。
──東京オリンピック、お疲れ様でした。でも、もうすぐ10月27日から31日までオリンピックと並ぶ新体操の世界一決定戦・世界新体操が北九州で開催されるということで。プログラムは、東京オリンピックと同じプログラムなんですか?
同じプログラムです。でも(東京オリンピックとは)メンバーが違って、若い子たち中心になるので、ちょっと難しい部分とかはあるんですけど、今しっかり練習しています。
──いつも「フェアリージャパン」として動いているメンバーは10人?
そうですね。10人いる中で、(試合に出るのは)5人。みんなライバルとして、誰が踊っても良いように練習をしています。
──でも当然、選ばれる選手によって、フォーメーション、自分の踊る場所は変わっていくわけですよね。5つのポジションの踊りを全部覚えるということですか?
(踊る場所が)大体決まっている人は大体その場所なんですけど、怪我とかしてしまったりしたら、補欠の選手が入ったりするので。補欠の選手は、5人全員の場所を覚えておかなければいけないです。
──どこでも入れるように。大変ですね。それにしても新体操って、本当に神業ですよね。あの見事なキャッチは、やっぱりひたすら練習するしかないんですか?
そうですね。もう感覚とタイミングをつかむしかないと思うので、反復練習の繰り返しですね。
──お互いに相手に投げてキャッチするっていうのは、仲間を信じてないとできませんよね。
そうですね。信頼関係がないとできない競技だと思います。
──フラフープとかだと、やっぱり相手の取りやすい角度とか、そこまで考えて投げたりするんですか?
角度だったり、あと、クラブには回転数とかもあるので…。
──あれはどうやって合わせるんですか?
あれは自分の手の力によって(回転数を)変えられるので。強く投げたら回転数が多く回ったり、ちょっと弱く投げたら回転数が少なくなったり…というのを考えて、いつも練習しています。
──そのコミュニケーション取るためにも、1年中フェアリージャパンのみなさんはずっと共同生活をされてるんですよね。
はい。(1年間のうち)もう350日近く一緒にいるので、今回オリンピックが終わって2週間ぐらいお休みをいただいた時も、やっぱり寂しくなっちゃって、連絡を取り合っていたりとか(笑)。少し離れただけでも、なんかちょっと心がざわざわするというか。本当に家族みたいな存在なので、離れると少し寂しくなってしまいます。
──仲間でもあり、でもその中から、団体の場合、出場できる選手は5人。ライバルでもある。何か不思議な関係ですよね。
そうですね。共同生活をしている時は、家族みたいにすごく大切な存在なんですけど、でもやっぱり体育館に入って演技をしている時はライバルでもあるので、そこの接し方の区別をするのがすごく難しいと思うんですけど、でも本当にチームみんな良い子たちばかりなので、すごくやりやすいですね。
──2019年に行われた世界選手権では、団体総合で銀メダルを獲得。この直後にこの番組に畠山愛理さんにお越しいただいて、団体で金メダルを取ることがいかに大変か、素晴らしいことかということを教えて下さったんですけれども、本来ならば去年、東京オリンピックが開かれていた。もしそうだったら勢いがあって…とか、色々思ってしまうこともあると思うんですけれども、やはり延期になった影響というのは大きかったですか?
そうですね。私自身の体も持つかどうかも不安な部分もあったので、1年延期と聞いた時には、“1年後、自分はあの舞台で踊れるかな”という不安はあったんですけど、でも1年延期になったことで、もっともっとチームの質を高める練習時間が増えたとプラスに捉えて、チームで常に前向きに練習に取り組んでいました。
──“踊ることができるのかな”というのは、年齢的に、というですか?
年齢的なこともあったし、痛いところとかも増えていたので、ちゃんとケアしながらうまく1年後を迎えられるか、という不安がすごくありました。
──コロナ禍の間は、やはり大会などもなかったんですか?
なかったですね。2020年は本当にずっと練習ばかりで、私たちはいつもは海外に(遠征に)よく行っていたので、ずっと日本にいるのもすごく変な感じがしていましたし、やっぱり海外のチームの選手たちがどのぐらいのレベルでやっているのかというのもわからない状況だったので、少しオリンピックに向けて不安はありました。
──“試合勘”みたいなものが、やっぱり試合がないとちょっと不安になりますよね。
試合勘も忘れてしまうので。新体操はやっぱり人に見られる競技であるので、ワクワクする感じとかも、試合に出た時に、“あれ、こんな感じで良かったっけ?”ってなってしまうことも、今年はありました。なので、やっぱり試合を経験するというのは大切だなと感じました。
──フェアリージャパンのみなさんは、去年のコロナ禍でも共同生活を送っていらっしゃったんですか?
約2ヶ月間は練習している施設が閉鎖されたので、各自の実家で、(家でも)少し動けるもの、体を動かせるものをやっていました。
──ご自身にとってはリオ・オリンピックに続く2度目のオリンピックとなりましたけれども、オリンピックってどんな舞台ですか?
私は今回2大会目で、(前回のオリンピックとは)やっぱり違う緊張感がありました。自分の中では“自国開催を強く意識しないようにしよう”と思っていても、どこかで自分の中でプレッシャーをかけていたというか、“自国開催だ!”って思い込んでしまっていたことが、ミスとかにも繋がってしまったのかなと思っていて、せっかくのオリンピックだったのに心から楽しめなかったのは少し後悔が残ってしまっているので、もう1度(試合に)挑戦できるということで、もっともっと楽しめたらいいなと思っています。
──そうですよね。続いての大会も自国大会になりますから、今度は本当により楽しんで演技できるかもしれませんよね。
さて、この番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。今週も、杉本早裕吏選手の心の支えになってる曲を教えてください。
嵐の「カイト」という曲です。
──これは東京オリンピックのテーマ曲ですけれども、出場される側だと、なかなか聴く機会がなかったんじゃないですか?
オリンピック前は本当にテレビも見ていなかったので、あまり聴く機会がなかったんですけど、オリンピックが(今年)開催すると決定してからはよく聴いていました。本当に良い曲だなって、いつも癒されてました。
──本当に大変な状況でどういう風に(オリンピックが)開催されるかわからない中、そして自国開催というプレッシャーの中、闘った経験というのは確実に自分の糧になるわけですから、これからさらに飛躍してほしいなと思います。
最後に、新体操の魅力をリスナーのみなさんに伝えてください。
新体操は、技の数々を色々な曲調に合わせて次々と繰り出しながら踊るんですけど、そこがすごく魅力です。私も新体操の魅力をたくさん伝えられるようにこれからも頑張っていくので、みなさんにも新体操という競技を少しでも見ていただけたら嬉しいです。
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