今週の「Athlete News」は、東京オリンピックの競泳日本代表・川本武史選手をゲストにお迎えしました。
川本武史(かわもと・たけし)選手は、1995年生まれ、愛知県出身の26歳。
5歳から水泳を始め、中学3年で全国大会優勝。
強豪・愛知の豊川高校時代は、2、3年の時に100m背泳ぎでインターハイ連覇。
中京大学進学後、本格的にバタフライに取り組み、3年の時、世界水泳日本代表となりました。
大学卒業後は、トヨタ自動車に入社。
ことし2月には100mバタフライで5年ぶりに自己ベストをマーク。
4月の日本選手権、決勝では51秒25のタイムで2位、派遣標準記録を突破し、東京オリンピックの代表に内定しました。
今回はリモートでお話を伺っていきました。
──川本選手は前回のご出演が2019年の4月、およそ2年ぶりの登場となります。まずは東京オリンピック代表内定おめでとうございます。率直に、代表内定が決まった時のお気持ちはいかがでしょうか?
ほっとした気持ちが一番です。いろんな人が応援してくれているのはわかっていたので、自分のためというのももちろんあるんですけど、応援してくれている人たちのためにも、まずはオリンピックの内定が出てほっとした気持ちです。
──川本選手の(4月の日本選手権の)準決勝でのタイムが、日本記録に並ぶ51秒00と。これは高速水着時代の2009年の記録ですので、かなりの好タイムですよね。
そうですね。この記録は、前回2016年のリオ・オリンピックのタイムと比較すると銀メダル相当のタイムで、2019年の世界選手権のタイムと比較しても銅メダル相当のタイムなので、すごく好記録なのかなと思います。
──泳いでいる時に手応えというのはあったんでしょうか?
そうですね。周りに選手がいなかったので、まあ速いんだろうなっていう感覚で泳ぎました。
──そしてその後、決勝ではやはり日本記録更新というのは意識されていたんでしょうか。
(準決勝で)日本記録タイ記録だったので、正直少し悔しい部分はあったので、決勝でこの記録を更新できるように取り組んだんですけど、少し泳ぎが固くなってしまって、タイムを少し落としてしまいました。
──その「固くなってしまった」というのは、色々と考えすぎてしまった部分があったんですか?
そうですね。もともと自分の持ち味は集中力なんですが、他の選手を意識したりタイムを意識したりするとその集中力が少し欠けてしまうので、(他の選手やタイムを意識してしまったことは)あまり良いことではなかったかなと思います。
──ただ、東京オリンピックと同じ会場での好タイムというのは、自信になったのではないですか?
「東京オリンピック」なので、オリンピックの中でも特別な大会になると思いますし、(東京オリンピックは日本選手権と)同じプール(東京アクアティクスセンター)なので、他の海外の選手に比べて同じプールで泳げているというアドバンテージは大きいと思います。
──ここに至るまでを今振り返って、“この時苦しかったな”というのは、特にいつ頃でしたか?
自分がトヨタ自動車に入社して1年目の、2017年の年がすごく苦しかったなと思います。
──それはどういったことがあったんでしょうか?
入社してすぐの2017年の4月の日本選手権、これは世界選手権の代表の選考がかかっていたんですけど、その時にはもちろん代表を獲得するために全力で練習はしていたんですが、代表権を獲得するどころか決勝にも進出できないというかなり不甲斐ない結果に終わってしまったんです。地元の愛知県での特別な日本選手権で、地元のプールですごく意気込んで行った試合だったので、その結果がすごく悪くて、自分の中ではすごく落ち込みました。
──その後、転機となった出来事というのは何だったんですか?
実はもう1つ壁がありまして、2017年の7月にサッカーをしていて転倒してしまって、怪我をしてしまったんです。骨折だったり肘の靭帯を痛めてしまって、そこから泳げない期間が続いてしまったので、すごく苦しい時期だったんですけど、そこからの転機があったのは、2018年の9月です。「社会人選手権」という、社会人だけで行う全国大会があったんですけど、そこで自己ベストに迫るような好記録で泳げたので、自分の中で“戻ってきたんだな”という感覚と、“精神的に強くなったな”という感覚がありました。
──その翌年の夏、リオ・オリンピックの金メダリストのジョセフ・スクーリング選手(シンガポール)との練習もありましたよね。
ジョセフ選手は、僕と同じ種目の100mバタフライの、リオ・オリンピックの金メダリストなんですけど、すごくドルフィンキックが上手なんです。自分も武器がドルフィンキックなんですけど、自分よりもすごい武器を持っているなと、隣で練習させてもらって改めて肌で感じることもできましたし、思っていたよりも自分が練習で(ジョセフ選手に)勝ったり負けたりを繰り返していた(競ることができていた)ので、すごく自信になりました。
──お互いに良い影響があったと思うんですけれども、具体的にどんなことを得ましたか?
ジョセフ選手は、もともとアジア人離れした体格を持っているんですけど、足首とか脚が意外と細いんですよね。キックが強い選手ってすごく脚が太いイメージがあると思うんですけど、実はそうではなくて、脚がすごく細くてすらっとしているんです。(ジョセフ選手の)その脚を使ったキレのあるドルフィンキックは、1回を打つ速度がすごく速くて、多分、素人でも見ていて“綺麗だな”と思うようなフォームをしていたので、自分はまだ荒削りな部分はあったのかなと。ちょっと力任せに打っていた部分あったので、そのしなやかさをより追求していけたらなと思いました。
──川本選手は、ウエイトトレーニングも見直されたりしているんですよね。
そうですね。自分がいま行っているトレーニングがすごく特殊なトレーニングで、速度計を利用したウエイトトレーニングなんですけど、1回の挙上速度を測れたり、1回ごとの挙上したパワー値も出るような機械を利用してウエイトをしています。
──それはご自身発信で「こういうことをやりたい」と提案したんですか?
もともとは、自分のコーチがそういう新しいものにすごく敏感な人で、「1回試してみてくれ」と言われたんですが、それが自分の中でも腑に落ちて、“これは将来性があるトレーニングだな”と思ったんです。自分でもいろんな論文を読んだり先生などの話も聞いて、“多分、これが最先端のウエイトトレーニングなんだな”と確信したので、今もそのトレーニングをしています。
──コーチは提案をするだけで、最後に決めるのはやはり川本選手?
そうですね。あくまでコーチは、料理で言ったら「こういう道具があるよ」とか「こういう材料があるよ」というのを提案してくれる存在だと思うので。その中で、自分がシェフとなって調理していく、という感じかなと思います。
──あと、川本選手は“とある競技”からヒントを得て、その動きをウエイトトレーニングに取り入れたという話も伺ったんですが。
そのウエイトトレーニングの機械を使用しているのが、ラグビーのニュージーランド代表の「オールブラックス」というチームなんですけど、ラグビー選手って体が大きいので、(トレーニングで)重量をすごく上げるというイメージが一般の人はあると思うんですけど、実はそうではなくて、軽い重りをいかに速く上げられるかということに重点を置いてトレーニングをしていたんです。彼らが自分の今使用している機材を使ってトレーニングをしているということもあって、(オールブラックスと)同じようなトレーニングだったり、より水泳に特化した動きの中での速い速度のウエイトトレーニングなどを行っています。
──さあ、番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。川本選手の心の支えになってる曲を教えてください。
K-391の「END OF TIME」という曲です。自分がウエイトトレーニングとかをする時によく聴いている曲なんですが、ちょっとかっこいい曲だったりテンションが上がる曲を聴きながらウエイトトレーニングをすると頑張れる気がするので、この曲を選びました。みなさんにも気に入ってもらえる曲だと思うので、ぜひ聴いてみてください。
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