今週の「Athlete News」は、フィギュアスケート・日本女子のエース、紀平梨花選手をゲストにお迎えしました。
紀平梨花(きひら・りか)選手は、2002年生まれ、兵庫県西宮市出身、トヨタ自動車所属。
5歳でスケートを始め、ジュニア時代、トリプルアクセルで一気にその名を知られるようになりました。
2018から19年シーズンは、シニア1年目ながら、グランプリファイナルで優勝。
2020年の全日本選手権では、自身初の4回転サルコウに成功し、連覇を達成。
日本女子のエースとして、来年の北京オリンピックへまい進中です。
今回は紀平選手にリモートでお話を伺っていきました。
──さあ、北京オリンピックのプレシーズンが終わりました。ただ、北京オリンピックと言う前に、新型コロナウイルスの影響というのが多大だと思うんですけれども、どのような1年でしたか?
いつものシーズンとはまた違った1年だったんですけど、試合が少ない分、練習に力を入れることが出来て成長は出来たかなと思いますし、数少ない試合を一生懸命やることは出来たかなと思ってます。
──シーズン最初の頃は、“いつになったら試合が始まるんだろう”といった先の見えない不安があって、練習でもモチベーションを維持するのは難しかったんじゃないですか?
そうですね。いつ試合があるのかというのが本当にわからない感じで、試合が予定されてもそれが中止されてしまったりして、その次の試合が本当にあるのかどうかというのも信じられない気持ちだったんですけど、それでもやっぱり練習は続けて頑張ってこれて、その中でも、今シーズンからスイスで(練習を)やることになって、また新たな環境で過ごして、(今シーズンは)頑張りきれたかなとは思っています。
──去年の12月の全日本選手権で連覇をされました。そして、4回転サルコウを初めて成功させての優勝。4回転を決めた時のお気持ちをお聞かせください。
4回転は「試合で決めたい」とずっと言ってきたジャンプで、“いつかは跳びたい”と強く思っていましたし、今シーズンは本当に試合数が少なかったので、全日本選手権で“ここで決めておかなきゃいけないな”というくらいの気持ちで挑んだので、成功出来て本当に嬉しかったですし、これからも続けて跳んでいけるように練習していきたいなと思っています。
──4回転をやると決めて挑む時というのは、“ワクワク感”なんですか? それともやっぱりプレッシャーなんでしょうか?
どちらもあまりなくて。(4回転は)“やるべきこと”という感じなので、特に感情は持たずに、“ここで決めるべきものだから、どう考えてどうイメージして持って行けば良いのか”ということだけ考えて挑みました。
──プログラムの中にジャンプであったりいろんな要素が入ってますけれども、その1要素でしかないと。“あ、もうそろそろ4回転が来る!”とか、直前になって“跳べるかな?”みたいな、そういう感情はなかったですか?
“4回転だ!”とは思いましたけど(笑)、でも、直前は完全に無になって、公式練習でこのリンクで跳んだ感覚だけをイメージして、あとの感情は一切無くして跳びました。
──女子のフィギュアスケートも、今は4回転の時代に突入しました。紀平選手はこうなることを予測して早くから準備をしてきたんですか?
ジュニアの時から、同じ(ジュニアの)選手が4回転をたくさん跳んでいるのを見ていたので、シニアに上がったらさらに(4回転を)跳ぶ選手も増えてくると思うし、トリプルアクセルを跳ぶ選手ももっと増えてくるんだろうなと思っていたので、その時から心の準備と、私もそれを跳ぶためのトレーニングだとか、そういうものは考えていました。
──先ほどもちょっとおっしゃってましたけれども、去年の夏からスイスに拠点を移されたんですか? どういったきっかけだったんでしょうか。
そうです。前からスイスには合宿に行っていて、その時からお世話になっていたリンクだったんですけど、そこにまた昨年も合宿に行って2週間強化(練習)をして、その時に「この後ももう少しここに居させていただけないか」ということを聞いて、それで居させてもらうことになりました。やっぱりトレーニング内容とかが今までと違って、これをずっと続けていったらすごく力が付くんじゃないかなと思ったので、スイスに拠点を移しました。
──指導してくださる方が良かったということですか?
それもありますし、リンクの環境も、少人数で、気温とか滑りやすさというのも良かったですし、全ての部分で成長できそうな気がしたので、拠点を移しました。
──そして紀平選手の代名詞と言えばトリプルアクセルですけれども、新たに片手で側転をする振り付けが大きな話題になりました。これはどんなことから“やってみよう”と思われたんですか?
初めての振付師の方にショートプログラムを振り付けてもらったんですけど、その時に「何か特別のものを入れたい」と言って、色々なアイデアを出していただいたんですけど、全部難しくて全然出来なかったんです。でも、片手の側転は“技”と言っても良いぐらいのインパクトがある振り付けだったので、やりたいなと思ったんですけど、やっぱり氷に手をつくというのが…ツルツル滑るので中々勇気が出ないですし、手をついたらすごく滑って、こけそうになったり実際にこけたりして本当に大変でした。両手でまずやって、そこから片手でやって、中々出来なかったんですけど、(練習していたら)出来て、その時に“やろう”って決めました(笑)。
──ちなみに、これは採点されない技だと伺ったんですけれども。
そうですね。採点には影響がないもので、振り付けの一部という形で入るので。
──倒れたりしたら、減点にもならないということですか?
もちろん減点になります。転んだりミスをすると減点にはなるんですけど、インパクトがある技なので、加点要素としても、スケーティングとか全体の演技構成点の部分で少しは点数が上がる可能性はあります。ただ細かく何点という風に決められた技ではないので、入れなくてもいいんですけど、インパクトもありますし、みんながやっていないことをやりたいと思うので、入れることができて良かったなと思ってます。
──荒川静香さんのイナ・バウアーや宇野昌磨選手の(クリムキン)イーグルとか、採点にはならないけれども…という(持ち技が)ありますけれど。紀平選手の片手側転にも名前をつけたらどうですか?(笑)
うーん…わからないです(笑)。
──さて、この番組では毎回ゲストの方にcheer up songを伺っています。紀平梨花選手の心の支えになってる曲を教えて下さい。
いきものがかりさんの、「心の花を咲かせよう」という曲です。(いきものがかりは)昔からけっこう聴いていて、その中でもこの曲は、ただの日常に感謝できるような、あとはもう自分が心から頑張ろうって思えるような、勇気づけられるような歌になっています。
──去年からの新型コロナウイルスの影響で、普段何気なく過ごしていた日常生活が本当にありがたいことなんだなって再確認できましたしね。その感謝の気持ちを込めてということですよね。
この曲を聴いていて、本当に全ての歌詞に考えさせられるというか、こうやって普通に過ごせていること自体に感謝しなきゃいけないなと思いますし、大きな戦争が起きずにこうやって生活ができているということ自体、本当に素晴らしいことだと思って、何事も諦めずに感謝の気持ちを持って毎日過ごしたいと思わされましたし、悩んでいても前を向いていけるようになると思っています。
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