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Athelete News
21.03.27
これからも自分を超え続けていきたい
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今週の「Athlete News」は、先週に引き続き、オリンピック3大会連続出場を目指す、陸上十種競技の右代啓祐選手にインタビューを行いました。

右代啓祐(うしろ・けいすけ)選手は、1986年、北海道生まれ。
中学時代に陸上競技を始め、高校3年の時に八種競技に転向、国士館大学で本格的に十種競技を始め、頭角を現しました。
2010年に日本選手権で初優勝し、以降、2015年まで6連覇、おととしまで最多8回の優勝を誇ります。
2012年ロンドンオリンピックには、この種目で日本人選手48年ぶりの出場を果たしました。
2014年には、8308点を挙げ自身の持つ日本記録を更新、アジア大会では金メダルを獲得。
2016年リオオリンピックでは、日本選手団の旗手も務められました。
2021年の今年、3度目の東京大会を目指しています。



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──さて、右代選手にとっては、2012年のロンドン、2016年のリオ、そして次の東京オリンピックが3度目のオリンピックとなりますけれども、その参加標準記録が8350点。右代選手の自己記録でもある日本記録、8308点の更新が(オリンピック出場への)第一歩となりますが、これはかなり高いハードルになるんでしょうか?

そうですね。年々競技レベルが上がって、標準記録も上がっているので。
十種競技の(オリンピック)出場枠が24枠で、今の自分の世界ランキングが24位なので、一応出場の圏内にはいるんです。でも、第一優先はこの(標準記録の)8350点を取ることになってきますし、この点数を越えれば世界ランキングが10番代に上がりますので、まずは8350点じゃなくても、“自分の持っている8308点という点数を超える”ことが今年の目標です。

──過去に、“百獣の王”武井壮さんの指導を受けたことがあるとか。

初めて日本記録を出したのが2011年なんですけれども、2009年から2011年にかけての2年間、武井壮さんにコーチをしてもらったことがあります。陸上以外の練習も含めてみっちりとしごいてもらって(笑)、“武井壮イズム”を植えつけてもらったことが、大きく自分の競技観や考え方(に影響を与えて)、今にも生きるものをたくさん指導してもらいました。

──特に印象的な武井さんの言葉はありますか?

「陸上だけやっていても強くならないぞ」と言われた言葉を今でも大事にしています。
武井さんがマット運動をトレーニングに取り入れて、「ちょっと逆立ちをやってみろ」と言われたんですけど、全くできなかったんですね。「逆立ちすらできない奴が陸上の技術を語るな」ってかなり厳し目に言われたんですけど(笑)、“確かにそうだな”と思って。
逆立ちって、すごくシンプルじゃないですか。「体を逆さまにして支える、そしてそのまま停止するというのは、立っているのと同じポジショニングにあればいいのに、それすらお前はできないんだぞ。まずそこから考え直そう」と言われて、倒立して、倒立歩行をして、それこそ、それまでできなかったバク転ができるようになったりとか。そういったところで“身体を動かす引き出し”みたいなものを増やしていって、陸上の練習をしなくても、陸上の能力、身体をコントロールする能力を養うことができたのは、武井さんのおかげかなと思いますね。

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──先日は野球のフォームを(ツイッターに)投稿されまして、大変話題になりましたけれども。ダルビッシュ投手も絶賛されていましたが。

ビックリしましたね(笑)。ダルビッシュ投手は同い年で、尊敬しているスポーツ選手なんですけど、まさか褒めていただけるとは思わなかったです。
もともと野球はそんなにやったことがないんです。陸上に「やり投げ」という競技があって、野球ボールよりもやりを投げることの方が多かったので(笑)あまり自信はなかったんですけど、ウォーミングアップでよくキャッチボールをしていて、たまたま(ツイッターに)載せたものがすごく反響が良くて。ダルビッシュさんがリツイートしてくれたおかげでどんどん拡散されていって、一瞬で今まで稼いだことのないリツイート数がついて、痺れました(笑)。

他のスポーツから学ぶことも多いですし、それこそ野球だけじゃなくて、例えばゴルフをやったりボルダリングにも挑戦させてもらったり、いろんなスポーツをやって、“何か十種競技に繋がるものがないかな”ということを模索していまして。
全てのスポーツにおいて、“力のオン・オフ”というか、力を入れたり抜いたりという瞬間があって、それがわかった瞬間にパフォーマンスがグッと上がったりするので、その瞬間って(十種競技と)一緒だなと感じる部分もありましたし、初心者で初めてやる競技を教えてもらった時に、めちゃめちゃ褒めてもらえるんですよ(笑)。
僕も陸上競技を始めて21年になるんですけど、この歳になって褒められることって、ほぼ無いんですよね。コーチも含めて、周りの視線が“できて当たり前”という感じなので。だから、ただ野球ボールがキレイに真っ直ぐ飛んだだけで「あ、すごい!」とか「今のは人間離れしている!」とか言われると、もうたまらなくて(笑)。久しぶりに、“人に褒められるのはこんなに心地良いことなのか”と感じましたね。

──ゴルフとかもされているんですね?

この間、ほぼ初めてゴルフをやって、10球目ぐらいで300ヤードぐらい飛んで、「これ、本気でやったらけっこういくぞ」みたいな話になったんですけど(笑)。

──すごい飛びましたね!?

そうなんですよ。まだ未開発なスポーツがたくさんあるので、(挑戦することで)どんどん自分に能力をつけて、自分の本競技の方も上げていきたいなと思っています。
繋がりがあれば絶対にどちら(のスポーツ)も上に上がっていける自信はあって、新たな目標が1個も2個も増えていって、楽しい挑戦でしたね。

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──では今週も、右代選手のcheer up songを伺いたいと思います。右代選手の心の支えになっている曲を教えてください。

竹原ピストルさんの「オーバー・ザ・オーバー」です。
娘の友達の家族から、「右代さんにピッタリのソングがあるよ」ということで、曲を送ってもらったんです。それが「オーバー・ザ・オーバー」だったんですけど、“超えることを更に越えようとする”みたいな歌詞があって、それが今の自分にピッタリだなという感じで、鳥肌が立って。
先週話させていただいたゆずの「虹」もそうなんですけど、自分が練習に行く前や気持ちを上げたい時はこの曲を聴いて、“これから練習に行くぞ、超えるぞ!”という気持ちで挑むのが定番で、車の中で良く聴く曲なんです。
そういった想いがあって、この曲を選曲させていただきました。

──「オーバー・ザ・オーバー」は“超えろを超えろ”、先週のゆずの「虹」は、サビに“超えて 超えて 超えて”という歌詞がありますけれども、右代選手には“自分をどんどん超えていきたい”という想いがあるんでしょうか?

そうですね。それこそ中学生の時の自分を考えると、全国大会に行ったこともないし、ただのデカい少年だったんですね。でも、本当にコツコツと練習して、負けたりいろんな失敗を経ながら“成長しよう”とやっていった成果が、中学の自分を超えて、全国大会に出てオリンピックに出て…という(今に繋がった)。
その“自分が自分を超えていく姿”を何度も見ていますし、世界に出るところまで来たので、集大成としてメダルはなんとしてでも手に入れたいものですし、“超える”ということは上を目指すこと、前に進むことだと思っているので、これからも超え続けていきたいなと思っています。

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今週のゲスト、右代啓祐選手のサイン色紙を1名様にプレゼントします!
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