今週の「Athlete News」は、スポーツライターの小関順二さんをゲストにお迎えしました。
小関順二(こせき・じゅんじ)さんは、1952年、神奈川県生まれ。
プロ野球のドラフト戦略の重要性を説き、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立されました。
また、ストップウオッチを使った打者や走者の走塁、キャッチャーの2塁へのスローイングなど、各種タイムを紹介したのも、小関さんが初めてです。
高校野球、大学野球、プロ野球と日本の野球を知り尽くし、Numberやスポーツ紙のコラムなどで執筆され、野球ファンから絶大な支持を受けています。
──今月1日、コロナ禍の中でのキャンプインとなりました。シーズンを占う意味で、新戦力を見つけたりとか、キャンプにはいろんな楽しみがありますよね。
そうですね。特に前半は若手の腕の見せ所なので。ベテランはゆっくり調整しますけど若手は出てくるので、中盤ぐらい、2月10日過ぎぐらいが面白いですよね。
──去年のドラフト会議で注目されたルーキーたちについて伺いたいのですが、まずは4球団競合の末楽天が獲得した、早稲田大学出身の早川隆久投手。即戦力としての期待が高いんでしょうか。
もう完璧な即戦力で、楽天の投手陣の先発は、今年はマーくん(田中将大投手)がどうかというのはありますが、全体的に高齢化してるので…。
──ベテランの涌井(秀章)投手、岸(孝之)投手、則本(昂大)投手。素晴らしいピッチャーですけれども、確かに年齢層は上がってきましたよね。
ここに田中投手が入ってすごいことになると思うんですけど、比重がちょっと田中投手にちょっと傾いて、3人が楽になりますよね。それに、この早川投手が負担を減らすんじゃないですかね。それぐらい能力が高いと思いますよ。
──もうこれはいきなり、1年目からローテーションに入ってくると。
ローテーションに入ってきて、2桁ぐらいは勝てるんじゃないかなぁと思います。
──2桁勝ったら、新人王が見えてきますよ。
見えてきますね。本当にすごいんですよ。毎年「すごい」と言われるピッチャーはいるんですけど、このピッチャーはすごくコンパクトに楽に投げていて、楽に腕を振って、フォームに極端な癖がないんですよ。はねたり捻ったり開いたりとかがなくて楽に投げていて、本当にすごい球がいくんです。
──もともと木更津総合高校の時から注目されていたピッチャーではありますけれども、球速がかなりアップしましたもんね。
そうですよね。155km/hぐらいですよね。毎回150km/hぐらい出るんですよ。
助走をつけたり無茶苦茶な投げ方をして155km/hとかだと別に感心もしないんですけど、(早川投手は)本当にコンパクトで理にかなったフォームでそのぐらいのスピードを出していって、なおかつスライダーも2種類ありますし、チェンジアップみたいなボールもありますしね。まずコントロールがいいんですよ。コントロールが良くて、変化球が緩急同じフォームで投げられれば、もうプロで問題ないと思うんですけどね。
──でも、フォームが綺麗すぎる、素直すぎると、バッターにとってタイミングが取りやすいということはないんですか?
取りやすいと思いますけれど、タイミングというのは、ステップにいってから投げるまで間がありますので、そこで若干狂わせることはできると思うんですよ。
──“球持ちが良い”みたいな。
良いですね。まとまっていて恐怖感はないかもしれませんけど、コンパクトなフォームで胸元スレスレで投げれば…ナチュラルな荒れ球じゃなくて、荒れ球を演出することもできますよね。
──そんなに完成されたピッチャー! これは即戦力どころじゃないですね。
そうですね。僕は「即戦力でありながら将来性もある」というような表現をするんですけど。
──じゃあ、今後のプロ野球界を担っていくピッチャーという。
楽天は若干、チーム力が全体的に下り気味だと思っていたので、この選手の入団はすごく大きいですよね。
──さあ、同じく4球団が競合の末阪神が獲得した、近畿大学出身の佐藤輝明選手。この選手はどんな選手ですか?
柳田(悠岐)選手みたいに、ミートポイントが非常にキャッチャー寄りで。つまり、ちょっと遅れても差し込まれ気味でも逆方向に押し込むことができるんですよ。
──スイングスピードもあるし、パワーもある。
パワーはありますね。ただ、“即戦力”というか、柳田もなんだかんだ言って4年ぐらいかかってますからね。そのぐらいはかかるんじゃないかと思いますけれども。
──体型が素晴らしいですよね。187cm96kg。さきほどお名前が出ていた柳田選手は、今のプロフィールで188cm96kg。入団した時にはもっと線が細かったことを考えると、(佐藤選手は今の柳田選手と)体重的にもまったく遜色がないですね。
今は大学はウエイトトレーニングも食事トレーニングも以前とはまったく違いますし、機器も揃っているので、最近は高校生でも大学生でも、身体作りでプロで苦労をするということはあまりないんです。だから割とすぐ、ポンっと活躍する選手が多くなりましたよね。
まず身体を大きくしないと、飛距離も出ないし球も速くならないわけですよね。走り込むとどうしても痩せますから、速い球が投げられない、遠い所に打てないということになって、“ランニングは良くないんじゃないか”ということが、今言われています。
──本当ですか!?
はい。花咲徳栄高校が、選手(の身体を)を大きくしようと思ったんですけど、大きくならなかったんですよ。それで専門家を入れて、「ちょっとメニューを見せてください」と言われて見せたら、一目で「あ、これは走らせすぎですから身体は絶対に大きくなりません」って言われて、走らせるのをやめたそうです。
そうしたら身体が大きくなって速い球が投げられるようになって遠くまで球が飛ぶようになったんです。
──そして、この番組にもゲスト出演してくださった、トヨタ自動車から広島に入った社会人ナンバーワン、栗林良吏投手はいかがですか?
素晴らしいですね。去年の都市対抗野球で観たんですけど、大学の時にも観ていますが、やっぱりカーブがあるというのがいいですね。球は150km/hを超えて速いんですけど、広島の森下(暢仁)投手みたいな、ああいうカーブを投げるんですよ。
──ちょうど1年前に広島にドラフト1位で入って、2桁勝利で新人王も獲った森下投手に似ている。
そうですね。球種も似ていますね。フォームは若干、森下投手がゆったりしているという違いはあるんですけど、あの縦のカーブというのはちょっと予測できないボールですよね。あまり今はない球種なので、打とうと思って、ストレート待ちで、例えばスライダーとかチェンジアップだったら手が出るかもしれませんけど、カーブは止まっちゃうんですよね。これを持っているというのは大きいですね。
──名城大学で元中日ドラゴンズの山内(壮馬)コーチと出会って、山内コーチが(栗林投手に)「カーブを投げてみろ」と言って授けた球だという。
山内コーチも、プロで一時期活躍して、怪我もして…って、いろんな経験をしていますからね。
──栗林投手には去年インタビューをさせていただいたんですが、その時に「チームの即戦力になりたい」と仰った時に目つきがガラッと変わったんです。チームの即戦力としてはどうですか?
新人王は、早川がパ・リーグなら、栗林はセ・リーグ(の新人王候補)だと思います。
──去年の森下(暢仁)投手に続き?
と、思いますね。今、広島はピッチャーの人数が足りていないというのが正直なところなので。特に抑えがいないので、抑えの方に行ったらいいんじゃないかなと思ってるんですけどね。
──先発ではなく、中継ぎ、そして抑えの方に。
今はもうリリーフ陣がどれだけ整備されているか、というのがチーム成績を左右しますので、ちょうど(広島には)いないんですよね。
──でも先発したら、森下投手みたいに2桁勝利してくれるかも、と思うと、それはそれでチームに貢献してくれそうな気もするんですけど(笑)。
しますけどね(笑)。でも、リリーフから先発っていうのはよくありますから、それはそれでいいんじゃないでしょうか。
──まずそこでプロに慣れていく。そして短いイニングだったら思い切っていけることもあるでしょうしね。
そうですね。それで自信をつけて先発に戻って…というのも、実際に鈴木孝政さんとか小松(辰雄)さんとか星野(仙一)さんでもそういう使われ方をしてましたので、それはアリじゃないですかね。
──栗林投手がどのように起用されるか注目したいなと思います。その他に小関さんが期待するルーキーはいらっしゃいますか?
日本ハムの伊藤大海という、ドラフト1位の選手。これも楽しみですよね。この選手は高校を卒業して駒沢大学に入ったんですけど、“自分には合わない”ということで、系列なんですけど苫小牧駒沢大学の方に入り直してるんです。つまり1年今の同学年の選手より歳が上なんですけど、これが実に球も速いし変化球も鋭いし、日本ハムもやっぱり抑えがいないので、そこにピッタリ入るかなと思ってるんですけれど。
──今年のプロ野球も大いに期待できますよね。ありがとうございました!
ありがとうございました。
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