今週の「Athlete News」は、パラトライアスロンで今年の夏、メダル獲得を目指す、宇田秀生選手をゲストにお迎えしました。
宇田秀生(うだ・ひでき)選手は、1987年、滋賀県生まれ。
NTT東日本・NTT西日本所属。
小学校から大学までサッカー一筋で、高校時代には、滋賀県代表として選抜されました。
大学卒業後は、建設会社に就職。
しかし、2013年、勤務中の事故で右腕を失いました。
その半年後、リハビリの一環としてパラトライアスロンを始め、2戦目の「アジアパラ トライアスロン選手権」でみごと優勝。
国際大会でも上位入賞を果たし、2017年7月には世界ランキング1位に上り詰めました。
今年の東京パラリンピックでメダルを目指します。
──去年10月に行われた、パラトライアスロンワールドカップで2位! おめでとうございます!
ありがとうございます。単純に嬉しいですけど、やっぱり1位が良かったなというのが正直なところです。
──ワールドカップということは“世界で2位”なわけですから、誇れる部分もありつつ。
そうですね。悔しさもありましたけど、久しぶりのレースだったので。やっぱりそこが大きかったですね。
──やはり、新型コロナウイルスの影響は大きかったですか?
色々“コロナ仕様”に変わっているところがいっぱいありましたね。
──その間、トレーニングがなかなかできない時期もあったんですか?
みなさん、そうやって聞いてくださるんですけど、人生で1番練習したかもしれないです(笑)。
──(笑)。もしかしたらそれがワールドカップの成果に繋がったのかもしれないですね。
そうですね。強くなった実感がありましたね。
──子供の頃の夢はJリーガーだったとか。 高校時代は滋賀県代表ということで、相当お上手だったんじゃないですか?
小学校の頃からずっとサッカーばかりやってました。中学生の頃から今の体型のままで比較的大きい方だったので、サッカーをしてもわりと有利でしたね。一生懸命やってました。
──そして2013年、ご結婚をされて5日後に、仕事中の事故で右腕を失ったという。当時26歳で奥様のお腹の中にはお子さんもいらっしゃった。やっぱり相当大きな出来事だったわけですよね。
そうですね。「良く言うと“サプライズ”」って言ってるんですけど、そこから僕の人生は大きく変わりましたね。
──幸せの絶頂の、その5日後に…。“あまりにも神様は残酷だ”とは思いませんでしたか?
残酷…とは思わなかったですけど、結婚してもうちょっと幸せな時間を過ごしたかったですよね。
──ただ、そのすぐ後にトライアスロンに挑戦しようと思われたとか。
いきなりトライアスロンではなかったですけど、最初は水泳から始めまして。
──やっぱり、奥様の支えや言葉があったからこそ切り替えられたんですか?
そうですね。入院している時から「これはパラリンピックに出られるね!」みたいなことを2人で話していたので、そこから前に前に進むようになりました。
──なかなか1人だと切り替えられないかもしれないですけれども、一緒に人生を歩いてくれる、支えてくれる人がいるというのは大きかったんじゃないですか?
“歩いていくぞ!”って決めて5日目でしたからね。でも本当に助けてもらいましたね。
──その入院されていた時には、具体的に何の競技で(パラリンピックに出るのか)というところまでは考えていなかったんですか?
そこまでは決めていなくて、本当にざっくり、“パラリンピック”というワードが出てきましたね。
──リハビリの一環として水泳をされて、そこからトライアスロンに通じていく…ということですか?
そうです。泳げるようになって、ずっとサッカーもやっていたので走るのも得意だったですし、“じゃあ、あとは自転車に乗ったらトライアスロンができるんじゃない?”みたいな、わりと軽いノリの中でやっちゃいましたね(笑)。
──ただでさえマラソンとかでも大変なのに、トライアスロンって言ったら“超大変”みたいなイメージじゃないですか(笑)。そういう抵抗みたいなものはなかったんですか?
考える前にやっちゃったので、やり始めてから“これ、やっぱキツイな”って思いましたけど(笑)、引くに引けないというか。“もう自転車も買っちゃったしな”とか思いながら(笑)。でも今は本当にトライアスロンが好きです。
──デビュー戦でいきなり準優勝。そしてデビューした2ヶ月後にはアジア選手権に出場されるわけですもんね。選手としてはトントン拍子で進まれていますよね。
トントン進み過ぎましたよね(笑)。もうちょっとゆっくりいきたかったですけど。
──トライアスロンは、どういうところが大変なんですか?
基本的に、時間も長いですししんどいスポーツなんですけど、泳いで自転車に乗って走って…と3種目あるので、日頃の練習量とかが大変ですね。
──時間配分とか。確かに1つの競技だったらそれに特化して練習すればいいんですけど、やっぱり3種目あるから。
トレーニングメニューの組み立てだったりとか、そういうところの難しさもあるかもしれないですね。
──自分の苦手な部分を克服していくのか、長所を伸ばしていくのか。どういうトレーニングを積まれているんですか?
どちらもですね。スイムがちょっと苦手なので、今はスイムにわりとウエイトをおいてトレーニングをやっていますけど、もちろんバイクもランも、もっともっと鍛えないとダメかなと。
──いわゆる自然の海とかで泳ぐわけですよね。プールで泳ぐのとは違って自然の中ですから、波があったり風があったり、そういう泳ぎづらさもあるんじゃないですか?
めっちゃありますね(笑)。それ(自然の海の環境)にめっちゃ弱いんです。プールだとわりといい感じに泳げるんですけど、(海だと)波とかうねりとかのせいでやられちゃいますね。
──海外選手って、背の高い、体格の良い選手が多いですよね。やっぱり、小柄だと流されやすいとか、風の影響を受けやすいみたいなところもあるんでしょうか。
どこのレースに出ても大体僕は1番小さいんですけど、スイムが1番(体格差による影響が)大きいかもしれないです。海外選手は手も足も大きいので、まるでフィンを履いて泳いでるみたいな。めっちゃ進んでいくんですよね…(笑)。それが辛いですよね。
──だって、最初はスイムから入るわけですよね?
そうです。スタートしていきなり。僕も頑張ってないわけじゃないんですけど、(海外選手は)どんどん前に行きやがりますね(笑)。
でも、小さい人が大きい人に勝つっていう方がロマンがありますよね。
──長時間のレースの間、泳いだり走ったりしながらどんなことを考えていらっしゃるんですか?
僕は、常に1つ先の動きをずっとイメージしながらやっていますね。泳いでる時は、次のバイクに移る時の自分の動きだったりとか、ライバルの位置やタイムだったりとか。
──レース展開を見ながら、やっぱりそういう“切り替え”というのが重要になってくるんですか?
そうですね。イメージしておかないと、いざとなった時に対応できないので。そういうことを考えているのが半分と、もう半分は“早く終わってくれないかな”っていう思いもあります(笑)。
──この番組では、毎回ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。宇田選手の心の支えになっている曲を教えて下さい。
back numberさんの「ヒロイン」です。すごく単純なんですけど、普通に“良い歌”ということで(笑)。
トレーニングが終わって、お風呂に入ったり車を運転している時に歌うと、単純に気持ちいいというか。
──「ヒロイン」を選ばれたので、やっぱり支えてくれる奥様に捧げる歌なのかな、なんて思いましたけど。
それ、なかったな〜(笑)。そうしときましょう!(笑)
──長時間の練習が多いと思うんですが、そういう時に音楽を聴かれたりはするんですか?
あまりしんどくないメニューの時にはよく聴きますね。聴ける余裕がある時には、音楽が好きなので。やっぱりキツくなってくると、無理ですよね(笑)。
今週のゲスト、宇田秀生選手のサイン色紙を1名様にプレゼントします!
ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしていただくか、
Facebookのアカウントをフォローしてコメントをしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
過去1週間分の番組が無料でお楽しみいただけるradikoタイムフリー
番組を聴いて気に入ったら、SNSで友達にシェアしよう!
「
1月23日(土)OA分の放送はこちら」