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Athelete News
20.09.05
「スポーツを止めるな」でより良い学生スポーツの世界を
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今週の「Athlete News」は、ラグビー元日本代表で、一般社団法人「スポーツを止めるな」の代表理事を務める野澤武史さんをゲストにお迎えしました。

野澤武史さんは、1979年、東京都生まれ。
慶應大学ラグビー部では、大学日本一に貢献。
3年生の時には、日本代表にも選ばれました。
卒業後は、神戸製鋼コベルコスティーラーズに加入。
2009年に現役を引退後され、ユース世代の育成や、トップリーグの解説でも活躍。
そして、今年7月に発足した一般社団法人「スポーツを止めるな」の代表理事を努めていらっしゃいます。



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──ラグビーと言えば、5年前のワールドカップ・イングランド大会、そして去年の日本大会。空前の“ラグビーブーム”じゃないですか?

そうですね。ありがたいことに、ファンの方も増えて認知度もすごく上がっている状態だと思います。本当に嬉しいですね。会社にいても、おばちゃんに「昨日、ラグビーすごかったわね!」と言われたり、(ラグビーの話題を)世間話にも使えるようになりましたね。

──野澤さんは幼稚舎から慶應で、大学で日本代表に選ばれていらっしゃる。文武両道でエリート街道をまっしぐらですよね。

大学の時は日本代表に選ばれてプレーすることができたんですけど、実は大学3年生の時に選ばれたのが最後で、そのあとは神戸製鋼というチームでプレーしていました。

──名門ですよね。

実は、その時(神戸製鋼時代)は一度も代表に選ばれなかったんです。神戸製鋼でもほとんどスタメンになれなかったので、“大学時代に順風満帆にやっていた時期”と“自分が選手として苦労した時期”のどちらも味わえた現役生活だったので、今となっては良かったなと思いますね。

──そして引退された後に、MBA(経営学修士)を取得されたんですね。これはもともと取ろうと思っていらっしゃったんですか?

いえ、全然取ろうとは思っていませんでした。母校である慶應大学のヘッドコーチをやらせていただいたんですが、それが任期の途中で終わった形になって、心にぽっかりと穴が開いてしまったんです。そうしたら、うちは家業がありますので、一緒にコーチをしていた先輩から、「(家業で)どうせビジネスもやるんだろう。だったらそっちを今学んでおいたらいいんじゃないか」と言われて。

“MBA ”って何の略かもよくわからない、何を学ぶかもわからないんですけど(笑)、とにかく体験会に行ってみたら授業が面白くて。“反転授業”と言いますか、全て先に宿題が出ていて、(授業では)それをただただ3時間ぶっ通しで生徒たちで議論するんですよ。
それがラグビーの試合に似ているんです。“言葉の試合”じゃないですけど、経営って、やる・やらないを最後に決めたり、「他のオプションはないか」みたいな話をしていくんですけど、それを仲間にぶつけながら授業が展開されていくということが、もう面白くて。
この時はラグビーのコーチをしていたんですけど、ラグビーで学んだことをMBAで使って、MBAで学んだことを今度はラグビーで使って…ということで、“壁打ちで速くボールが戻ってくる”みたいな感覚ですぐに学びを活かせたことが、すごく面白かったですね。

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──素晴らしいですね。そして、新しく発足された「スポーツを止めるな」。これはどういうきっかけで始められたんですか?

ラグビーの場合、3月の終わりに“選抜大会(全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会)”というものがあって、それが新3年生のお披露目大会になっているんですね。そこにいわゆる大学のリクルーターの方が来てリクルートする時期なんですけど、今年は(試合が)コロナで吹っ飛んでしまいまして。
僕は今、日本協会(日本ラグビーフットボール協会)でタレントの発掘を担当しているものですから、「このポジション、誰かいない?」みたいな電話を、(リクルーターから)すごくいただくようになったんです。“これはみんなかなり困っているんだろうな”ということと、現場の先生に聞いてみたら、「今年は全然(選手の)大学が決まらない」と。

──やっぱり試合がないと…。(選手もリクルーターも)お互い困ってるわけですね。

そうなんですよね。その中で、“何かをやってあげないといけない”と考えたのが4月の終わりくらいで、この『#ラグビーを止めるな2020』プロジェクト自体は、5月14日に、バスケの『#バスケを止めるな2020』と同時に始めたんです。
ツイッターに自分の良いプレーの動画をアップしてください、その時にハッシュタグ“#ラグビーを止めるな2020”と付けてください、そしたらそれを僕らが拡散しますよ…ということで、元ラグビー選手で有名な廣瀬俊朗さんとか、堀江(翔太)さんとか、日本代表の方とかもリツイートしてくださって、広げていって。その動画が何万回も再生されていく中で、僕もリクルーターの方に宣伝していくので、と。そういうことが、「スポーツを止めるな」の前段階としてありました。

──実際に高校生のみんなが投稿したということですか?

そうですね。おそらく、140〜150人ぐらいが投稿してくれたんじゃないかなと思います。高校の先生が投稿するというパターンがあったんですけれど、知り合いの高校の先生から電話がかかってきて、「これ、すごいですよ。動画を投稿して2時間ぐらいで、もう大学からオファーが来たんです」という話がありました。やっぱりその時は大学の方も情報がなかったので、(ツイッターの投稿を)見ていただけて。

──それを、ラグビー、バスケに限らずスポーツ全般で行おうというのが、この「スポーツを止めるな」ですか?

そうですね。5月30日にカンファレンスがありまして。ラグビー、バレー、ハンドボール、チア、バスケ、柔道からそれぞれトップの方とかが入ってこられたり、賛同していただいてる方と一緒にオンラインでカンファレンスをやりまして、その中で(どの競技も)同じような課題を抱えているということがわかったので、「これは継続的に責任を持って解決していこう」と。そうなるとやはり法人格を持った方が良いということで、それで7月20日に一般社団法人を立ち上げた、という経緯になります。

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──動画を投稿したい学生さんたちは、資格が必要とか、登録にお金が必要とか、何か条件はあるんですか?

選手やリクルーターの方には、今は全て無償でやらせていただいております。これまではSNSを使ってやっていたんですけど、これからはクローズな場所を作っていこうかなと思っています。
ラグビーなどはかなりクラブの締め付けがキツいのかなと思っていたんですけど、話を聞いてみると他のスポーツの方が全然厳しくて、まずもってSNS自体を禁止しているようなチームがたくさんあって。

──まだ(所属選手が)高校生だったりしますもんね。

そうなんです。だから動画がなかなか上がらなくて、そこはやっぱり安心・安全に自分をアピールできる場所を作ってあげなきゃいけないよね、ということで、今はそちらのシステムを開発している段階です。

──リクルーターの方もわざわざ地方まで行かなくても良くなりますし、“機会の均等化”って本当に素晴らしいですから、(コロナ禍が)収束した後も続けていってほしいですね。

“次のステージでやるために強豪に入るんだ”ということで苦労をしたり、“次のステージでプレーできなかった”とか、“なかなか勝てなかった、どうしていいかわからない”とか、そんな悩みを持ってる選手ばかりだったんです。自分はたまたま全国を回るチャンスがあったのでそれ(選手たちの悩み)を目の当たりにしたということもあって、「自分がもらった“良いもの”を、より良いバトンにして次の世代に渡したい」というのが、正直な気持ちです。

──ピンチをチャンスに変えたいですよね。

おっしゃる通りで、コロナがなければ僕はこの行動というのは取れなかったのかなと思っていますし、これを1つの契機にして、より良い学生スポーツの世界を作りたいなと思っています。

──この番組では、毎回ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。野澤さんの心の支えになっている曲を教えて下さい。

leccaさんの「My measure」です。
去年のワールドカップ2019の直前に、“にわかファンの方にもラグビーを知ってもらおう”というイベントを、エイベックスさんの力を借りてやりまして。それが、leccaさんのファンクラブの方と一般の方のイベントを合体してやるという、ちょっと面白いイベントだったんです。その時に初めてleccaさんの曲を聴いたんですけど、めちゃくちゃ良い曲で。“自分のものさしで生きていくんだ”というところにすごく共感しました。

──アスリートの方は特に、自分のものさしで生きていく、切り開いていくわけですからね。

(アスリートは)ともすると、人のものさしで生きやすいと思うんですよね。試合に出なければいけなかったりとか。でも、やっぱり自分なんだよ、と。そこに立ち返らせてくれるような曲だなと思います。

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今週のゲスト、野澤武史さんのサイン色紙を1名様にプレゼントします!
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