今週の「Athlete News」は、先週に引き続き、元ソフトボール日本代表監督の宇津木妙子さんをゲストにお迎えしました。
宇津木妙子さんは、1953年生まれ、埼玉県出身。
中学からソフトボールをはじめ、高校卒業後、実業団入りし、主に三塁手として活躍されました。
74年には、最年少で全日本代表として世界選手権に出場し、準優勝に貢献。
現役引退後は、日立高崎の監督に就任し、日本リーグで3度の優勝を経験。
日本代表の監督としては、シドニーオリンピックで銀メダル、アテネオリンピックで銅メダルを獲得されました。
現在は、ビックカメラ高崎のシニアアドバイザーや、日本ソフトボール協会副会長などを務め、ソフトボールの普及活動に取り組まれています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今回はお電話をつないでお話を伺っていきました。
──理想のソフトボールチームとはどんなチームですか?
全員が同じ目標に向かって、各々の良い部分を引き出しながら、選手が裏方の仕事もできるような、一致団結してやれるチームが最高だと思います。
ソフトボールって“チームスポーツ”なんですけど、やっぱり“個”が大事なんですよね。“個”が本当に1つになった時には、最高のチームができると思う。
やっぱり、“繋げられるかどうか”なんですよね。ソフトボールは1回から7回まであって攻守がある。内野、外野、バッテリーの連携も繋がりだし、打線のトップが塁に出て2番が送って3番が…みたいに繋ぐじゃないですか。「どう繋ぎながらチームが1つになれるか」ってことじゃないかなと思って、私はチーム作りをしてますね。
──長くいろんなチームを率いていると、“チームをひとつにしたい!”と思っても、なかなか上手くいかないこともありますよね?
反発する選手もいますからね。でも、その反発には何か原因があるわけですよ。選手は(耳を傾ければ)言ってくれますもんね。私の場合はノートを書かせていたので、そこにめちゃくちゃ監督批判を書いてくるんですよね。「監督は、あの子ばかり可愛がって!」とか、“そんな事ないだろ!”って思いますけど、逆にそういう素直な気持ちをノートに書いてくれることってありがたいし。
──言ってくれないと、やっぱりわからないですもんね。
そうですよ。だから、向き合いながら話し合うんです。自分の思いも伝えながら、一方通行ではダメだから、必ず選手の側の話も聞いて、時には言い争うことも大事だと思う。本音で話していて、たまには“何言っているんだ!”と思うこともありますよ(笑)。逆に“あっ、そういうことか!”と自分で気がつくことや反省することもありますね。
──現在、ソフトボールはアメリカと日本の2強状態。来年の東京オリンピックでも1番のライバルはアメリカですか?
今回のオリンピックでは、6カ国の総当たり戦の1回戦があって、最後はトーナメントの戦い方になる。最低でもリーグ戦で2位に入って、トーナメントみたいな形になるので、トーナメント方式で考えていく。対アメリカだけではなく5カ国対戦相手が決まっているわけだから、その5カ国に対してどういう戦い方をするのかが大事かなと思います。
私もシドニー(オリンピック)の時から、ただ“打倒アメリカ”で、アメリカのことしか考えていなかったんですね。逆にそこで(アテネオリンピックでは)オーストラリアにやられたなっていうのをすごく反省してます。
──オーストラリア、カナダも強いですし、1試合で決まってしまう怖さもありますよね。
「何が起こるかわからない」。これがソフトボールの魅力でもありますけど、絶対はないですから。だからこそ1日1日を大事に、自分がやるべきことをキチッとしていかないと、“やられてしまう”ってことです。
──上野由岐子選手が、北京大会から12年たった今でも日本のエースとして活躍しています。これはすごいことですよね。
彼女のすごさは、“覚悟をしている”ことですよね。“自分が投げなければ”ではないですけど、責任みたいなものを持っているし、いまだに色々なボールを研究している。そういう姿を見ると、“彼女はすごいな”って思います。最近は尊敬ですね。私たちも沢山の選手を見てきましたけど、彼女のソフトボールに対する姿勢や取り組みは、やっぱり秀でてますね。彼女がいるうちに、若手が頑張ってほしいなって思います。
──宇津木さんが注目している若手選手は誰ですか?
トヨタ(自動車女子ソフトボール部、レッドテリアーズ)に去年入社した後藤(希友)さんっていう選手がいるんですけど、彼女は左(利き)で良いですね。勢いがあるし。もう1種類、2種類の変化球をマスターすると良いんじゃないかと思いますけどね。
あと、上野の下でやっている勝股(美咲)選手も良いですね。
私が常に言うのは、“みんなそれぞれ違う”んですよ。
アテネ(オリンピック)の時は、高山(樹里)という大エースがいて、上野が入ってくるじゃないですか。その時に上野が高山選手をどう思ったかというと、"やっぱりすごい選手”と思ってたらしいんです。でも、上野は上野、高山は高山なんだと。
やっぱり、今の選手はそれくらいの気持ちでいてほしいですよね。
──宇津木さんが、東京オリンピックでソフトボール日本代表に期待することは?
もちろん、“金メダル”しかない。でも本当に何が起こるかわからないので、準備をしっかりしてほしいのと、今回は“復興五輪”というのを掲げているので、日本の頑張って来た10年を世界に発信してほしいと思います。
パリでは(ソフトボールは公式種目では)なくなるわけですから、どうか世界にソフトボールを観てほしいな。それもお願いしたいですね。
──面白い競技ですものね。
(ソフトボールは)人生みたいなものですよ。ピンチとチャンスがあって、その中で強い者が打つし、守るし、投げるし。でもミスをみんなでカバーして守りきったり、点を取られたら取り返すとか。そこには、戦う、グラウンドにいる人間だけでなく、観客や観ている人たちが一喜一憂して、一球のボールを手に汗握りながら観ている。私は“ソフトボールって人生と一緒だよな”っていつも思いますね。
──この番組では、毎回ゲストの方にcheer Up Songを伺っています。今週も宇津木さんの心の支えになっている曲を教えてください。
福山雅治さんの「わたしは風になる」です。
2000年のシドニー(オリンピック)の時に福山さんが取材で来てくれて、それから今だにお付き合いさせていただいています。もともと福山さんはスポーツ少年団のソフトボールチームに入っていたんですよ。ピッチャーだったんです。そんな昔話を前にしたことがあるんです。
そんな福山さんが、シドニーからアテネまでの(女子ソフトボール日本代表の)8年間を、カメラを持ちながら追ってくれたんですよ。シドニーで銀メダルを獲って「アテネでは絶対金を獲るね!」なんて話をしながらアテネに行って、結果、銅メダルになって、最終日に選手村で取材を受けたんです。その時は本当に“鬼の目にも涙”で、涙を流しながら福山さんにいろんな思いを伝えた時に、「福山さん、1曲歌を作ってくれませんか」ってお願いしてできた曲が、「わたしは風になる」なんです。
──1番最初は、どんな風に聴いたんですか?
最初に聴いたのは、年末のライブでした。ギター片手にハーモニカを吹いて…もう、本当に涙が出ました。自分のソフトボールにかける思いであったり、次の若い指導者へのバトンタッチであったり…そんな内容でしたね。
アテネが終わって“北京でもう一度頑張りたい!”と思っていた時の新旧交代もあったり、そんなことも福山さんには伝えていたので、いろんな思いを詞に書いてくれたと思います。
私の一生の宝物ですね。
今週のゲスト、宇津木妙子さんのサイン色紙を1名様にプレゼントします!
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