今週の「Athlete News」は、先週に引き続き、元女子柔道57キロ級 日本代表 松本薫さんをゲストにお迎えしました。
松本薫さんは、1987年9月11日、石川県金沢市のご出身。
6歳から柔道を始め、帝京大卒業後、フォーリーフジャパンを経てベネシードに所属。
女子57キロ級で2010、2015年の世界選手権優勝、2012年ロンドンオリンピック金メダル、2016年リオデジャネイロオリンピック銅メダル。
この年11月に結婚し、翌年6月に長女を出産。
そして、今年2月に現役引退を表明されました。
──野獣スタイルはいつから意識するようになったんですか?
世界を目指し出したのが大学で北京オリンピックの選考に落ちたときで。
その北京で補欠になったときに日本の選考会では勝ったんですけど世界で勝てる戦い方じゃないと世界にはまだ勝てないということで落ちてしまって。
世界でも勝てる柔道スタイルを貫く、作っていく段階で野獣スタイルになっていきました。
──それは自然と作られたんですか? それとも意識していたんですか?
自然というものと、意識してというのは両方ありますね。
例えば目線とかでも、顎を少し引いた状態でニヤッと笑うと怖い表情になるんです。戦う上で怖いって思うことが相手にとっては一番嫌なことなんですね。
──試合の流れを自分の方向に持っていくという意味も野獣スタイルにはあるんですね。
そうです。これを思いついたのが、ホラー映画の「貞子」っているじゃないですか。
あいつと戦うときはどうやって戦おうって考えたときに、怖いと思わせた方がいいんだっていうのはきっかけの一つでもありました(笑)。
──野獣スイッチを入れるルーティンがあると伺ったのですが、どんなルーティンなんですか?
野獣スイッチを入れるっていうのは女性のスイッチを切るっていう意味なんですけど、
例えば女性の手の使い方は、手の平を第一関節から曲げずに第二関節や第三関節でコップを持ったりするんですけど、男性は力が強いので、一番上の関節から握り込むように持つんです。
こういう小さなところから変えて変えていきます。柔道は握り込むとか、男性の動きがとても多い競技なので、どうやって男性に近づくかっていうのをやっていました。
──試合前のルーティンというわけではなく、普段から心がけているスイッチということなんですか?
そうですね。特に試合前は女性のするような仕草はしないことだったり、当時付き合ってた彼は今の旦那なんですけど、彼にも近づかないようにしていました。
──何かに取り組むときに何が一番大事だと思いますか?
何が必要かを本当に客観的にちゃんと見ること。ただ頑張る、ただ時間を費やす、ただがむしゃらにやるとかではなくて本当に必要なことを周りの人に合わせなくて自分だけの目線でちゃんと見ること。
人と比べてしまってやりすぎたりとか、人がやってるかやってたりとか、そういうのではなくて本当に自分にとって必要なことを自分だけの時間でちゃんとやる。そして、人と比べないでやりきること一番かなと思います。
──柔道をやる上で闘争心も必要だと思うんですけれども、闘争心の高め方、磨き方はどうしていますか?
簡単に言うと、山に篭ります。
私の場合、山篭りといっても高尾山が近かったので、朝日が昇る前に高尾山を走るんです。朝日も昇っていないので真っ暗なんですけど、何も見えない状態で走るので第五感以上の第六感まで研ぎ澄まして走ることが闘争心を作るのかなと思います。
──本能的なところを引き出したことも強くなれた要因なんでしょうか
私は第六感って言っているんですけど、相手が何を考えているのか先を読む。反応するっていう能力は一番大事にしてますね。
──松本さんが柔道を学んで得たもの、伝えたいことはなんでしょう?
好きから始めなくてもいいよということですね。
最初から好きを見つけてやりなさいというのはすごく難しいことで、好きなことがわからないということで私もずっと悩んできたので。
でも、好きなことからじゃなくても続けていれば何か掴めたりするし、自分にとってはすごく大切なものになったり、そういう風に成長してくれるものになるので、好きから始めなくても今やってることを大事にして頑張って欲しいなとは思います。
──番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。松本さんの心の支えになっている曲を教えて下さい
安室奈美恵さんの「Hero」です。
──金メダルを取ったロンドンオリンピックのときの楽曲ではなく、リオオリンピックの楽曲を選ばれたのには何か理由があるんですか?
やはり、負けたときの印象と、試合前にこの曲をすごく聴いていたんですけど、私なんかでは難しくて。
私の中では“ヒーローってなんだろう?”ってすごく問いかけられた曲だったんです。
私はみんなから見たらヒーローに見えるのかな、でも私自身はヒーローだとは思ってない。ただ夢に向かって走ってるだけだけど、でももしかしたらヒーローに見えてるのかもしれないなっていう思いと、
今までのただ頑張ってきた自分と、そうじゃない自分の立場を教えてくれたのがこの安室奈美恵さんの「Hero」でした。
この歌を聴いたときは印象深かったですね。
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