今週の「Athlete News」は、スポーツライター 小関順二さんをゲストにお迎えしました。
小関順二さんは1952年、神奈川県生まれ。
野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立、
さらにストップウォッチを用いて、
100分の1秒を争う陸上競技などタイムレースの面白さを野球に導入しました。
CS放送チャンネル スカイAで中継される
「プロ野球 ドラフト会議中継」では20年に渡って解説を担当されています。
高校野球、大学野球、プロ野球と日本の野球を知り尽くし、
Number Webをはじめ、スポーツ紙のコラム、小関さんが書かれた本は
野球ファンから絶大な支持を受けています。
──令和初の甲子園101回大会を振り返って、どんな印象をお持ちになりましたか?
ピッチャーが肩や肘を守るという意識が高くなってますので、準決勝と決勝の前で休養日が二日設定されまして。
ゆったりとした日程で投げていましたので、去年の吉田輝星みたいな酷な印象はなかったですね。
──去年のドラフト前にお越しいただいて、去年は根尾選手、藤原選手、吉田輝星選手など、注目選手のこと教えていただいたんですけど、
その時に他にも注目選手ということで、まだ2年生だった大船渡高校の佐々木郎希投手を教えていただきましたが、今年の春に163kmを出して日本で知らない人がいないくらい、注目選手になりました。
しかし、岩手の予選で決勝まで進んでも結局登板せず、そのことがあったことで甲子園はピッチャーの球数、系統とかにすごく注目が集まっていた気がします
そうですね。
──星稜高校も奥川投手を使わずに勝てた試合がありましたね
17-1で勝った試合ですね。あれは大きかったですね。あれで奥川投手を休ませることができて、履正社も清水というピッチャーを休ませて2年生は完投した試合があって。あれでだいぶ楽になったと思いますね。
──エースだけじゃなくて二番手三番手のピッチャーを育てる必要性を感じますね。決勝戦は履正社と星稜ですが、大阪勢が強かったですね
強かったです。結局、3シーズン連続大阪のチームが勝っているわけですからね。
──どうして大阪勢はこんなに強いんですか?
昔から言われてることなんですけど、中学生とか小学生の教え方がかなりスパルタで、今の時代から言うとちょっと時代にあってないみたいなこと言われるんですけど、それで結構鍛えられてるんじゃないかっていう人もいます。
──DeNAの筒香選手が、そういう指導方法はどうなんだって言われましたが、筒香選手も大阪出身ですよね。
すごくリトルリーグが強い大阪で、それがあるからこそ基礎が鍛えられて大阪が強いのか…。大阪に進めなかった人たちが全国の他の高校に行って底上げするわけですよ。
東北勢は大体そうですね。
履正社って全員通いなんですよ。合宿が閉塞された世界なんで嫌だという人は履正社を選ぶみたいです。
──今大会、審判の方が今までと違うという話を聞いたんですけれど…
半スイングとかでもバンバンストライク取っていましたね。
──それは何か理由があるんですか?
基本的には時短、時間をに自覚するという目的があって。
プロ野球のNPBの審判を一緒にやっている人に聞くと、そういうことは高校野球にも働きかけてるんだけど、前から言っている事なので、実際に行ったの今年の夏からかなとか思ってます。
──試合の展開とか盛り上がり方とかにも影響しそうですね
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、野球を面白くするのって審判のジャッジ一つでだいぶ変わるんですよね。
──奥川投手が智弁和歌山戦で三球三振を10個取ったりもしていました
かなりすごい数字ですね。審判の方も冷徹に機械になっていただいてジャッジするのが名審判だと思うんですけどね。
──そしてお話しにもあった星陵奥川投手ら高校BIG4と言われる4選手。
岩手の大船渡高校 佐々木朗希投手、石川の星稜高校 奥川恭伸投手、岡山の創学園高校 西純矢投手、神奈川の横浜高校 及川雅貴投手。
小関さんが取材して感じる凄さとは?
佐々木はストレートの力が圧倒的で、先日高校日本代表と大学日本代表が壮行試合を行って156kmを投げたんですけど、そのkm数じゃなくて、ボリュームというんでしょうか、ネット裏から見ていたんですけども、本当に圧倒的なんですよ。
フォームが独特と言われていますが、僕としては大谷みたいに1回ゆっくり下ろせたらとは思います。その方が力が溜まってすごい割れが生まれるので。
──あれだけ足を高く上げていて、ドンと落とす瞬間に投げた方が勢いが乗りそうですけど、実はタメを作った方がいいと
ステップに行きながらバシッと割れたらもっとすごいと思いますよ。
──一方、奥川投手。こちらはもうすでに出来上がっているのかなっていうような感じもあります
今の出来上がった状態がもっとスキルアップすれば、ストレートもスライダーの技量ももっとよくなるんじゃないかなと思います。
──すごくコントロールがいいピッチャーという印象があります
外角のスライダーの横の変化が大きいんですけども、ストライクゾーンに入るんですよ。バッターの近くで大きく曲がるので、ちょっと攻略は難しいですよね。
165球投げた智辯和歌山戦でストレートを78球投げて、平均が151kmというのは日本の高校生で初めてだと思います。
──速く投げるピッチャーはいますけれど、無理して投げずにそのスピードが出ているということですよね
ちょっと古い話ですけど、斎藤佑樹が早稲田大学のときにMAX150kmって言いたいために思い切り投げて150kmいったこともあるんです。それから最速150kmという看板が着いて回って…。
それが普通の感覚なんですけどね。
──そして、甲子園には出られなかった創志学園・西純矢投手。今年は大人になったという意見も聞こえてきました
大学日本代表とやった試合では叫んでなかったですね(笑)。技術、体力の面でも素晴らしい選手ですね。
楽天の則本選手を思い出しました。球が速くてスライダーがめちゃくちゃ切れるんですよね。
──そう考えると、高校生にしてみんな素晴らしいストレートを持ってますね
10年ぐらい前の高校生とは違いますね。
──そして、横浜高校の及川投手。こちらも甲子園には行けなかったんですけども…
及川も、今年になって調子がちょっと悪くて。ただ良いときも見てるので、潜在能力というかフォームがいいんですよ。
早く開いたりっていうのがないもんですから、良いフォームで良いストレートを投げるっていうのはそれだけで素質だと思います。
ただ、ドラフト一位で来るかな、というところが微妙なところです。
──これからのことを見て買い占めになる場合もあるかもしれないと
2位だったら大学行きますとか、そういうのはあるかもしれませんね。
その代わり、沖縄の興南高校の宮城という選手が代わりに浮上してきましたね。球も早いんですけど、スライダーが日本ハムの堀瑞輝投手を見てるみたいな感じですね。
背はそんなにないんですけども腕がガンガン振れて、150近い球と同じような腕の振りでスライダーがギュンと来るんです。振りが同じというのはプロになったら当然身につけないといけない技術ですけども、それが高校のときにできるというのはすごいことですよね。
──令和という時代に入ってはじめての甲子園となりました。
これからの甲子園の未来、高校野球の未来はどう進化していって欲しいですか?
特にピッチャーの負担が大きいので、ピッチャーを守っていく。高校2年半で100%完成させる必要はないんですよ。
──ただ、学校の名誉だったり監督の成績とかいろんなものを背負わされるときもありますからね
特に私立高校の監督は命を賭けているので、難しい問題ですよね。
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