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Athelete News
18.10.20
勝つためには必要な要素は「演じる」こと
今週の「Athlete News」は、先週に引き続き、箱根駅伝4連覇!青山学院大学駅伝部、
影の立役者 フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんをゲストにお迎えしました。
今回は“勝つためのメンタル”についてフォーカスして伺いました。

中野ジェームズ修一さんは1971年生まれ 長野県のご出身。
2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。
過去には、テニスの伊達公子さんの現役復帰をサポートしたり、
卓球の福原愛選手のパーソナルトレーナーでもあります。
早くからモチベーションの大切さに着目し、
日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとして多くのアスリートから絶大な支持を得ています。
『世界一伸びるストレッチ』、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』などベストセラーも多数。
そして、先月、徳間書店から
「ランナーのための自己ベストを出せる最強ウォームアップ講座」を出版されました。



──まずは、“メンタルの強い選手”という言い方をしますが、
“メンタルの強い選手”とそうでない選手の違いはなんなのでしょうか?


メンタルが強いか弱いかってないと思います。みんな同じなんですよね。ただ、メンタルが強いか、そうじゃないのかっていうのは、
自分の不安な気持ちであったり、怖いという気持ちを本番直前までの間にうまくコントロールができる、タイミングをしっかり合わせられるか、合わせられないかってことだけだと思います。
その選手がベストパフォーマンスを出せる状態はどうやって作ったらいいのかっていうのは、専門家が答えを持ってるわけではなく、その選手、またはその人自身の中に答えを持ってるんですね。
そこを自分でしっかり気づいてあげる、見てあげることが重要だと思います。
例えば、レースの前に自分がどういう環境だったら落ち着けるのか。どういう環境だったら心地いいと思うのか、っていうことを自分で考えたら答えはあるはずなんです。
レースの前に一人になってしまうと緊張してしまうと分かってるんだったら、誰か付き添いの人を一緒につけて最後までくだらない話をレースギリギリまでする。そうやって環境を作るべきなんです。
でも、一人になった方が緊張しない、リラックスできるんだったら一人の時間を作ればいい。または、曲を聴くと気持ちを落ち着けるのであれば曲を聴けばいいし。
聴く曲も激しい曲を聴いたらいいのか。静かな曲がいいのか。っていうのも人それぞれなんです。
いろんな選手を見ていても、直前のメンタルの作り方ってみんな違うんですよね。
ひたすら動き続けてる人もいるし、止まって座って目を閉じてる人もいるし、友達と喋っている人もいるし…。
自分にはどういう環境が良いのか、それは自分の中に答えが必ずあるはずなので、そこを見つけてあげることが大切かな、と思います。


──みなさん緊張していて、不安な気持ちがあるんですね。メンタルが強いと思われている人は演じているとのことですが、
分かり安いエピソードとして、トレーナーを務めている卓球・福原愛選手のエピソードをお話していただきました。


卓球という種目柄、点数を取られるとどうしても焦ってしまったりとか、負けてしまうって気持ちが表情に出てしまうんですね。
これはどんな競技でもそうだと思うんですけど、負けてるとか、追い込まれてるって思うと、それが表情に出てしまう。
確かにその気持ちは分からなくもないですし、そういう気持ちになってしまうのも普通だと思います。
ですが、対戦相手がいるスポーツなので、相手がそういう顔をしてくると相手は自信になるんですよね。追い込めた、という自信になると、自信を持った選手ほど怖いものはないんですよね。
自分の方が優位にいるって思わせた選手の方がどんどん強くなってきてしまう。積極的に攻めてくるっていうスパイラルにはまってしまう。
でも、実際に点数を取られてるわけですか。どうしたらいいかっていうと、演じるしかないんです。
心の中では負けてる。ヤバイ。と思っていても表情ではこいつ下手じゃない?、こいつ自分よりもサーブ下手くそだな、とか。思ってないけど、
そういう表情で相手を見るように演じるって事をしないと対戦相手がいるスポーツは勝てないのかな、って思います。
これはマラソンでもそうで。横で一緒に並んで走ってる時にわざわざあえてキツそうな表情したりとか、息を荒くしてみたりして、結構キツいんだよっていうところを相手にを見せるんだけど、そこから急に切り替えしたり、前に出て行ったり…。
逆に、相手は苦しがってて、自分も本当は苦しいんだけれども、できるだけ平気な顔して全然いけるぜって見せて、相手に自信をなくさせるとか…。
演じるということは、スポーツの世界にとってはすごく重要な、勝つためには必要な要素だと思います。メンタルって言うとカッコ良く聞こえるんですけど、
どうやって演じて、相手を騙すのか。そうすることで対戦相手に勝つってことはスポーツの世界では必要かなと思います。

── 演じることによって、自分がそこに騙されてくることもあるのかもしれないですね。
あと、やはり気になるのは、本番前の睡眠ですよね。スポーツに限らず、大事な本番前は、緊張して眠れない!なんて事よくありませんか? その対処方法について伺いました。


トップの選手でも、大きな大会の前の日とかは寝れなくなってしまうのは人間だったら当たり前だと思うんですよね。
それだけ真剣に取り組んで来たから、やっぱり緊張もするし、勝ちたいという気持ちがあるからプレッシャーにも感じる。
だから、前日に寝れなくなってしまうということも、もちろんあります。
寝れないってことはいけないわけじゃないんですけども、
どうやったら入眠がしっかりできるのか、または途中で覚醒してしまう、という時に再度入眠するためにはどうしたらいいのか。寝るための術を知っておくと安心するんですよね。
そのために私がいつも選手たちに教えることが二つあって。
まず一つは自律訓練法です。
音声のCDやYouTubeにも動画がありますので、そういうのを聴いていただけると良いと思いますが、音声を聴きながら自分の四肢、両手両足に意識を向けていくような訓練法なんです。そういうことをしてあげると気持ちが落ち着いてきたり、眠れると思います。

寝れないってことは交感神経が優位になっていて、筋肉が緊張状態になってるんですね。筋弛緩法で筋肉を弛緩させると、副交感神経優位に持っていく。
これを行ってあげることでリラックスできて眠れる場合もあると思います。
筋弛緩法にはいろんなポーズがあるんですけども、そんなに難しいポーズではないんですね。
例えば、手のひらをテーブルの上に置いていただいて、手の力を抜こうと思っても手の力を抜くことってできないですよね。でも、指は少し曲がってますよね。ということは、ちょっと筋肉が緊張しているんです。
筋弛緩法でどうやって筋肉を弛緩させたらいいかというと、一回6〜7割ぐらいの力で握るんです。グッと握ったところから、一気にストンと力を抜く。そうするとグッと力が抜けていく感覚が感じられると思います。
プレゼンの前とか、肩周りの筋肉が緊張しやすいと思うので、肩を6割〜7割くらいの力ですくめて、
そこから一気にストンと力を抜く。そうしてあげると筋肉は弛緩しやすくなりますので、電車の中とか、大きなプレゼンの前とか、そういうときに行なっていただくのも良いと思います。

──先程お話ししていた自律訓練法の音声は、自然の音や、イージーリスニングをバックに、
“お腹の緊張を緩めましょう”などのガイドがついている音声のこと。力を抜くために、力を入れるっていうのは面白いですね。
続いては、箱根駅伝4連覇!青山学院大学駅伝部、
影の立役者 フィジカルトレーナー 中野ジェームズ修一さんのCheer Up Songです。


イーグルスの『ホテルカリフォルニア』という曲なんですけど、この曲はすごく思い出があって。
アメリカにずっと住んでいたときに、アメリカ、ロサンゼルスのカリフォルニアというところでホテルでアルバイトをしていたんです。
この曲のタイトルを聞くと、自分がカリフォルニアのホテルでアルバイトをしていた時代のことを思い出しますし、
CDジャケットにあったホテルを観に行った経験があるので、そういう意味ではアメリカ時代のことを思い出します。
この歌詞がですね、非常に難しいんですよね。いろんな説があるんですけど、正直何言ってるかわからないでしょ。あまりに歌詞が難解すぎて、意味がわからない。
なので、いろんな捉え方ができるんでしょうね。でも、作詞をした方は、何か意味があって歌詞を書いてあるはずですよね。
で、よく聴いてみると政治的なことを言ってる気がする。けど、ちょっと見方を変えてみると恋愛のことを言ってる気がする。
いろんなこととして捉えられるんですよ。親子関係のことを言ってるのかな、とも捉えられるんですよね。毎回この歌詞を聴いているときにその時の自分の気分によって、
政治的だなとか、恋愛的だなとか、社会の人間関係のことかな…といった風に、いろんなシチュエーションでいろんな捉え方ができる。大変珍しい曲だと思っていて、自分の中ですごく思い出のある曲でもあります。








今週のゲスト、青山学院大学駅伝部 フィジカルトレーナー 中野ジェームズ修一さんの“サイン色紙”をプレゼントします!
ご希望の方は、番組WEBサイトのメッセージフォームからお送りいただくか、Facebookのアカウントをフォローしてコメントをしてください。
当選者には番組スタッフからダイレクトメッセージを差し上げます。



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