今週の「Athlete News」は、車いすフェンシングアスリート 加納慎太郎選手をゲストにお迎えしました。
車いすフェンシングの魅力、東京パラリンピックへの思いを伺いました。
加納慎太郎選手は、1985年3月2日福岡県生まれ、現在33歳。 父親の影響で11歳から剣道を始めますが、 16歳の時、交通事故で左足のももから下を失いました。26歳の時、自分の手で義足を作ろうと思いたち、熊本の義肢装具学校に入学。そこで障がい者競技を知り、車いすフェンシングと出会いました。
現在は、ヤフー株式会社に勤務しながら2020年、東京パラリンピック出場を目指していらっしゃいます。
──ヤフー株式会社に勤務しながら車いすフェンシングを行っていらっしゃるそうですが
初めてやってみたときにどんなところが自分に向いている、楽しいと思ったんですか?
父親が剣道をやっていて、子供のときにキャッチボールをするように剣を交えたりしていたので
僕にとっては相手と戦うことに抵抗もなくて、むしろちょっと落ち着いたりするので。
──フェンシングは細いじゃないですか?曲げて当てたりするじゃないですか?剣道にはあまりないですよね
あれって意外と硬くて、でも曲がっているっていうのは選手たちの長年の積み重ねがしなりを作っている、芸術品みたいな感じですね。
初めはしならせるのは難しいと思うので、練習の積み重ねによって綺麗なしなりを作れるんじゃないかと思います。
──車いすフェンシングっていうと間合いが決まっていて、ひたすら打ち合うわけじゃないですか?
これは他の競技にないことですよね?
間合いが近いので逃げ場がなかったりするのですぐに決着がつく競技ではあるんですけど、早いときは10秒未満で終わることもあるので。
せっかちの方はぜひ見てください(笑)。
──26歳の時、自分の手で義足を作ろうと思ったのはきっかけがあったんですか?
リハビリをして、また健常者と一緒に剣道をすることができました。
負けず嫌いなので、“なんで負けるんだろう?”と考えた時に、“義足だからか”ということで、義足について勉強しようと、自分で作れるようになればいいなということで始めるきっかけになりました。
──義足でやる剣道というのは以前とは違うものでしたか?
そうですね、足の踏み込みだったりができないところと、筋力が低下してる部分もあったので。そういうところでは葛藤した部分ではあります。
──車いすフェンシングを始めたきっかけは何だったんですか?
2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決定して、“自分も何か携われることはないのかな?”と思い立って、いろんな競技を見ているあいだに…剣を使う競技が好きだったので、車いすフェンシングを見てぜひやってみたいということで。
──車いすフェンシングを始めた当初は大変なこともいっぱいあったんじゃないですか?
そうですね。競技環境も、経済環境も整ってなかったりとか、対戦相手が少なかったり。道具が高いとか、上達するための練習方法などの情報が少ないというところが大変でしたね。
──まず何から始めるんですか?
基礎体力だったり動画で研究してみたり、先輩やコーチに聞いて模索していってる状態でした。
──対戦相手がいないときはどうしていたんですか?
そのとき僕は九州にいて、九州には対戦相手がいなかったので。京都に車いすフェンシングの拠点があるんですけど、そこに2ヶ月に1回くらい夜行バスで通うようなことが初めの頃はありましたね。
──突かれると電気が点いたりとか、お金がかかりそうですもんね
ヨーロッパからの輸入品になりますので少し高価ですね。
──道具のサーブル、ああいうのも海外製だったりするんですか?
そうですね、全部海外製ですね。
──1本おいくらいくらいするんですか?
代表選手が使うクラスになると、剣1本で2万円くらいはするんじゃないでしょうか。
──そんな厳しい環境の中でも続けてこられた原動力は何ですか?
一番は楽しいっていうのもありますし、あとは自分が決めた目標に向かって走っている段階なんですけど…やっぱり、それが原動力になっていますし。今までの生きてきたものだったりも原動力になっています。
──日本のフェンシングと、他国のフェンシングのやり方の違いみたいなものがあったりするんですか?
フェンシングに関して、特にヨーロッパの選手だったり、イタリアとかは国技のような競技なので。
そういう国と日本ではマイナーな競技っていうのでは全然違うんじゃないかと思います。
──勝つまでの方程式とか作戦も違うんですか?
構えであったりとか、剣の使い方とか考え方は全く違うと思います。
日本は勝ち方にこだわったり、美意識が高かったりするんじゃないかなと思うんですけど。
海外の選手は、基本的にポイントにつながるような考え方をしたりとか、勝ちに直結するような考え方を持っている選手が多いのかなと思いますけど。まだ、僕が知らない選手もいっぱいいるので。
──加納選手は勝ち方にこだわりはあるんですか?
結果にこだわりたいなと、最近思っているんですけど。
もちろん自分のイメージした通りに“こういう風に勝ちたいな”というストーリーを作って、その通りにできたらいいんですけど。
やっぱり対戦競技なので、そういう風にいかないこともありますよね。距離が近い中での読み合いっていうのが魅力の一つです。
──2014年に加納選手にとって初の国際大会、韓国の仁川で行われたアジアパラ競技大会に出場されました。
出場されてどんなことを感じましたか?
入場行進のときに花火が上がったりとか、たくさんのお客さんがいる中で「ジャパン!」と言われて、みんなで行進していくときに鳥肌がすごく立って、“これでみんな目指すのか!”という気持ちは覚えています。
──日の丸を背負うって我々にはありえないことですからね。やはり、重みみたいなものは感じましたか?
すごく感じましたね。私生活からそれに見合うような人にならないといけないなと、行動であったり、発言であったり、意識するようになりました。
──2020年 東京でパラリンピックが行われるわけですけど、日々大切にされていることはありますか?
限られた時間なので時間の使い方をすごく意識しています。
あとは食生活であったりとか、そういういことは大切にしています。こんな機会は二度とないと思っているので、1秒1秒大切に、どんな結果になるかわからないですけど、精一杯頑張りたいと思っています。
──番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。加納選手の心の支えになっている曲を教えて下さい
矢沢永吉さんの「止まらないHa〜Ha」です。
他の格闘家の方とか、アスリートの方の練習動画とかを見て参考にしたりするんですけど。そのときに格闘技とかを見るようになって、けっこう好きな格闘家の入場曲ですね。
──どんなときに矢沢永吉さんを聞くんですか?
練習でもう一踏ん張り、アクセルを踏み込んだりしたいときに聞いたりして、“頑張ろう!”っていう気持ちになったりしています。
──車いすフェンシングの魅力とは何ですか?
ハンディキャップを背負っている選手なので、その人の今まで生きてきた人生であったり、そういうのを見るのも一つの魅力だと思います。
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